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【カラダ整備】ステップ⑩ 基本のスクワットこそが“原点”にして“頂点”

BikeJIN2023年10月号 Vol.248掲載

前回は、ニーグリップする力を生むのに必要となる内転筋(内腿にある筋肉)を鍛えることを目的としてワイドスクワット、股関節周りの筋肉を広範囲に鍛えるためにブルガリアンスクワットを紹介しました。しかしこの連載では、基本となる一般的なスクワットについて、まだ触れていませんでした。そこで今回はまず、基本のスクワットをお教えしましょう!

そもそもスクワットは、「キング・オブ・エクササイズ」と言われることもあるほど、多くの効果を得られるトレーニングとして知られています。人間の身体は6〜7割の筋肉が下半身にあるのですが、その中でもとくに大きい大腿四頭筋(太腿の前側)やハムストリングス(太腿の後ろ側)、大殿筋(お尻)などをしっかり使うので、消費カロリーが大きくダイエットにも効果的。しかしそれだけではなく、キレのあるライディングにも欠かせない、下半身の運動パフォーマンス向上もかなり期待できます。

下半身の関節を順番に考えると、股関節は回転もできるので可動性、膝は基本的に屈伸方向のみにしか動かないので安定性、足首はよく動くので可動性のセクション。そのため、膝の上下に位置する股関節や足首に安定性がないと、膝に左右のブレがある状態で下半身を動かすことになり、膝に負担がかかり痛みなどの原因になることがあります。スクワットは、その予防または症状改善にも最適。日常生活で膝に痛みを感じている人も、ぜひ取り入れてみてください。

ただしスクワットは、腰を落としたときに膝がつま先よりも前に出てしまうと、むしろ腰痛や膝関節痛の原因となりやすく、大腿四頭筋以外の筋肉に刺激が入りづらくなってしまいます。そこで、誰かにチェックしてもらわなくても、正しい姿勢でスクワットできているか分かる方法を、下で詳しく紹介します。

また、スクワットで腰を落とした体勢から、お尻に体重をかけつつつま先を浮かせて身体を少し後傾し、すぐに戻る動作を繰り返すことで、前脛骨筋(脛の筋肉)のエクササイズも可能。左足側の前脛骨筋は、マニュアル変速のバイクをシフトチェンジするときに使う筋肉で、これをライディングポジションに近い姿勢で鍛えられるのが、このエクササイズの特徴です。またシフトチェンジに限らず、前脛骨筋のエクササイズは足首の強化になるので、結果的には安定感ある下半身の動きにもつながっていきます。

ちなみに、ライディングに特化していない一般的な話として、「毎日たったひとつだけエクササイズするなら、どれがオススメ?」と聞かれたら、やっぱり私は“筋トレの王様” と言われるスクワットを挙げます。正しい姿勢でやることが大前提ですが、スクワットには本当にメリットがたくさん。下半身中心で車体を操るバイクの運転にも、かなりプラスの作用があると考えられます。ライダーの皆さんも、10回×3セットを目安に、ぜひ毎日続けてみてください!

❶ スクワットの腰を落とした状態で静止
❷ お尻に少し体重をかけつつ、足裏のつま先側を全体的に床から浮かせて、かかとのみで立つ
❸ 後傾した状態からすぐに戻り、再び後傾という動作を繰り返す。まずは15回×3セットを1日にやる目安としたい

注意点

・膝がつま先よりも前に出ないように
・つま先だけ上げても効果はない。母趾球が床から浮くように意識
・後傾時によろけることがあるので、周囲の安全を事前に確認

❶ 壁に向かって立ち、足を肩幅程度に広げてつま先を壁に向ける
❷ 腕を上げ、同じく肩幅程度に広げて壁に手のひらを着ける
❸ 手のひらを壁に添わせつつ、膝を曲げて腰をやや後方に落としていく
❹ 手のひらを壁に添わせたまま元の姿勢に戻る。10回×3セットを基本に、この動作を繰り返す

注意点

・つま先を壁につけて立つのが理想的
・難しければできるだけ近くに立つ

柔軟性が足りない人、腰を落としたときに身体うまく反れない人は、両腕を前に伸ばした状態でのスクワットがオススメ。本来は、上半身が前のめりになることで膝がつま先よりも前になりがちなのだが、腕を前に伸ばすことで全体の重心が前になるので、膝をつま先と同じラインに保ったままでもバランスがとりやすくなる

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