ツーリングを楽しむ全てのバイク乗りのためのWebメディア

BikeJIN

柏秀樹さん直伝“手”は口ほどにモノを言う!


疲れ・痛みの解決策は、日ごろの体力作りやストレッチなどがすべてではない!
いや、むしろ、「疲れないように運転すればいいだけですよ!」と柏秀樹さんは力説する
しかも、手の使い方だけ変えればライディングが変わってくるとのこと
それでは、手のひらと指先を使った柏流テクニックをご覧ください!

グリップの握り方ですべてが変わる

いかにして、感覚器官である手のひらに仕事をしてもらうかそこで重要なのがグリップの握り方だ「どれが正解」という話ではなく4つの方法を試してみて自分の握り方と違いを探してみよう!

5分5㎞にユルとギュッを反復

肩、ヒジに力が入らない。そのための対策は、グリップを強く握らないことが一番だ。そんなグリップの握り方は、4つのフローティンググリップを提案したい。フローティングとは「浮いていること」「浮動的、変動的」を意味するから、手が浮いている状態でグリップを握るイメージだ。補足すると、完全に浮いていると握れないのだから、とにかくユルく握る。

「握る」の強さを3段階に分けると、「強く握る」「普通に握る」「優しく握る」となるが、4つの握り方は「優しく握る」の上をさらにいく「触れる」ぐらいのデリケートさがほしい。これを普段のライディングのディフォルトにしよう。市街地もワインディングもオフロードでも、さらには発進、加速、減速、停止などあらゆるシーンで行う気持ちでいたい。

ここで紹介する4つの握り方は、目的や相性によって使い分けるのがいい。最初はエンジンをかけずまたがった状態で試し、慣れてきたら近所を走ってみるなど、練習はどこでもできる。もちろん、難しく感じる4の指2、3本の握りは無理に試さなくても問題ない。

そして、5分、5㎞に一度、握りをセルフチェックするといい。自分が今どんな状態なのかを客観的に把握できますからね。

Pattern1 手のひら全体でガチガチからユルユル握りへ

グリップの状態を横から見ると、わずかに手のひらが浮いている状態で走る。これが面で捉えるフローティンググリップその1。強く握っているときは息が止まったり、呼吸が浅くなって肩やヒジに力が入った状態。ユルユルで握れば肩に力も入りにくく、まさに余裕が走りにも身体にも残っている証拠なのだ

グリップを強く握ってからユルユル。握らず離さずな方法。豆状骨をバーエンドに当てると自動的に45度握り。手首も下がらずステア操作角度が自由

Pattern2 親指の付け根のみ

ベースの握り方は1番の手法だが、身体を左右に大きく動かす場合、外側の手は親指の付け根がグリップに触れる逆45度の握り方で、これが支点となる。グリップを親指と人差し指で握って残り3本でレバーの外側を握るとブレーキはより強く、クラッチレバーはより軽く操作できる

両腕をまっすぐに伸ばして親指の付け根のピンポイントのみをグリップの接点として体重をハンドルバーに載せてみる。あるいは、この接点のみでそのままクルーズする。とにかくソフトに握って試してみよう

Pattern3 豆状骨をグリップエンドに触れる

グリップの45度握りを実現するための有効な手法。同時にスロットル全開時に右手首が下がりにくいのが豆状骨をグリップエンドに置く手法。この握り方は両腕が円形になるだけでなく、手が小さいライダーでも薬指と小指がレバーに届きやすくなり、より強いブレーキ入力が可能となる。クラッチレバー操作もより軽くできるメリットがある

手のひらの一番下の外側にあるクリクリした形から豆状骨と呼ばれるが、東洋医学的には小豆骨

グリップに対して90度の握りは右肩が下がり、SS系バイクは手首がタンクに当たりやすい。豆状骨握りなら全開でも右ひじは下がりにくい

手首とハンドルバー90度の通常の握り方だと豆状骨は接しないが豆状骨をグリップエンドに載せると小柄な手でも4本の指がちゃんと届く

Pattern4 指2本か3本のみ

あくまでも安全安心が確保できるなら、指2本、あるいは3本のみで走行。この状態なら誰でも急なスロットルの開け閉めやブレーキ・シフト操作は行わないハズ。ニーグリップをしなくても、ていねいな加減速と旋回を心掛けおのずと操作が繊細になる

指2本か3本で操作する場合、握り方はこんな感じ。これでバイクが操作できるのって思うかもしれないが、慎重な操作を心掛けるようになる。ブレーキをかける場合は、左の写真のようにグリップには親指しか掛からない

着座だけではなくスタンディング時でも指2本か3本で試してみよう。これができれば、繊細なスロットルやブレーキ、シフト操作がうまくできている証拠

Point 疲れはココに溜まる

渋滞では特にクラッチ操作側の左腕がパンパンになりやすい。人差し指と中指を多く使う45度の握り方だと乳酸が溜まりやすい。なので、レバー操作を薬指と小指を中心に行う握りに変えるなど、状況に応じて対応したい

アイドリング旋回で実践!時速2㎞の世界

繊細な操作を意識づけるグリップの握り方をマスターしたら
今度はていねいなクラッチ操作にチャレンジ。時速2㎞でバイクを取り回す
たかが2㎞と侮ることなかれ! ライディングのキモはココにある!

アイドル回転でクラッチ操作を覚える

エンジン回転を上げてさえいれば、バイクはエンストすることなくスイスイ走れてしまう。しかし、Uターンなど低速系の技術が必要な時には繊細なクラッチ操作ができないと転倒する恐れもあるし、5年後も10年後もずっとドキドキ。これでは疲労が減らない。そんな不安を解消し、スイスイと安定の低速旋回ができるノウハウがある。前のページでも説明した繊細な操作を意識してトライしてほしいが、やや難しいので注意が必要だ(不安なら、私のスクールに来ていただければ見ますよ!)。

車体垂直状態でアイドリング回転のまま1速で、クラッチを穏やかに離していくとバイクはジワジワと動き出す。歩くよりも明らかに遅い速度で速さを一定にするためにクラッチ位置を固定する。乗車したまま両足が出ていれば、歩くよりも遅く前進できる。「時速2キロ維持の前進」ができているかどうかを確認する方法がある。それがハンドルを右か左いっぱいに切ったまま、アイドリングで半クラッチ一定の足着き旋回。ハンドルが少しでもまっすぐ方向に少しでも戻るなら、速度は4㎞以上で車体は垂直維持できずに傾斜が入り、そこでエンストしたりフロントブレーキを強くかけると転倒になる。

時速2㎞の速度維持ができるクラッチ位置が分かれば、写真のようにバイクから降りて腰でバイクを支え、ハンドルを左いっぱいに切ったままじっくり左回りができる。さらに上手くなると写真のように右手はハンドルを持たないで、左の手は親指のみでグリップエンドに触れ、人差し指の先をレバーに当てて、2本の指だけでレバー位置を固定してゆっくりと回れる。

これが余裕で「できる」次元なら、エネルギーの消費=体力の消耗はほとんどないと言えるだろう。ならば乗ってやるUターンでも安定した旋回にトライできる。

結局、ちゃんとしたクラッチの繋ぎ方が分かるとスロットルはむやみに吹かさず、クラッチの断続をしなくなる。速度を出すだけでは手に入らない真の低疲労運転=上質な運転=トラクションする運転が身につけられるというわけだ。

逆にやってはいけないことは、クラッチレバーを少しずつ離している時に動き出すところでパッと切ったり、急に繋いだりすること。パワーの断続が結局、転倒リスクと疲労を生むわけだけだ。クラッチレバーの一定固定でまずは時速2㎞でバイクを操る。このクラッチの繋がり始めの固定が大事。安全、安心、快適のすべては、ここから始まる。

時速2㎞を目指す
クラッチレバーを握ったり緩めたりの操作はエンストや転倒のリスクが増えるだけではなく、左手の疲労に直結。親指の付け根を支点に薬指や小指も使う方が繊細に操作でき、疲れも溜まりにくい

終始、笑顔を忘れずに!
手足、腰、首などの疲れを低減するためのノウハウを列挙したが、どれも正確にやってこそのテクニック。意味をよく理解し、息を吐きながら無意識にそれができるようになること。できるならニコニコしながら試そう

基本は人の字
バイクを取り回す際は、人字バランスで行おう。エンジンパワーを使うなら、腰でバイクを支えてフルステア左回りが合理的だ。手に力が入る時はまだ完成度は低いと判断できる

指2本で操作する
下の写真の回転はエンジンを掛け、写真のように指2本で操作。スロットル側は触らず親指と人差し指の2本の指だけでクラッチレバー位置を固定できると理想