電子デバイスが充実した硬派なアドベンチャートレイル【YAMAHA Tenere700】

アドベンチャーというよりは、ビッグトレール。旅よりも遠方のオフロードを貪る様に走りに行くのが似合う、シンプルでピュアなオフロードバイクのテネレ700。その為のロングストロークサスペンション、その為のパラレルツインエンジン、カウル装備。そのテネレ700に現行車らしく、ちょっと便利を加味しました、の電子デバイスやスマホとの連携。いいじゃないか! オフロードまでの道中が豊かになり、オフロードでの走りが洗練されるはずだ。

PHOTO/H.Inoue 井上 演 TEXT/H.Kishizawa 岸澤秀夫

デバイス追加で魅力度を増した

ただ純粋にオフロードを楽しみたい。テネレ700はトレールバイクに分類されるべき1台だ。ポル・タレス選手のレッドブル・ルーマニアックス参戦などは極端だが、Africa Eco Race参戦などはテネレ700が他社のアドベンチャーとは違う、ディープオフロードマシンであることを示す。ある意味「我々側」の1台であり、トレールバイクを選ぶ際に候補に上げたい1台だ。

今回のマイナーチェンジ前まではトラクションコントロール(TC)すら持たない硬派さが売りだったが、今時、モトクロッサーやエンデューロマシンにもTCが装備されているので採用は歓迎だ。ABSも完全解除、リアのみの解除が選べるようになり、パワーモードも新たに追加。SPORTS、EXPLORE、それらを段階的に選ぶことが可能だ。

テネレ700の武器でもある水冷DOHC直列2気筒4バルブ688cc270度クランク・クロスプレーンエンジンは、YCC-T(電子制御スロットル)を新たに採用。長距離移動も快適かつワインディングでの扱いやすさ、林道でのトラクションも良い。移動時はスマートフォンとの連携で、今時のバイクらしい便利さが加わった。

電子デバイスの追加などがメインの今回のマイナーチェンジ。それらを加えて改めて、テネレ700が僕らが楽しめるオフロードバイクであることを再認識させてくれた。

YAMAHA Tenere700

水冷DOHC直列2気筒4バルブ688ccエンジンに新たに最適なスロットルバルブ開度を瞬時に算出するYCC-T(電子制御スロットル)を採用

ダブルクレードルフレームにヤマハコンペティションモデルを彷彿するサスペンション。そのフロントフォークのダウンフェンダーはフェンダー側を長穴にすることでハイトの異なるタイヤの装着も可能とする

今回新たにワンピース化されたシートを脱着すると車載工具や書類、Y-ConnectへアクセスするQRなどが現れる。工具は今時にしては充実。ある程度のトラブルは切り抜けられる装備だ。足りない工具は改めて足せば良い

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