【DUCATI DESMO450】DUCATI製モトクロッサーが登場! 超高回転型デスモドロミックエンジンを搭載

イタリアが誇るモトクロスレジェンドのトニー・カイローリの開発サポートを受けて誕生した、ドゥカティ初の本格的モトクロッサー『DESMO450 MX』が、待望の国内販売開始を前に全日本モトクロスSUGO会場で初お披露目された。早速ドゥカティ仙台の砂田氏の話を伺った

PHOTO&TEXT/D.Miyazaki 宮崎大吾

超高回転型デスモドロミックエンジン搭載

2024年からイタリアモトクロス選手権に参戦しているドゥカティは、アレッサンドロ・ルピーノ選手のライドによってタイトルを獲得。ドゥカティといえば、ここ数年MotoGPを席巻しているメーカーとしても知られるが、モトクロスにおいても参戦初戦から勝利を飾るなど輝かしい戦績を残した。さらに本年度は、かねてから噂されていた250モデルもイタリア選手権に導入。こちらも独自のデスモドロミックバルブシステムを採用し、高回転域でのアドバンテージを確保していることが想像できる。

450MXはいよいよ生産車がヨーロッパと米国で随時発売を開始。日本国内では「ドゥカティ群馬」と「ドゥカティ大阪イースト」の2店舗での発売が発表されている。全日本モトクロスSUGO大会会場には、ドゥカティ仙台がルピーノ選手の参戦車両を展示し、多くの注目を浴びた。

過去にモトクロスIAライダー、スズキワークスメカニックとして活躍した砂田彰氏にマシン概要について尋ねてみた。
「最大の特徴は国産車にはみられない『デスモドロミック(バルブスプリングを使用せずバルブを機械的に開閉する機構で、高回転域のバルブ作動を安定、正確に行うことができ、高回転・高出力化に貢献すると言われる)』を採用していることで、高速での伸びが有効なことですね。MotoGPで培われた技術がフィードバックされて、スタートでも優位に立てると思います。また独自のフレーム構造を持ち、耐久性と剛性を高めながらも軽量であることです。

国内初公開となるDESMO450 MXは、ヤマハなど各チームスタッフからの注目度も高かった。第3戦関東大会(オフロードヴィレッジ)でも展示予定で、その後はドゥカティ群馬でも展示されるという

サスペンションはSHOWAで、国内発売されるのはスタンダードよりもグレードの高いRシリーズで、カシマコートが標準装備されます。このR仕様は他にもアクラポビッチのマフラー、GET、クイックシフター(アップのみ)、トラクションコントロール、エンジンブレーキ調整などが可能で、Wi-Fiによりスマホでのモニタリングも可能です」とのこと。

気になる国内発売だが、今年12月に生産開始、出来次第各国にデリバリーされるが、日本はおそらく2026年1月頃のようだ。価格自体は発表されていないが、おそらく180万円前後と本誌は予想する。国産モデルの高騰や付属するパーツなどを考えると、決して高くないというのが正直な印象。

トライアンフ、そしてドゥカティ。モトクロス、エンデューロ界の黒船はもうすぐ近くまで迫っている!

高回転型デスモドロミック機構エンジン+アクラポ

シリンダーヘッドの大きさが、モトクロス初のデスモドロミックバルブ機構の存在感を際立たせている449.6cc 4ストローク単気筒エンジン。最高出力は63.5ps(9,400rpm)、最大トルク53.5Nm(7,500rpm)で、レブリミットは11,900rpm。内径×行程は96×62.1mm。本社の発表によると、70rpmという極低回転時にも最大トルクの42%を発揮する強力なトルク曲線を備えているという。

また、従来の形状よりも6.5%高い放射面積をもつラジエターはコンパクトながら冷却効果が高いようだ。写真はルピーノ選手のプロトタイプ車両だが、国内販売予定のR仕様にもアクラポビッチ製マフラーが装着される見込みだ。

ヘッドパイプ、メインパイプ1本型フレーム

ドゥカティがスーパーバイクからフィードバックしたフロント部が単一の鋳造部品となるフレームにより、コンパクトかつ最適な形状を実現。ワンピース型のヘッドパイプ自体はホンダが特許を持つ仕様だが、溶接して繋ぎ合わせているのが見て取れると、砂田氏の見解。

フロントにデュアルピストンフローティングキャリパー、リアにシングルピストンキャリパーを備えたブレンボ製ブレーキを搭載。ガルファー製ローターはフロント260mm、リア240mm。鋳造アルミスイングアームと鍛造アルミリンケージを搭載

国内市販車にもGETのECUが標準装備予定。展示車にはMAP1、2の切り替えスイッチが装備。独自のトラクションコントロールも気になるところだ。dominoのロックオングリップやアチェルビスのハンドガードも装備されていた

関連記事一覧