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ハーレー和尚のバイク説法「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」

バイク寺として親しまれる大阪府能勢町にある「妙見宗総本山 本瀧寺」の執事長。40歳の時に大型二輪免許を取得。ショベルに乗るハーレー和尚として、バイク講話など交通安全普及に努める

 本瀧寺のシュウケンです。お地蔵様と言えば、お寺はもちろん道路脇など、地域でも見かけるとても馴染み深い仏様です。親しみのある地蔵を安置し、一人でも多くのライダーに接していただくことが、少しでも交通安全に繋がればと思っています。

ヘルメットを被った兄弟のお地蔵様が並んでいるバイク寺蔵。境内のカフェ「ほんたき寺巣」の入口付近に安置され、境内を訪れるライダーたちの交通安全などを見守ってくれる

 私たちが言う地蔵とは、『地蔵菩薩』の略のことで、菩薩の一尊になります。仏教では、お釈迦様が入滅してから56億7000万年後に弥勒菩薩が現れて、人々を救済します。それまで現世は仏が不在の状態です。その無仏の間、六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道)を巡って衆生を救ってくださるのが、地蔵菩薩とされています。

「一つ積んでは父のため」「二つ積んでは母のため」と、賽の河原で石を積む子供たちを鬼から護るのもこの地蔵菩薩です。広大な慈悲の心で分け隔てなく人々を救ってくださる地蔵菩薩は、人気の高い菩薩で、多くの人に信仰されています。日本各地の道路脇などでよく見かけるのも、それらが理由です。

 今のように交通手段や道路が発達していなかった昔、ほとんどの人はその村(地域)で一生を終えることが多く、村が世界のすべてでした。村と外の世界を結ぶ道は、新しい文化や情報が入口であると同時に、疫病などの災いをもたらすものでもありました。その災いなどから村を護り、新しい知識をもたらす旅人の安全を護るために、村への入り口などに地蔵が祀られたとされています。

 初めて行くツーリング先。その新しい世界で、そこに暮らす人や文化に触れるのは、ツーリングの醍醐味の一つだと思います。ただアナタの行い一つで、その地域にとってアナタ自身が災いになることもあるのです。ツーリングに「旅の恥はかき捨て」はありません。もし、ツーリング中にお地蔵様を見かけたら、そのことを少し思い出してください。そして運転中に手を合わすことはできませんが、支障がない程度に心の中で手を合わせてみてはどうでしょうか。お地蔵様が安全を見守ってくれるのと同時に、アナタ自身の運転する心に少し余裕が生まれると思います。

ちなみに地蔵菩薩は、閻魔大王の化身とも言われています。生前の行いで天国に行くのか、地獄に行くのかを裁く閻魔大王。ツーリング先でライダーの安全を見守るのと同時に、お地蔵様は旅先でのアナタの行いをしっかりとチェックなされているのかもしれません。


合掌

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