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[アニメ聖地巡礼]最終兵器彼女

(BikeJIN2022年7月号より抜粋)

二次元マニアを指す呼称として80年代に誕生した「ヲタク」という言葉
インドア派と思われがちだが、好きな作品をきっかけとした彼らの行動力はスゴい
そんなヲタクの1 人である私がハマっているのがアニメツーリズム
今回の舞台は、北のウォール街と呼ばれた小樽だ

3月下旬、全国的にまん延防止等重点措置が解除されたことで、ツーリングに対する熱が復活。このゴールデンウィークに北の大地まで足を延ばした人も少なくないだろう。

さて、都心近郊に住むライダーにとって、北海道へのアクセスでもっともメジャーなフェリー乗り場は、茨城県の大洗港だ。私の住む千葉県市川市(東京都江戸川区に隣接)からおよそ130㎞の距離にあり、アクセスは非常にいい。そして、この大洗発の商船三井フェリーが予約できないときは、次点として仙台発の太平洋フェリーを選ぶ。仙台港までの距離は360㎞と一気に増えるが、長丁場となる船旅の大半は寝て過ごすので、むしろ疲労した状態で乗船した方が深く眠れるというものだ。

この2つのルート、気を付けなければならないのは、北海道の玄関口である苫小牧港の到着時刻だ。大洗港発の商船三井フェリーの場合、夕方便は13時30分(深夜便なら19時45分)に到着する。そして仙台港発の太平洋フェリーは1日1便で、苫小牧港着は11時ちょうどだ。どちらも昼前後に到着するので、なにも問題ないように思えるが、例えば初日に富良野あたりでキャンプ泊をしたいとなると、ルート途中の観光もそこそこに移動しないと日没までに着かないことも。

そこで、もっと早くに北海道へ到着するルートがないものか調べているうちに発見したのが、小樽港着の新日本海フェリーだ。新潟港発なので遠いように感じるが、東京からの距離は仙台と同じ。しかも小樽の到着時刻が4時半なので、上陸初日に移動
できる距離が一気に延びるのだ。

かつて北のウォール街と呼ばれた街だけに、歴史的な建造物が数多く残る小樽。ゆえに観光客が多いのだが、新日本海フェリーなら早朝に下船するので、こうして運河を背景に人っ子ひとりいない写真を撮ることだって可能なのだ
フェリーが小樽港に到着したシーン。2020 年8 月に来道したときもので、遠くに稜線が見えるものの、照明がないと地図が読めないほど暗い

というわけで前振りが非常に長くなったが、小樽と言えば今回取り上げる作品「最終兵器彼女」の主な舞台となった場所であり、特に旭展望台は印象的なシーンが何度も登場し、初めてここを訪れたときにはリアルに足が震えた。略称「サイカノ」は2000年1月から2001年10月までビッグコミックスピリッツに連載された漫画で、アニメ化や実写映画化もされている。主人公とヒロインが世界の危機に直面するという、いわゆるセカイ系に分類される作品の1つであり、不朽の名作と評価される一方でトラウマになったという人も存在し、それだけ大きなインパクトを与えた作品なのだ。

小樽港から5㎞の距離にある旭展望台。サイカノにおいて最も象徴的な場所であり、訪れた瞬間にさまざまな想いが去来。結局、ほかの聖地を巡るという選択肢を放棄した

この旭展望台をはじめ、ここへ至る地獄坂や小樽駅周辺など、作品に登場する場所は集中しており、新日本海フェリーを使えば、人がほとんどいない早朝から聖地巡礼をすることができる。ネックとしては、朝早すぎるがゆえに飲食店はほぼ開いておらず、セイコーマートなどコンビニぐらいでしか食料を買えないことだが、それでもルート選択の自由度が高い早朝着はじつにありがたい。

日本海から昇る朝日を旭展望台より望む。これを見てからスタートしても、昼過ぎに宗谷岬まで行けるのが早朝着の大きなメリットだ

なお、同じくセカイ系のオススメに「イリヤの空、UFOの夏」という作品があるが、語り始めると止まらなくなるのでまた別の機会に。

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