
【KAWASAKI KLX230】リサイズで高まったウェルバランスと、レベルを問わないオフロードでの安心感
レーサーモデルのKLX230Rという兄弟車やスパルタンだった先代KLX230/Sからがらりと代わり、マイルドで扱いやすくなって遂に復活のKLX230/S。ボデイ、シャシー、そしてエンジンのバランスが生み出す操縦性はトレールバイクの原点を感じさせる。
PHOTO/A.Kusudo 楠堂亜希
TEXT/F.Hamaya 濱矢文夫、H.Kishizawa 岸澤秀夫
問:カワサキモータースジャパン
https://www.kawasaki-motors.com/ja-jp/
闘う4ストから共存する4ストへ
先代のKLX230は、良くも悪くもKLX250とKLX125/150の中間を担う「闘う4スト」(初代KLX230Rシリーズのセールスコピー、コンセプト)を継承し、兄弟車であるクローズドコース専用KLX230Rに近しい存在だった。良い意味でアグレッシブさを残したトレールバイクだった。
後にローシートのKLX230Sをラインナップに加えたが、エンジンのキャラクターは変わらず、ライダーを選ぶ印象が拭えなかった。それでもカワサキ唯一のトレール、かつ数少ない日本メーカー製トレールバイクとして一定の役割を果たしていたと思う。
国内ラインナップから外れて数年、2024年末に遂に復活したKLX230/Sは、スタイルこそ先代と酷似しているが、性格はまったく変わった。多くのライダーが求めている“トレールらしさ”が随所に散りばめられている。
新機能としては、現代のバイクらしくスマートフォンとBluetooth通信可能な液晶ディスプレイ式インストゥルメントを採用。スマートフォンで車両情報や走行記録を確認できるようになった。
また、前後ABSはライダーの好みによってOFFにできるスイッチを新設。電子デバイスのバージョンアップに加えて、ECU設定の見直しや低中速域での調整により、トレールバイクに求められるオフロードでの小気味良いレスポンスが実現され、オン・オフ問わず高いトラクション性能を提供してくれる。
さらに、キャスター角/トレール量の変更、リアサブフレームの形状・位置の見直しによって、シート高やハンドリングディメンションも刷新。KLX230Rと同様のアルミスイングアームの効果も相まって、先代に比べて急な挙動が減り、穏やかでバイクの動きが掴みやすい特性へと変貌を遂げている。
純正装着のノーマルトレールタイヤであっても、ダート路面での直進性の高さやコーナーの安定感を体感することができる。
スタイルはKXを彷彿とさせるアグレッシブさが際立ち、中身は真っ当で、正直、オールマイティーなトレールバイクに生まれ変わったのだ。
DIRT SPORTS編集部インプレッション
Kishizawa’s Impression:フィット感の良さと穏やかな特性が操りやすい
今回試乗できたのはローシートモデルのKLX230Sだ。排気ガス規制に対応した低回転でのレスポンスの良さが秀逸だった。
先代モデルに比べて尖っていないマイルドさが好印象だ。また、先代モデルは着座位置や視線が高く感じる一方で、バイクの全長が短く感じられ、ややトリッキーな動きだったが、キャスター角度やトレール量の見直しにより挙動が穏やかになった。さらに、KX譲りのボディワークによって身体とバイクのフィット感も向上し、オフロードでのコントロール性も高まっている。
唯一気になる点は、大きくボディアクションをしたときに足に干渉するタンデムステップだ。しかしこれは取り外し可能な構造となっているため、クローズドコースを走る際には外してしまえば問題ない。
KLX230/SとKLX230 SHERPAは、外装やハンドルを除けば基本コンポーネンツはほぼ共通だ。そのため、最終的にはデザインの好みで選ぶことになるだろう。
Hamaya’s Impression:ちゃんとオフが走れる進化だ
やはり旧型よりホイールトラベルを増やし、軽いアルミスイングアームを採用したことがしっかり効いている。サスペンションの動き出しが柔らかく、凸凹を通過しても以前より跳ねずに路面に追従してくれる。乗り心地もいい。
旧型KLX230Sは、オフロードをがんがん走りたい人にとってはやや不満だったかもしれない。だからこそ、シートが低く、ちゃんと気持ちよく不整地を走れる新型の登場は素直にうれしい。
リーンさせるときの動きは、シェルパよりもKLX230Sの方がわずかに軽快だと感じた。KX風スタイルも含めて、全体的にスポーティーさがシェルパよりも増している印象だ。
さらに、メーカー希望小売価格がシェルパより¥44,000安い¥594,000と、60万円を切ってきた点も歓迎したい。
KAWASAKI KLX230







