【田中淳也】全日本チャンピオン獲得と、その先に見据えているもの

IB時代に経験した本場アメリカのモトクロス。そしてシーズンオフのニュージーランドでの実戦経験。全日本IAライダーとして着々と速さと強さを増した田中淳也は、IA4年目にしてついにヒート優勝を達成した。その先に見据えているものとは何か?

田中淳也、中島漱也は共に海外での活躍を視野に入れている。共に同じニュージーランド選手権に参戦し、揉まれ、かつてのMXGPトップライダー、ジョシュ・コピンズやジェイ・ウィルソンからの指導を受けて成長してきた。田中にとって最大のライバルは、やはりチームメイトである昨年度IA2チャンピオンの中島だろう。

若手注目ライダーとしてIBオープンのシーズン途中から全日本に参戦しはじめた田中は、IA4年目のシーズンを迎えている。この3シーズンは確実に上位に進出し、成績も向上。特に昨年はテクニック、レースをまとめる力が向上した。唯一得られなかったのは「優勝」のみだった。

今季はイタリア選手権を主戦場とするブライアン・シュー(Autobrothers)と中島に勝利を奪われている形だったが、中島に肉薄する場面も多く見せていた。それが顕著に現れたのがこの第3戦である。ヒート1はスタートで出遅れたものの、上位に上がっていくことに成功。2位の鴨田には届かず3位に終わった。しかしヒート2は勝利への強い意志がスタートに現れ、前に出ることに成功。横澤や中島といった強いライバルを寄せ付けずに見事自身初のヒートウイナーに輝いた。

ヒート3もトップに立つ力走を見せた。中島との激しい攻防の末にミスして2位でフィニッシュしたが、やはり中島にとっても強力なライバルであることを証明したレースだった。

シーズンオフのニュージーランド選手権での経験は本人にとって衝撃的だったという。「今までやってきたことはなんだったのか? これが本当のモトクロスか!」と思うほど、世界は激しく厳しい戦いが行われている。日本と海外のギャップを強く感じているからこそ、見ているのは全日本チャンピオン、そしてその先にある世界だ。

中島もディフェンディングチャンピオンでありながら、全く同じ方向を向いておりチャレンジャーとしての姿勢を出している。この二人の静かなる戦い、まるで青い炎のようなライバル関係は、次戦広島以降でどのような形になっていくのか。今季IA2クラスは目が離せない。

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