【スポーツライディング好き必見!知っておきたいライテク用語】Part01:マシンホールド・ニーグリップ

スポーツライディングの世界には、よく使われる専門的用語や表現が多数存在する。もちろん、その意味を知らなくても、ライテクが上達しないわけではない。しかし、知っていれば頭での理解度はより深まり、ライテクを”吸収”する助けとなる。安全で確実なライディングスキルアップのために、”用語”という武器も手に入れよう。

PHOTO/H.ORIHARA TEXT/T.TAMIYA
取材協力/ドゥカティジャパン 
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ライテク用語の理解は、教わり上手につながる

正直なところ、レーサー現役時代の僕は、ライディングテクニックを言語化することに無頓着でした。5歳からポケバイに乗り、「考えず、身体で覚える」ことがごく当たり前という環境で成長。とにかくバイクを走らせ、さんざん転ぶことで、ライディングを覚えてきたわけです。

しかしこれは、レースというごく限られた世界での話。趣味でバイクを楽しむなら、人に教わり、頭で理解し、リスクを減らしてスキルを磨くことのほうが圧倒的に大切です。僕自身、不得意だったオフロードライディングを現役引退後にプロライダーから教わり、“習うことの重要性”を痛感した経験があります。

自分が持っているスキルを人に伝えるとき、一番多く使われるのは言葉であり、相手が話していることが深く理解できるほど、吸収率は高まるはず。

だから僕は、本誌の企画などで皆さんにライテクを解説するとき、どう表現すべきか頭を悩ませることもありますし、その結果として、僕なりの「かなりかみ砕いた表現」を取り入れていることも少なくありません。この特集でもそういうシーンはあるので、まずはご了承ください。

ある程度のライテク用語を理解しておくことは、スキルアップにつながるはず。ときにはその用語に隠された“真意”とともに、詳しく解説していきます。

(中野真矢)

ライテク上達の基本は適正なフォームにあり!

これはいつも言っていることですが、「スポーツライディングの基礎にあるのは、正しいライディングフォーム」。

プロライダーの中には個性的なフォームで成功している人もいるし、時代によって速く走るためのフォームも変化してきましたが、まずはとにかく近年のセオリーをマスターできていないと、ファンライド層であっても、その先のステップに進みづらくなります。

以前は「コーナーには肩から入る」など、理解できなくはないものの、分かりづらい表現も聞かれましたが、最近は少なくなってきたように感じます。とはいえ、フォームを言葉で表すのは難しい部分もあるので、お手本となるライダーの写真や映像を見て、マネしてみるのもオススメです。

ニーグリップだけではなく身体全体でマシンと一体になる

下半身ホールドについては“ニーグリップ”と表現されることも多いが、「免許取得のため教習所に通ったとき、初めて両膝で燃料タンクを挟むニーグリップの存在を知り、実は戸惑いました……」と中野さん。

スポーツライディングでも、ストレートあるいはそれに近い区間で膝を閉じるシーンがないわけではないが、より意識されているのは下半身による車体の“ホールド”であり、その動作のひとつに“ニーグリップ”が含まれているイメージだ。

「特に近年は、マシン進化の影響もあり、ブレーキング時は膝でタンクを挟まず、太ももを押し付ける乗り方が主流です」と中野さんは解説する。

直線では少し後ろに座ると自然とタンクをニーグリップできる

着座位置が前すぎると、燃料タンクと身体が触れる場所が股間に近くなって足が開き、力を入れづらいことに加えて自由な動きを阻害されやすい。車種や体格によっては、後ろすぎると腕が伸び切ってしまうので要注意だが、一般ライダーは極端な“前乗り”が多いので、意識して“やや後ろ”に!

ブレーキングでは内股をタンクにしっかり押しつける

中須賀克行選手は、次のコーナーに対してイン側どころかアウト側のステップからも足を外してブレーキングすることもあるが、これが成立するのも、外足の内ももを燃料タンクに当てて身体を支えているから。これができると、減速段階でハングオフの予備動作が可能に。

旋回時はアウト側の足全体をマシン側面に沿わせる

ハングオフによるコーナリング時は、外足のくるぶしから内ももまでをマシンに沿わせ、イン側に落とした上半身の体重を支える。くるぶしをステップのガード部に密着させると、自然とこのフォームになりやすい。ただし一番重要なのは“タンクホールド”だ。

肘も使ってマシンをしっかりホールドする

ハングオフする際は、外側の肘を燃料タンクに沿わせてホールドすると、安定感が増してマシンコントロールもしやすい。ストレートでも肘をタンクに沿わせた方が一体感が増して安心だ。近年のスポーツバイクは、この肘ホールドがしやすいように設計されている車種が多い。

腰をズラしてもホールドできるように

内ももを中心とした外足で、車体をしっかりホールドできれば、両手をハンドルから離した状態でも、ハングオフによるコーナリングのフォームを維持できる。転倒やサイドスタンド破損がないよう仲間に車体を支えてもらいながら、停車状態で一度試してみたい!

これができるようになれば、マシンと一体になれて安心感も高まります!
これができるようになれば、マシンと一体になれて安心感も高まります!

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