フロントが使えるなら、その先のステップへ……
サーキットライディングにおけるブレーキ操作は、より制動力に優れてコントローラブルなフロントを重視するのが鉄則。ただし上級者は、リアブレーキを駆使することもある。
そのテクニックを垣間見て、多少なりとも自分の技術としたいなら、まずはストレートエンドのブレーキングでリア併用にチャレンジするのが、恐らく最もリスクが少ない。
ハードブレーキングにおけるリア併用のメリットは、言うまでもなく制動力のアップ。ただし、「フロント+リア」という単純なことではなく、リアを使うことでブレーキング区間での車体姿勢を制御しやすくなり、これにより車体の安定感が増し、なおかつ前後のブレーキやタイヤのポテンシャルをより発揮させられる効果も得られる。
「大きなポイントは、まだスロットルを開けているうちに、リアブレーキを踏んでしまうこと。先にスロットルを戻してしまうと、そのタイミングでノーズダイブが起きはじめ、リアを沈める効果が薄れます」
このように話す原田さんの操作を、下では3〜4段階に切り分けて解説している。とはいえ、連続写真の位置関係でもわかると思うが、各動作の切り替えはごく短時間で遂行されている。これを「えっと、まずはリアを踏んで、それからスロットルを戻して……」なんてやっていたら、鋭く安定したハードブレーキングにはまるでつながらず、それこそフロントブレーキだけを使うほうが上手に走れるかもしれない。
結局のところブレーキングでのリア併用は、操作をもうひとつプラスしても慌てないくらい、フロントだけでのブレーキングができている上級者でないと、武器になりそうもない。
ただし、リアが使えるようになるメリットは絶大で、とくに前後サスペンションが柔らかい車種の場合、ブレーキング時の安定感を高め、スムーズな走りにつながる。
①【最初にリアブレーキを踏みリアを沈めて安定感を作る】ストレートエンドでのハードブレーキングで、リアブレーキを併用するときは、スロットルを閉じる寸前で、先にリアブレーキペダルを踏むのが基本。リアを沈める動作を先にすることで、その後の減速操作に備えることができる
②【次にスロットルを戻せば前のめりになりにくい】リアブレーキを強めにかけてから、スロットルを閉じる。先にスロットルを戻してしまうと、エンジンブレーキの効果により減速がはじまり、フロントブレーキをかけたときほどではないとはいえ、フロントが沈んでしまうからだ
③【リアをかけ続けることでフロントの制動力を補助】エキスパートライダーは、リアブレーキに入力し続けることで、直立状態での制動力を高め、よりハードなブレーキングを狙っている。ただしレースではないスポーツライディングレベルなら、リアがまるで使えなくても問題はない
④【後からフロントをかけると前後輪が同時に沈んで安心感も高い】先にリアをかければフロントを強くかけたときに、前のめりになりづらい。車体の前後両方が沈んで前後輪に面圧がかかるため安定し、後輪が浮きづらいことから、エンジンブレーキやリアブレーキによる減速力もより高まる
【ステップから脚を放すとコントロールしにくくなる】強く素早くリアブレーキペダルを踏もうとして、ステップから足が浮いてしまうライダーもいるが、これだとただでさえ足で行うのが難しい、繊細なコントロールがしづらい。ブーツのソールをステップに付け、そこを軸に足首の動きだけで入力量を調整するのが基本だ
【ABS付きのモデルなら自信を持って強めに踏んでOK】制御が粗い車種もあるので、ABSに頼ったライディングは望ましいものではないが、ハードブレーキングにおける減速時のリアブレーキに関しては、ABSの介入が車体の挙動に与える悪影響が少ない。踏みはじめで一気に強く入力して、まずはその効果を試してみるのも一つの手だ
【サスが柔らかいモデルほどリアを使う効果が分かりやすい】オフロードバイクやアドベンチャー系のように、前後サスペンションが柔らかめでピッチングが起きやすい車種のほうが、減速でリアブレーキを併用する効果を体感しやすい。フロントブレーキだけでハードブレーキングすると、一気にノーズダイブして、車種によってはフロントフォークが底付き状態に。オフ車はリアのストロークも長いので、後輪がリフトするまでにはならないかもしれないが、この状態ではコントロール性を損なう
【普段の街乗りでもリアを使う習慣を身に付けたい】後ほどまた解説するが、実は公道を走るときのほうが、リアブレーキを使う恩恵を得やすいシーンが多い。公道で使いこなせていない技術を、はるかにハイスピードでバンク角が深いサーキットで使えるはずがない。普段からリアの練習を!