知らないでは済まされない交通違反＆事故シチュエーションカタログ｜①交差点

交差点、狭い路地には、見落としがちな危険が潜んでいる。速度超過や進路変更、追い越しなどの違反の先にあるのは事故。交通ルールを守って、周囲への配慮と慎重な判断と走行が不可欠だ

■ BikeJIN vol.271 2025年9月号
イラスト／田中斉　文／編集部

優先されるのは歩行者常に譲る気持ちで

交差点はライダーにとって最も気を抜けないポイントの一つ。複数の方向から車両や歩行者が入り乱れ、わずかな判断ミスが重大事故につながる。特に注意したいのが、交差点手前の横断歩道。歩行者が渡ろうとしているにもかかわらず減速せずに進入するバイクは少なくないが、それは明確な違反行為であり、歩行者の命を脅かす危険な行為。信号の有無にかかわらず、横断歩道に近づくときは常に減速と周囲確認を徹底することが必要だ。

また、交差点付近での追い越しも極めてリスクが高い。前車が減速している理由を考えず、斜めにレーンをまたいで追い越そうとしたその瞬間、交差点に進入するクルマや歩行者と接触するケースは多い。特に信号発進直後の追い越しは、他車がまだ安定していない中で無理な進路変更をすることになり、非常に危険だ。

信号の変わり目や右左折車の挙動、周囲のドライバー、横断する歩行者の動きと状況を読みながら、いつでも止まれる準備をしておくこと。それがバイク乗りの基本姿勢であり、自分自身と他者の命を守る方法だ。

Scene①交差点

交差点は車両や歩行者、自転車が交錯する最も事故が起きやすい場所。信号無視や急な右左折、横断歩道での不停止など、判断を誤れば一瞬で危険な状況にとなってしまう。行き交うすべての事象に目を配り、違反とならない慎重な走行が求められる

状況：歩行者が渡ろうとしている横断歩道の手前で不停止

違反：横断歩行者等妨害違反
歩行者が渡ろうとしている横断歩道では、必ず手前で一時停止しなければならない。軽視しているライダーもいるが、これは法律で定められた義務で無視すれば違反に。歩行者優先がルールの基本だ

状況：横断歩道直前で追越し・追抜きを行う

違反：横断歩道等における追越し等の禁止違反
横断歩道直前での追越しや追抜きは、歩行者の発見を遅れ重大事故につながる危険な違反。前方車両が減速していても、安易に追い越さず、横断歩道手前では慎重な運転を徹底しよう

状況：歩行者混雑時、停止線越え停車で歩行空間をふさぐ

違反：横断歩道等における車両の停止方法違反および安全運転義務違反
歩行者が多い場面で停止線を越えて停車すると、歩行空間をふさぎ危険を招く。横断歩道や歩道へのはみ出しは迷惑行為であり、通行の妨げとなるため、確実に停止線の手前で止まる意識が必要

状況：横断歩道手前で停車した四輪車を追い越して歩行者妨害

違反点数：計3点

違反：横断歩行者等妨害違反および安全運転義務違反
先行するクルマが横断歩道手前で停車した際は、すぐに追い越さずにスピードダウン。歩行者が横断中ではないか確認してから追い越すように。歩行者妨害とならないように注意

状況：横断歩道上でエンジンを切らず長時間停車しアイドリング

違反点数：1点

違反：横断歩道等の遮断違反、駐停車違反
横断歩道上で長時間停車しアイドリングを続ける行為は、歩行者の通行を妨げるだけでなく、騒音や迷惑の原因。停車は場所を守り、環境にも配慮した行動を心がけよう

状況：自転車横断帯に進入して停車

違反：自転車横断帯通行違反
横断歩道だけでなく自転車横断帯に進入して停車することも重大な違反。自転車の通行を妨げて事故の原因にもなりうる。停止位置は必ず守り、自転車の安全な通行を確保することが義務

状況：短い青信号で赤信号で交差点内に取り残される

違反：交差点等進入禁止違反
短い青信号で無理に交差点に進入すると、赤信号になり取り残される恐れが。他車の進行を妨げる危険な違反となる。信号の変わり目では無理な進入を避けて、停止位置で安全に待つ判断をしよう

状況：バス専用／優先レーンを時間帯規制中に走行

違反：通行区分違反
規制時間中にバス専用・優先レーンを一般車が走行するのは違反行為。円滑な公共交通の妨げとなり、通行区分違反として処罰の対象に。標識や時間帯をよく確認して正しいレーン走行を