
モトコルセ MCM MONSTER|徹底的に軽さを追求したコンプリートマシン【原田哲也インプレッション】
2021年にデビューした現行型のドゥカティ・モンスター+をベースとするMCMは、近藤 伸代表みずからがサーキットライディングを楽しみながら製作を続けてきた、ライディングテクニックを磨くのにも最適なモトコルセの新コンプリートバイク。原田哲也さんも、ベースモデルから大幅に強化されたスポーツ性を高評価!!

【原田哲也】
ドゥカティ主催のサーキットレッスン「DRE」では公式インストラクターを務めるほか、自身も所有するなどドゥカティへの造詣は深い。現行モンスターにも数多く試乗し、そのキャラクターを知り尽くす。
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA
問/モトコルセ TEL046-220-1611
https://www.motocorse.jp/
モンスターの長所を突き詰めた、軽快かつ高精度な走り
アルミ製フロントフレームに937cc水冷Vツインエンジンを搭載する、ドゥカティの現行モンスターシリーズ。エンジンのパワーは狂暴すぎず、車体は軽く、一般ライダーがサーキットで遊ぶのに向いているスペックだ。
そんなモンスターの長所をさらに引き伸ばしたのが、モトコルセ・コンプリートバイクのMCM。近藤伸代表によると「現在の仕様でノーマルより8kgは軽い」とのことだが、実際の走りもとにかく軽快で、それだけで楽しくなってしまう。
高価なパーツをただ寄せ集めたわけではなく、しっかりセットアップされていて、それはポジションからも伝わってくる。日本標準仕様のローシートはスポーツライディングでは身体を動かしづらいのだが、MCMには純正アクセサリーの高密度スポンジと、テクニカルファブリックカバー仕様の40mm高いスポーツシートを装着している。

一方で、ハンドルバーは純正よりもやや低く、少し絞られた形状。そしてステップは、モトコルセ製の新作ステップキットに換装されている。これらの相乗効果で、MCMには抜群の操縦性が与えられており、ノーマルよりもさらに車体がコンパクトになったようにさえ感じる。
新作ステップキットは、ホールド性に優れるのに加え、シフトフィーリングの良さも気に入った。今回試乗した筑波サーキット・コース1000でモンスターシリーズを走らせると、なぜかギア抜けすることがあるのだが、カチッとしたペダルタッチのおかげか、一度もギア抜けしなかった。また、僕は足が小さいので、ブレーキペダルの先端をステップバーから近い位置にセットできる点も魅力だった。

この日はかなり気温が低く、コースも低速区間が中心のレイアウトなので、モトコルセ/シコム製セラミックカーボンディスクのフロントブレーキは、入力初期の立ち上がりがイメージよりもややマイルドに感じられた。ただしこれはコンマ数秒の話。そういう仕様であるとライダーが認識すれば違和感はないし、レバーを深く握り込んだところではしっかり効く。それに、もう少し大きなコースで走らせるとか、暖かい時期なら、より僕の理想に合ったフィーリングになると思う。
オーリンズ製のハイグレードな前後サスペンションは、フロントのセッティングをもう少し煮詰めたいところ。基本的にはよく曲がるのだが、全体的なマシンポテンシャルが高いので、つい欲張ってしまう。

総合的には本当にいいところばかりだ。スロットルを全開にできる楽しさや、軽さがもたらす安心感など、リッタースーパースポーツにはない魅力が詰まっている。
僕でも緊張する200ps超えのパニガーレV4より、こういうバイクでテクニックを磨くほうが近道だし、走り終えたときの爽快感や満足度も高いと感じた。
MOTO CORSE Complete Bike
MCM MONSTER







