
【STMスリッパークラッチ】リフレッシュを兼ねてスリッパークラッチ化【モトコルセ|好きだからこだわりたい】
何年経っても魅力が色褪せることなく、それぞれの個性を輝かせるのがドゥカティ。乾式クラッチ時代のモデルも、適正なメンテナンスを加えればまだまだ楽しめる。
PHOTO/K.MASUKAWA TEXT/T.YAMASHITA
取材協力/モトコルセ TEL046-220-1711 https://www.motocorse.jp/
リフレッシュを兼ねてスリッパークラッチ化
最新を惜しみなく投入したニューモデルの数々は、ドゥカティの魅力を引き上げてくれるが、これらの誕生により往年のモデルがすぐに輝きを失うわけではない。車齢を重ねるとともに、「現代のバイクにはないもの」という価値が加わり、それもまた愛着を深める。
例えば水冷Lツインのスーパーバイクは、水冷V4エンジンが登場して以降も、根強いファンが多い。現行型よりも過激な雰囲気を押し出していたモンスターS4シリーズ、いまだに復活を望む声が大きいスポルト1000、さらに古い時代の900SSや900SLなどを、大切に乗り続けるオーナーは少なくない。
これらのドゥカティに共通するのは、特徴的な音色を奏でる乾式クラッチ。現在のドゥカティがほぼ採用しなくなったアイテムのひとつだが、当時の純正乾式クラッチはちょっぴり気難しく、それに起因する酷使と経年劣化で、コンディションが悪くなった旧型ドゥカティも増えている。
そこで提案したいのが、イタリア・STM社のオリジナルスリッパークラッチキットを使ったリフレッシュである。車種によって多少の差はあるが、ドゥカティ純正パーツを使用したオーバーホールでも、クラッチディスクだけでなくプレッシャープレートやバスケットなどをすべて新品にする場合、約15万円の部品代が必要となる。

価格:10万5600円
ドゥカティ純正のクラッチバスケットとディスクパックを使用することで、導入コストを抑えられるエントリーモデル。もちろん、STMならではの滑らかなスリッパー機能を生むボールベアリングと6本足スパイダースプリングや、発進時のジャダーを抑止する独自のエンゲージメントプレートも採用している。
一方STMのスリッパークラッチは、コンプリートキットで約17万円。つまり2万円ほどの差で、レースシーンでも絶大な信頼を集めるSTMのスリッパー機能と、純正よりも滑らかで確実なクラッチ操作性を得ることができる。キットは、発進時のジャダーを抑止する機構も搭載。コンプリートキットはディスクパックもSTMオリジナルの設計と素材で、純正以上の確実なクラッチコントロールも期待できる。
また、同シリーズにはドゥカティ純正のクラッチバスケットとディスクパックを使用するエコノミーキットも設定。こちらも、純正パーツとの差額は2~3万円程度となる。
もちろんこれらの製品は、ドゥカティの水冷Lツインエンジンを搭載したビモータのDBシリーズやテージ3Dにも使用可能。名機を末永く元気に走らせるための、心強いアイテムのひとつとなる。
販売終了から20年以上が経過したドゥカティモデルの消耗部品を重要部品と位置づけ、最新の機能を追加・アップデートし、少量の需要に対しても開発・製造を継続しているのは、まさにSTM社の企業理念の一例なのだ。





コンプリート版には、超々ジュラルミン鍛造削り出しのクラッチバスケットと専用のディスクセットなども同梱。フリクションプレートは純正の4倍となる48歯仕様で、これによりバスケットとディスクにかかる負担が分散されるため、スラスト方向の動きがよりスムーズに

フリクションプレートが摩耗によって減少した際、通常の1.5mm厚と入れ替えてディスクパック厚を規定値に戻し、長持ちさせるというパーツ
【STM クラッチコントロールロッド アライメントボール (Ducati純正クラッチ適合)】価格:6600円
フリクションプレートが摩耗によって減少した際、通常の1.5mm厚と入れ替えてディスクパック厚を規定値に戻し、長持ちさせるというパーツ