
[多聞恵美ルポ・和歌山県]生まぐろ水揚げ日本一那智勝浦でマグロ&温泉三昧!
2007年から連載がスタートした“うまいもん”も早くも今号で、連載150回目を迎えることに!
記念すべき150回目の今回はページ数も倍増で生まぐろ水揚げ量日本一を誇る和歌山県の那智勝浦町へ
黒いダイヤとも言われる黒潮グルメを食べた後は世界遺産の熊野那智大社や南紀を代表する名湯を満喫!
雄大なオーシャンビューが広がる南紀の町へ2020年のラストを締めくくるツーリングに出発!
本州最南端を越えてマグロと温泉の町へ
早いもんで、20年も残すところわずか。いろいろとあった2020年でしたが、無事新しい年を迎えることができそうです。感謝感謝で、早いといえば、このうまいもん。2007年からスタートした連載も、なんと今号で150回目! というわけで、今回のうまいもんは連載150回を記念して、いつもの倍の増ページでお送りいたします。場所は南国の町、和歌山県の那智勝浦町。生まぐろの水揚げ量日本一。マグロの町として有名な西日本でも人気のツーリングエリアです。それでは150回目の旅に行ってきま〜す!
那智勝浦町へは、関西方面からだと阪和自動車道、紀勢自動車道を2時間ちょっと。終点のすさみ南ICから太平洋に沿って走る国道42号をひたすら走ります。
片道200㎞オーバー。久々のロングツーリングにコロナ禍で怠けた身体が、ちょっと不安。でも心配ご無用。今回のパートナー、CB1300SB。さすがに取り回しは、女子にはちょっとしんどいかも知れないけど、走り出すとそんな車体の大きさを感じさせないほど操作性が抜群。排気量が大きいので、高速道路なんて超楽ちん。ついついスピードが出過ぎてしまうので、逆にそっちの方に気を付けないといけないほどです。すさみ南ICまであっという間。ここから国道42号を太平洋に沿って走ります。その前に本州最南端の町、串本町にある道の駅 くしもと橋杭岩でひと休み。
以前にも、うまいもんでお邪魔したことがある道の駅 くしもと橋杭岩。大小いっぱいの岩が海に一直線に並んでいる橋杭岩っていう絶景が、すごく印象的でした。この日も小春日和の超いい天気で、橋杭岩がめちゃキレイに見えます。この橋杭岩、愛車と一緒に撮影できるってことで、ライダーの間でも人気のスポット。ちょっと休憩している間にも、ライダーのみなさんが続々と訪れて、写真を撮っています。ちなみに橋杭岩は、初日の出の名所としても有名なんです。元旦ツーリングを考えている読者の皆さん、どうです今回のコース!? ちょっと早く出発して、ここで初日の出を拝むなんてオススメですよ。

本州最南端の町の絶景にお別れをして、再びCB1300SBで海沿いを走ります。ここから那智勝浦町までは30㎞ほど。朝が早かったせいか、お腹もペコペコ。今からマグロが楽しみ!
※この記事は2021年BikeJIN2月号に収録されたものです。お店などの情報は当時のものです、ご了承ください。
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漁港町の人気店で生まぐろを食べまくり!
大阪を出発して4時間ほど、ようやく目的地の那智勝浦町に到着しました。時刻は朝の9時前、もうお腹もペコペコです。早く朝ご飯を食べたい! えっ、でも、こんな時間からご飯を食べられる所なんてあるのでしょうか!? そこは、ご安心を! 今回、最初にご紹介する「勝浦漁港にぎわい市場」さんは、朝の8時から営業している、朝の早いライダーさんにとてもありがたい観光市場です。
お隣にある勝浦漁港は、朝一の競りの真っ最中。その活気に負けず劣らず市場内は、お土産物とか飲食店などフルスロットルで営業中。丼から定食、はたまたカレー、どのお店も美味しそう。よしっ、ここはちょっと奮発してお寿司を食べよう!
まずは場内にある自動販売機で食券を購入して、それを各お店に持っていきます。私がチョイスしたのは「まるぐろ」さんというお店のお寿司の8貫セット。本マグロの大トロから中トロ、ビンチョウマグロやマカジキ&メカジキマグロなど、いろんなマグロとその部位を食べ比べできる、マグロの町ならではのお寿司です。
握りたてのお寿司を受け取って、勝浦の漁港が見えるテラス席へ。それではいただきま〜す。まずは中トロからパクッ! マグロの旨味が口の中に広がってめちゃ旨。お次はマカジキ、メカジキマグロのトロを。ひと口にマグロと言っても、いろんな種類があって、味もそれぞれ。食べ比べてみると、その違いがはっきりと分かります。ビンチョウマグロ、本マグロの赤身と次々といただき、いよいよお待ちかねの大トロさんの出番。う〜ん、口の中でマグロがトロける感じで、もう最高! 朝10時までは、本日の朝ごはん(市場ごはん しげ)という獲れピチの魚のお造りが味わえるお得な定食とかもあります。グループで行って、いろんな料理をシェアするのもいいかも!?
勝浦漁港にぎわい市場


DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地7-12
TEL0735-52-3500
営業時間:8:00〜16:00
飲食ブース15:30(LO)
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
※年末年始は営業
http://nigiwaiichiba.com

本マグロの大トロ、中トロ、赤身をはじめ、マカジキ&メカジキマグロのトロ、ビンチョウマグロなど8種のマグロの握りを食べ比べできる握りのセット

勝浦漁港で水揚げされた新鮮なお造りと地元野菜の惣菜がセットになった朝10時までの人気定食。850円で生まぐろとの二種盛り(写真)もOK
次のお店「食事処 大和」さんがオープンするまで、ちょっと時間があるので、勝浦漁港周辺を散策。ちなみに勝浦魚市場には無料の見学フロアもあって、競りが行われる日はマグロの競りをタダで見ることもできます。この日は、もう競りも終わっていたので、同じく漁港の横にある無料の足湯「海乃湯」でのんびりします。目の前には漁港の景色が広がって、気分は極楽極楽!
海乃湯

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5
TEL0735-52-5311(那智勝浦町観光案内所)
営業時間:6:00〜22:00
定休日:なし 入浴料:無料
https://www.nachikan.jp
気が付けば「食事処 大和」さんの営業時間。ヤバイ、急がなくちゃ! 漁港から少し走った場所にある「お食事処 大和」さんは、那智勝浦でも人気のお店。地元のマグロ店が営むお店で、新鮮なマグロの丼が、リーズナブルに味わえるとライダーの間でも評判なんです。今年6月に駅前から移転したばかりの新しいお店にお邪魔しました。
定食をはじめ、まぐろユッケ丼や紅白丼とか、マグロの丼がいっぱい。どれにするか思わず迷いそう。でも、ここはオススメの大和丼を早速注文。うわっ、めちゃキレイ。この大和丼、大トロから中トロ、赤身、そして中落ちが一つの丼にビッシリ! 盛り付けもキレイで、まるで丼の中にマグロの花が咲いたみたい。
それでは本日2食目の、いただきま〜す。う〜ん、マグロがすごく新鮮でめちゃ旨。普段食べるマグロと全然違う。なにも付けずに食べても美味しいんですが、醤油蔵が特別に作ったという特製タレとの相性が、これまた抜群。いろんな部位の味の変化も楽しめて、お箸が止まりません。けっこうボリュームもあるのに、あっという間に完食。もっと食べたいという人には、マグロの量が2倍近い大和DX丼もあるそうです。でも、これは本当にマグロを楽しみたい人のためのサービス丼なので、皆さん、くれぐれも面白半分で注文はしないでくださいね。
お食事処大和


DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地8-6-6
TEL0735-52-5738
営業時間:11:00〜16:30(LO)
定休日:木曜(祝日の場合は振替)
※ 年末年始は12/31〜1/1、1/7、1/8定休

ちょっぴりピリ辛の特製ダレに漬け込んだマグロのぶつ切りがたっぷり。ニンニク風味で、ネギ&卵を混ぜて豪快に食べるスタミナ満点の丼
紅白丼:1300円
キハダマグロまたはメバチマグロの赤身と、ビンチョウマグロの薄ピンク色の身が入ったおめでたい紅白の丼。トロロを混ぜて特製タレをかけて食べる
大和丼:1800円
大トロ、中トロ、赤身、中落ちなどマグロのいろいろな部位が楽しめる人気No.1丼。大和丼のマグロも増量したお得な大和DX丼2300円もあり

※この記事は2021年BikeJIN2月号に収録されたものです。お店などの情報は当時のものです、ご了承ください。
次ページ【熊野那智大社でひと足お先に初詣】
熊野那智大社でひと足お先に初詣
生まぐろで有名な那智勝浦町ですが、観光地としても人気なんです。勝浦漁港の近くでマグロ料理をたっぷり食べた後は、そんな那智勝浦町の名所を巡ります。まずは「熊野那智大社」さん。
世界文化遺産にも登録されている熊野那智大社は、熊野本宮大社(田辺市)と熊野速玉大社(新宮市)の熊野三山の一つ。この3つの大社を巡礼することが熊野詣で、日本の旅の原点とも言われているんですよ。皆さんは、知ってましたか!? じつは私もさっき知ったばかりなんです(笑)。まぁ、熊野三山や熊野詣とか難しいことを言うより、「那智の滝」がある神社って言ったほうが、とくに関西の人には馴染みがあるのではないでしょうか。
那智勝浦の漁港から那智山方面に向かって20分ほど。途中、ちょっとしたワインディングもあって、ここまでの海沿いとは違った走りも楽しめます。もちろん、ここでもCB1300SBは大活躍。トルクフルなエンジン性能と軽快な走りでワインディングも楽々。もう少し走っていたいなぁ、なんて考えているうちに「熊野那智大社」に到着。コロナ禍で、分散参拝が呼びかけられている21年の初詣。ちょっと早い気もしますが、せっかくだから私も「熊野那智大社」さんで初詣をさせていただきます。
パン! パン!(二礼二柏手)。『2021年もうまいもんがいっぱい食べられますように』(一礼)。拝殿から御本殿の神様に祈願した後は境内を散策。長寿や無病息災のご利益にあずかれる樟しょうれいしゃ霊社の樹齢約850年の大楠の胎内くぐりなど、境内は見所ばかり。さっき言った「那智の滝(那智御瀧)」は御本殿から少し山を降りた熊野那智大社の別宮「飛瀧神社」にあります。じつはこの那智の滝、滝自体がこの飛瀧神社の御神体だそうです。
うわぁ〜、めちゃ大きい! 遠くからでもその大きさが分かる那智の滝ですが、近くで見ると、さらにその大きさにビックリ。なんでも落差が133mもあって、日本一の滝だとか。流下する水は毎秒約1トン。なんとCB1300SB約4台分の重さの水が、毎秒流れ落ちているそうです。そう考えると、那智の滝って、やっぱりすごい。もっと滝を間近で拝観したい人は、御滝拝所がオススメ。水しぶきが感じられるくらい滝の近く舞台で拝観できます。さすがにこれだけ近づくと、スケール感が麻痺しそう。でも、なんかご利益はありそう。
熊野那智大社



和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
TEL0735-55-0321
参拝時間:7:00〜16:30
宝物館は8:30〜16:00
定休日:なし※宝物殿は水曜
参拝料:無料
宝物殿は300円、御滝拝所は300円
https://kumanonachitaisha.or.jp
マグロ、那智の滝、そして那智勝浦町で、もう一つ忘れてはいけないのが温泉。温泉の多い和歌山県でも、ここ那智勝浦町の南紀勝浦温泉は、南紀を代表する名湯。町内には公衆浴場や足湯、温泉ホテル&旅館もいっぱいあって、日帰りで温泉が楽しめます。温泉ソムリエの私としては、ぜひ入浴せねば。熊野那智大社さんから再び漁港方面に戻って、南紀勝浦温泉を楽しむことにします。
数ある南紀勝浦温泉の中で、今回お邪魔するのが「ホテル浦島」さん。東京ドーム4・5個もある敷地内に4カ所の温泉がある、那智勝浦でも人気のホテルです。もちろん日帰り入浴もOKで、なんとホテル内で湯巡りが楽しめます。
フロントで受付を済ませて、早速温泉に入ります。「玄武洞」「磯の湯」などなど、本来ならどの温泉に入るか迷いそうなところですが、ホテル浦島といえば、やはり一番は「忘帰洞」。なんと大きな洞窟の中に温泉があって、熊野灘の海景色も楽しめる、南紀勝浦温泉を象徴する温泉なんです。
迷路のようなホテルの中を案内に従って一路「忘帰洞」へ。なんとか迷わず「忘帰洞」へ到着し、早速浴室へ。うわっ、ほんと洞窟の中だ。白濁色のいかにも温泉らしいお湯につかって、リラックス。洞窟の入り口に広がる、広大な熊野灘の海景色。ほんのりと漂う硫黄の香りが温泉気分を演出してくれます。洞窟内のせいか、打ち寄せる波の音や、浴室の物音が反響して、なんともいえない心地好い気分に。思わず帰るのを忘れてしまいそう。「忘帰洞」って、ほんとこの名前を考えた人って、すごいなんて感心してしまう。
ホテル浦島





和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1165-2
TEL0735-52-1011
日帰り入浴:9:00〜19:00(最終受付18:00)
定休日:なし
※1/6〜7は日帰り入浴休止
料金:日帰り入浴1300円
1 泊2 食付1 万1000 円〜
http://www.hotelurashima.co.jp
温泉のあまりの気持ち良さに、思わず、あぁ〜、帰りたくない!っていうのが、いつものうまいもんのパターン。でも、今回は違います。なんといっても連載150回スペシャル。連載150回のご褒美で、なんとホテル浦島さんで1泊しちゃいます。この温泉の後、お寿司やお造りとかマグロをはじめ、地元の幸をふんだんに使ったホテル浦島さん自慢のバイキングが待っています。もちろん夕食の後は、もうひと風呂。そして翌日は朝風呂を満喫。十数年分のロケの疲れが、一気に吹き飛びそうな連載150回目のうまいもん。連載200回を目指して、まだまだ頑張りますので引き続き、応援お願いします。

※この記事は2021年BikeJIN2月号に収録されたものです。お店などの情報は当時のものです、ご了承ください。
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那智勝浦うまいもんカタログ
生まぐろの水揚げ量日本一を誇る和歌山県の那智勝浦町
町内にある40軒近いの店でマグロ料理を味わうことができる
定番の丼から定食、創作料理などなど、その食べ方もいろいろ
どれも新鮮な勝浦漁港のマグロを使っていて味はお墨付き
胃袋と時間に余裕のある人は、マグロ料理をハシゴしてみては!?

お食事処 桂城


ホテルなどで修行したご主人が、調理するマグロ料理。土曜日にはお客さんの前でマグロを解体する
DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地398-11
TEL0735-52-1845
営業時間:11:30〜14:00(LO13:40)
17:00〜21:00(LO20:40)
定休日:月曜、第4日曜
※ 年末年始は12/31〜1/1定休


旬の生まぐろのお造りに、マグロカツ、マグロのそぼろ煮に、自分で焼くカジキマグロのバター焼き、さらに元祖マグロ汁がセットの人気定食
まぐろのヤマキ


勝浦漁港から少し離れた国道42号沿いにある店。鉄火丼800 円など1000円以下で食べられる丼もあるのがうれしい
DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町天満1-74-1
TEL0735-52-5105
営業時間:11:00〜13:40(LO)
定休日:不定
※年末年始は1/1〜3 定休

メニュー名は中トロ丼なのに、なぜか天然の黒マグロの大トロがたっぷり入った人気No.1丼。あっさり味の秘伝の特製タレをたっぷりかけて食べるのが、この店のスタイル
まぐろ三昧 那智〜Nachi〜

勝浦漁港近くにある店。2階には個室もあり、のんびりとマグロや熊野牛、クジラなど南紀の幸を使った創作料理を味わえる
DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地2-3-10
TEL0735-52-1046
営業時間:11:00〜21:00(LO20:30)
定休日:不定

国産の天然生まぐろの各部位が楽しめる人気No.1メニュー。マグロのお造りにカツ、マグロの角煮、特製梅ネギトロとまさにマグロづくし
まぐろ料理 竹原


那智勝浦でマグロと言えばココと言われるほどの老舗。カウンターのみの店内には訪れた多くの有名人のサインが飾られている
DATA
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地4-323
TEL0735-52-1134
営業時間:11:00〜14:00、17:00〜21:00
※日曜は昼のみ営業
定休日:不定
※ 年末年始は営業

大トロ、中トロ、赤身のマグロの造り3種盛りは厚みがあって食べ応え満点。さらに炙りマグロが付き、飯の大盛り無料のサービスもうれしい
Column
勝浦魚市場でマグロの競りを見学
生まぐろの水揚げ量日本一の勝浦漁港。漁港にある勝浦魚市場では朝7時からマグロの競りが行われる。大量のマグロが競り落とされる様子は迫力満点。市場2階には無料の見学フロアがあり、迫力ある競りの様子を見学できる。また町内のホテル&旅館の宿泊者限定で漁協スタッフが案内する勝浦魚市場体験(新型コロナの影響で現在休止中)も実施している


※この記事は2021年BikeJIN2月号に収録されたものです。お店などの情報は当時のものです、ご了承ください。