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【カタナ専門ショップ・ユニコーン②】ユニコーンはKATANA専門ショップへ

(BikeJINvol.233 2022年5月号より抜粋)

原付スクーターからスポーツバイクまで販売する、ごく普通のスズキ二輪車専売店(SBS)として、85年にスタートした「神戸ユニコーン」。当時はバイクブームで、仕事は山のようにあり、一方で私もまだ20代前半で若くて体力もあったので、最初の1年はほとんど家にも帰らずショップに泊まり込みながら仕事をしていました。

そんな感じで仕事ばかりしていて、せいぜい遊ぶのはバイクで走りに行くくらいですから、当然ながらお金は貯まります。

神戸ユニコーン最初の店舗前で、当時のツーリングクラブメンバーたちと。こうやって見ると、奥行きはあるにせよかなり小さい店舗だったことがわかる

そこで、「そうだ、部品を作ろう!」となったわけです。それが89 年のこと。当時すでに、私はGSX1100Sカタナを所有していたのですが、欲しかったヨシムラさんのフロントフォークスタビライザー(左右フロントフォークのアウターチューブを結合して剛性を高めるパーツ)はすでに廃番。そこで、自分で応力の計算などをして設計し、一般販売もすることに決めたのです。そして、あくまでもストリートで使うパーツとして、通販で購入したユーザーが簡単にボルトオンできるようにこだわって設計を施したところ……。これが、本当に驚くほど飛ぶように売れることになったのです。

これまたラッキーなことに、友人がたまたまバイク雑誌と付き合いがあって、「広告出せるけど、どう?」と声をかけてくれました。あの当時、バイクパーツに関する宣伝方法なんて専門誌くらいしかなかったですし、かといって20代の若僧には、どうやったら雑誌に広告を出せるかなんてわかるわけもありません。もしも自分でなんとかしようと思っていたら、まずは本屋さんに問い合わせの電話をしていたかも……。でも友人のおかげで、スムーズに雑誌広告を出すことができたのです。

広告の効果もありスタビライザーが大ヒットしたことから、次は同じく1100カタナ用のクラッチレリーズアームを製作。これも、クラッチが重いのが嫌で自分が欲しかったアイテムでした。ちなみに現在でも販売している超ロングセラー商品です。そしてその後、「レリーズアームの次はクラッチワイヤーも……」とか、「ツーリングで欲しいから荷掛けフックも……」なんて、オリジナルパーツのラインアップは増えていきます。すると業務はどんどん多忙になり、ショップにはカタナユーザーもどんどん集まるように。倉庫を借り、従業員を雇って社員寮を用意しても、20 坪の店舗では完全に限界。そこで93年、同じ神戸市垂水区内の2店舗目に移転しました。

前号でも紹介した神戸ユニコーンとして2カ所目の店舗。まだSBSの看板が大きく掲げられ、“バイク屋さん”らしい雰囲気がある

床面積が倍の40 坪になったこの店舗には、旋盤やフライス盤、アルゴン溶接機などの工作機械を多数導入。相変わらずSBSの看板は掲げていましたが、ほとんどカスタムショップのスタイルになっていました。しかしそのわずか2年後、神戸は阪神・淡路大震災に襲われることになります。

我々の店舗も被災したのですが、ありがたいことに仕事には困らず生活できました。道路が被害を受けたことから、バイクショップとしては開店休業状態。しかし震災前から、カタナに88 年型GSX-R1100のフロント足周りを移植できるキットを手がけており、これが累計400 セットという爆発的なヒットを生み、流通復活後はこの通販で仕事を継続することができたのです。このキットは、安全性にとにかくこだわった設計を施し、市販前に1万㎞以上の実走テストもするなど、時間をかけて開発。真面目に開発したことがユーザーに認められ、ショップを救ってくれることにもつながったのです。

現在のユニコーンジャパンは横浜市金沢区福浦2-13-21にあり、工場にショールーム&カフェを併設。マニア垂涎のカタナ車両&グッズも多数展示されている
ユニコーンジャパン代表:池田隆さん
専門的二輪車の世界には道を突き詰める楽しさあり!スズキ・カタナシリーズのスペシャリストとして活動する横浜市のユニコーンジャパンその代表を務める池田隆さんは極めて豊富な経験と知識を持つ世界最高峰の“刀職人”だ

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