【ホンダ Rebel250 S Edition E-Clutch】難しいを徹底排除した気軽なバイクの究極系

’24年型のCBR650RとCB650Rに、市販車として初採用されたクラッチ自動制御機構のEクラッチ。その利点を最大限に活かせるモデルとして、レブル250以上の存在はないかもしれない。操縦をとにかくイージーに楽しめる、この新たなEクラッチモデルは、最強の初心者支援バイクであり、リターンライダーの掘り起こしにもつながりそうだ。

PHOTO/K.OKUZUMI TEXT/T.TAMIYA
取材協力/本田技研工業 
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ライダーの裾野を広げる自動クラッチ第2弾

完璧すぎる狙い澄まし感だ。690㎜のローシート設計と、クルーザースタイルながらスポーティな走りも許容するクセのないハンドリングで、初心者や小柄なライダーでも安心できる操縦性を誇ってきたレブル250に、発進停止と変速をイージーにするEクラッチを組み合わせてしまうなんて。これを超えるエントリーバイクは思いつかない。

Eクラッチは、あらゆるシーンでクラッチ制御をバイク任せにできるシステム。変速は常時マニュアルで、シフトペダルを備えるため、ギアチェンジする楽しさは残されている。

最高に素晴らしいのは、クラッチレバーを握るだけでライダーがいつでも強制介入可能なところ。瞬時にマニュアルクラッチ車として扱え、レバー操作を終えてから数秒後には、再びオートクラッチモデルに戻る。

もっともレブル250に搭載されている249㏄水冷単気筒エンジンとEクラッチの相性は非常によく、半クラッチ制御も秀逸なので、上級者でも少し慣れたら、クラッチレバーを握る瞬間は訪れないかも。テスト目的でいやらしい極低速走行を繰り返そうが、スロットルを閉じたままシフトアップしようが、逆に開けたままダウンしようが、ギクシャクすることなく操作を許容し、常にスムーズな走りをもたらす。

第1弾の650シリーズと同じく、レブル250も電子制御スロットルは採用していないので、シフトダウン時のオートブリッピング機能はない。このため650は、超高回転域で2→1速にシフトダウンすると、瞬間的に車体の挙動が乱れることがあった。ところがレブル250の場合、シフトダウン時の半クラッチ時間が微妙に長く、レブリミット付近で1速まで落としたとしても、タイヤがキュッと鳴くことはない。

唯一気になったのは、エンジンの右側に追加されたクラッチアクチュエーターユニットが、右足のふくらはぎに触れるところ。ただしアクチュエーターのカバーは、足に触れても不快感がない形状とするなどの配慮が施されており、乗っているうちに違和感は減っていった。

ていねいにスロットル操作すれば極低速域でもギクシャクしないので、ハンドルフルロックのUターンも余裕。エンストしない利点を活かし、スロットルを多めに開けつつリアブレーキで速度調整するのもオススメ

まあ、はっきり言って細かいことはどうでもいい。これは確実にバイクの敷居を下げ、気軽なだけでなく、操る楽しさの入り口にもなるモデルだから。ここからスタートすれば、バイクの難しさにめげることもないだろうし、かつてライダーだった人たちが戻ってくるかも、と思わせてくれる存在である。

まずはここから。レブル250 Eクラッチは、身近な人たちに自信を持って薦められる優しさだった。

HONDA Rebel 250 S Edition E-Clutch

HONDA Rebel 250 S Edition E-Clutch
エンジン水冷4ストローク単気筒 DOHC4バルブ
総排気量249cc
最高出力26ps / 9500rpm
最大トルク22Nm / 6000rpm
タイヤサイズF=130/90-16 R=150/80-16
ホイールベース1490mm
シート高690mm
車両重量175(174)kg
燃料タンク容量11L
価格73万1500円(69万3000円)
※( )内はRebel 250 E-Clutch

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