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【バイク日和】ラーメンへ注ぐ愛情同様にバイクへの思いも深い

群馬県桐生市で『らーめん芝浜』を営む高橋亮雄さんは現在
アフリカツインを筆頭に5台のバイクを所有する
遠出はできないが、多忙な日々を送る中で5台すべてに乗るという
ラーメンへのこだわりとバイクとの向き合い方を尋ねてみた

5台あるバイクはすべて分け隔てなく乗る

パニヤ、トップケース装備の旅仕様であるCRF1100Lアフリカツインに颯爽と乗る高橋さんだが、現実にはなかなかロングツーリングに出かけられないのが悩みの種だ。それでも時間を見つけてはショートツーリングを楽しんでいる。

赤城山の麓、群馬県桐生市の市街地に『らーめん芝浜』はある。決して広い店じゃないけれど、県内外から大勢の客が訪れる人気店で、行列になることも多い。朝7時からの営業で、朝らー定食を目当てに来店する客が絶えない。昼1時までの営業だが、麺がなくなり次第閉店となる。高橋さんは毎朝4時から製麺作業に取り掛かる。そう、芝浜のラーメンはすべて自家製麺なのだ。

ラーメン屋をやりたいと中学生のころから願っていた高橋さんは、調理科のある高校へ進学。卒業後は都内の中華料理店で修業し、同時に各地のラーメン店を何百軒とめぐり味を研究。その後、県内のレストランに勤務して資金を貯め、37歳でらーめん芝浜を開店させた。芝浜の名の由来は、昔から好きだった落語にちなんだもので、芝浜は夫婦の愛や絆を題材とした古典落語の演目のひとつだ。ちなみに、朝らー定食にも談志、米朝、歌丸など落語家の名前が付けられている。国産小麦100%の自家製麺や化学調味料を一切使わないスープや具材と同様に、落語へのこだわりも相当なものである。

ラーメンと落語への愛が深い高橋さんがバイクに乗るようになったのは高校生のとき。16歳の誕生日に原付免許を取り、母親が所有していたヤマハジョグに乗り回すところからスタートした。アルバイトの収入で17歳のときにスズキガンマ50を購入し、普段の足として使っていた。それからしばらくは群馬県では必需品の四輪車のほうが主体となるのだが、21歳で中型免許を取得するとすぐに、中古のヤマハTW200を手に入れ、流行りのスカチューンで決めた。TWは通勤や休日のツーリングなどに利用していたが、よりパワーに余裕のあるバイクがほしくなりスズキのインパルス400に乗り換えた。ヨシムラサイクロンマフラーを装着したインパルスは、通勤にももちろん利用したが、ラーメン店をめぐるツーリングにも活用したという。そうしたバイクとの付き合いは27歳まで続いた。

ところが、らーめん芝浜を開店させるまでの10 年間、高橋さんはバイクから離れていた。中学のころからの夢だったラーメン屋を立ち上げるために奔走していたのだ。再びバイクに乗るようになったのは、開店から2年を経て営業が落ち着きを見せ始めたとき。39歳で大型二輪免許を取り、カワサキZ900RSを購入。36歳のときに結婚した奥様もこのとき、ヤマハXSR700を入手。休日には夫婦で日光から福島へ出かけたり、長野県のビーナスラインへツーリングしたりした。しかしより遠くまで行きたいと1年後に現在のアフリカツインを増車。奥様のほうもトライアンフ・タイガー800を新たに加えた。こうして4台のバイクを所有することになったが、フタを開けてみればアドベンチャーバイクばかりに乗ることとなり、ZとXSRを手放すことになる。そして念願の北海道へ、約10日間をかけて夫婦一緒にツーリングしたのである。「このときの北海道ツーリングがもっとも思い出深いですね」と懐かしむ。

いまふたりのお子さんの育児に忙しい奥様はバイクに乗っていない。だが高橋さんのバイク熱は高まるばかりで、自宅ガレージにはアフリカツイン、タイガー800のほかにも、67 年式トライアンフ・ボンネビル、カワサキZ550、そしてホンダ・クロスカブ50の計5台が置かれている。すべてに乗るのは大変でしょうと尋ねたところ、通勤などでまんべんなく乗っているのだとか。限られた時間の中で充実したバイクライフを送っているのである。

すぐにでもロングツーリングできる装備のアフリカツインだが、現在は店の営業終了後に数時間程度、赤城山など近くを走ってリフレッシュするにとどまっている

ラーメン屋になりたいという子供のころからの夢を叶えた高橋さん。大好きなラーメンにも落語にも、そしてバイクにもこだわりを持って接している

開店から10年目を迎えた『らーめん芝浜』は、桐生一の人気店。高橋さんは朝4時から製麺作業を始める。現在は厳選した北海道産小麦を使い、スープなどにも化学調味料は使わない。素材には徹底してこだわっている。だからこそファンが多い

自宅のガレージには現在所有している5台のバイクが整然と置かれている。中にはレアなバイクもあってちょっとしたコレクションだ。高橋さんはこれら5台すべてを通勤などで分け隔てなく乗っているのだからすごい

アフリカツインとタイガー800で奥様とふたりで行った北海道ツーリング。10日間の日程の中で雄大な風景を満喫した夫婦旅は、高橋さんにとってもっとも思い出深いものとなっているという

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