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【Thinking Time】⑪コロナ禍で増えていた 奥多摩の事故

*BikeJIN vol.220(2021年6月号)p.134-p135より抜粋

外出自粛が叫ばれた昨年、全国で交通事故発生件数は減少し、
交通事故による死者数も統計以来、初めて3000人を下回った。
そんな中、東京都内のツーリングエリア 奥多摩周遊道路とその周辺では二輪車事故が増えていた

全国的には減少傾向だが 奥多摩では転倒事故が増えた

昨年は、コロナ禍の外出自粛もあってか全国的に交通事故が減り、死者数も統計以来初めて3000人を下回った。しかし、バイク事故による死者数だけは526人と前年比16人増となった。全国的に見れば、バイク事故の発生件数も減っているのだが……。

死亡事故につながるような要因はいくつも考えられる。「コロナ禍で道が空き、速度超過が増えた」「免許取得増により初心運転者が増えた」「若年層による250㏄クラスの事故が増えた」「50代リターンライダーによる大型バイク事故が増えた」などだ。バイクの死亡事故を通行目的別に見ると、通勤・通学時に次いでツーリング中が多いとされる。事実、東京都内のツーリングエリア「奥多摩」でも、死亡事故こそなかったものの、バイク事故の発生件数は増えていた。中でも、人身事故扱いにならないような軽微な単独転倒(物件事故)が多い。 観光道路としては造りが古く、線形が複雑で複合的なカーブも多い奥多摩周遊道路では、カーブで曲がり切れずにスリップダウン(握りゴケ)をするライダーが後を絶たない。免許取得後まだ数年という20代のビギナーライダーが250㏄スポーツバイクで、あるいは特別定額給付金で大型二輪免許を取った50代リターンライダーが購入後間もないビッグバイクで、オーバースピード等によって転んでいるのだ。

2020年 奥多摩周遊道路と周辺の二輪車事故

事故総件数 146件   うち二輪車関与 44件

昨年、奥多摩周遊道路とその周辺で発生した人身事故は146件、うちバイクが関与するものは44件だった。二輪車のみの人身事故は30件で、うち単独事故が22件(前年比104%)と増えていた。なお、軽微な単独転倒など、いわゆる物件事故として扱われているものは人身事故の3倍にも及んでいる。主な事故原因は、速度超過と安全運転義務違反(前方不注意など)となる。

【二輪車事故状況「曜日別」】
バイク事故はやはり週末に集中しており、土・日・祝日だけで76% を占めている。奥多摩周遊道路は、ドライブ観光客や登山客のほか、サイクルツーリング客も多く注意が必要だ

【二輪車事故状況[年齢層]】
奥多摩周遊道路とその周辺でバイク事故を起こしているのは10〜20代が約半分を占めている。250㏄クラスの軽車両が多いようだ。また、バイクブーム世代、リターンライダーも多い50代が2割強となっている

奥多摩周遊道路事故発生MAP

2018年上半期(1~6月)複数事故発生地点

①12.1㎞地点のカーブ

月夜見第二駐車場からゆるやかに上る区間。このカーブの前後は傾斜がほとんどなくスピードを出し過ぎる。今年、カーブ前後で2件の事故

②13.4㎞地点の連続カーブ

周遊道路の最高地点である風張峠を過ぎれば下り区間となる。浅間尾根駐車場までの連続カーブ区間も事故が多い。今年2件の事故が発生

③ストレート直後のS字

浅間尾根駐車場を過ぎて長めの直線のあと数馬駐車場までのS字カーブ。区間内は全て下り。直線区間直後のカーブで3件の事故。走り屋の往復区間でもある

④都民の森直後のヘアピン

16.5㎞地点の下りヘアピンカーブ。カーブ手前で線形がわずかに右に振れるものの樹木でカーブの奥は見えない。今年3件の事故発生

⑤19.4㎞地点カーブ

周遊道路終点の九頭竜橋手前にある複合カーブ。下りカーブの奥で左に切れ込むため曲がり切れない。今年3件の事故が発生。速度を落とそう

詳細は以下より↓

交通安全イベント「SAFETY OF ひのはら」 

主催者:五日市警察署第九方面交通機動隊
日時:2021年3月28日(日) 10:30~11:30
場所:檜原都民の森駐車場

当日はあいにくの雨となったが、日曜日ということもあってか、多くのツーリングライダーが奥多摩周遊道路を走りに来ていた。イベントは都民の森駐車場の一画を使って行われ、立ち寄ったライダーも大勢参加していた

第九方面交通機動隊の白バイ隊員による講話では、「雨なので道路上の白線やペイントに気を付けましょう」など雨天走行でのワンポイントアドバイスもあった

奥多摩周遊道路でのバイク事故防止を目的とした、人気バイク漫画「ばくおん!!」とのコラボステッカ ーも配布された。奥多摩では過去にも数回、コラボイベントが開催され、ライダーに人気だ

交通安全情報のPR品や反射素材を織り込んだマスクといった今どきのノベルティも用意された

箱根駅伝でもランナーを先導したBMW「Cエボリューション」の白バイ展示もあり注目を集めた

「1人で走っているし、県をまたいでないから問題ないでしょ」という都内在住ライダーの声も聞こえてくるが、そうした自己肯定感こそが油断のもと。コロナ禍だからこそ、胸部プロテクター等の安全装備を整え、いつも以上に慎重な走りを心がけてほしい。

Writer 田中淳磨(輪)さん

二輪専門誌編集長を務めた後、二輪大手販売店、官庁系コンサル事務所への勤務を経て独立。三ない運動、駐車問題など二輪車利用環境問題のほか若年層施策、EV利活用、地域活性化にも取り組む
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