
ライダーはなぜ電動キックボードを嫌うのか?|予測不能な乗り物とどう共存する!?
普及が広がる一方で走行マナーの悪さも目立つ電動キックボード。市街地を走るライダーにとってなぜ脅威になるのか。その存在や行動傾向を考える
■ BikeJINvol.271 2025年9月号
イラスト/田中斉 文/風間貴允
交通安全への意識はライダーとは対極に位置
ライダーにとって市街地には様々な注意すべきシーンや要素が潜んでいる。そんな中、都心部を中心にここ数年で現れた新たな脅威が、”電動キックボード”だ。利用者のマナーや交通ルールが徹底されていないことで社会的な問題にもなっているが、道路上には予測不能に走り回る電動キックボードが多数。バイクのみならず、クルマや歩行者にとってもリスクファクターとなっている。
実は私カザマ、かなりのLuupヘビーユーザー。およそ2年前から利用者登録をして、サッとすぐに乗り出すことができる手軽さから、自宅から最寄り駅までや都内のちょっとした移動の際はついつい電動キックボードに乗ってしまう。まだまだビギナーの域を出ないバイク乗りの一端である僕から見ても、電動キックボードに乗る人たちは安全への意識が極めて希薄。「交通ルールを知らないのでは?」と思わせるような急な飛び出しや車線変更をしょっちゅう目撃してきた。車道を走るとは思えないほど軽い服装にも現れているが、ライダーとは対極に位置する存在が電動キックボードユーザーと感じている。
バイク走行中は、少しの確認・判断・操作のミスが重大な事故に直結する。それを理解しているバイク乗りは、着用するヘルメットやウエア、グローブの安全性や車体におかしな点がないか、常に気にかける。それとはかけ離れた服装と意識で走る電動キックボード。「何をするか分からない」と思って一定の距離を保つしかないのが現状だが、道路上ではライダーが模範となる存在でありたい。安全への姿勢、周囲への気遣いを見せていくことで、それを見た電動キックボード利用者が意識を改善していくことを期待したい。
ライダーと電動キックボード(特定小型原動機付自転車)利用者はこれだけ違う!
つ事故やトラブルに遭遇するか分からない路上を、軽装のまま走っているのが電動キックボード利用者の現状。安全面で見るととても脆弱な存在だ。ルール自体を理解していないのかと思うほど、交通安全への意識は低く、急な飛び出しや方向転換などが多発。ライダーとは“走る”ことへの意識が根本的に違う
ライダー
万一の事故に備えて、ヘルメット、グローブ、プロテクター付きウエアを着用。交通ルールを守るのはもちろん常に周囲に気を配って走行

電動キックボード(特定小型原動機付自転車)利用者
転倒や接触による事故の対策をせずに乗車するユーザーがほとんど。ヘルメット着用は努力義務だが、装着して走っている姿は見たことがない。安全への意識は低く、周囲を気にしない走行も散見される

電動キックボード(特定小型原動機付自転車)を運転する上での主な交通ルール(2023年7月1日の法改正以降)
・運転免許不要
・16歳未満の運転禁止
・飲酒運転の禁止
・二人乗りの禁止
・スマートフォン通話や画面注視の禁止
・原則として、車道の左端に寄って通行。右側は通行不可
・交差点での2段階右折
カザマ周辺の電動キックボード利用者は……
①交通ルールを理解していないことが多い
16歳以上であれば免許不要(シェアサービスの場合はアプリ内の簡易テストに合格するだけで利用可能)なため、右側逆走・歩道走行・信号無視など基本的な交通違反が多発。ライダーを含めた周囲は「いつ、何をするかが読めない」ため、恐怖!
②道路上では“か弱い乗り物”であることを理解していない
特定小型原動機付自転車は時速20km/h上限で加速も減速も鈍い。流れに乗れず車線内をフラフラしがちで、後続を走るライダーはどう動くのかラインを読みにくい。小径ホイール特有の不安定さで突然左右に動くことがある
③交通安全への意識が希薄
交通ルールを理解していないため、安全な走行になっているか、他車の妨げになっていないかと考えている利用者が少ない。ヘッドホンやイヤホンを装着している利用者もいるため、周囲の環境に気づかず走行しているケースも
2024年の違反数は4万件以上!海外ではシェアサービスの営業許可取消しの事例も


編集部カザマ
バイク歴2年とちょっとのまだまだ初心者ライダー。ちょっとした移動のときなど、電動キックボードも日常的に利用するので危ない走行を見るともどかしい気持ちに……