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【天気のミカタ】鯉のぼりが真横になびいたらしっかりニーグリップ!

つらかった花粉も終わり新緑が眩しい季節になってきました
絶好のツーリングシーズン! ……ですが
鯉のぼりみたいなアレがなびいたらご注意を

(BikeJIN244 2023年6月号より抜粋)

風の強さがひと目で分かる! 高速道路上の“鯉のぼり”

屋根よ〜り〜高い鯉の〜ぼ〜り♪5月5日は端午の節句(こどもの日)です。家庭では鯉のぼりをあげる所は少なくなりましたが、元々は「鯉が流れの激しい滝を登り切ったら竜になった」という中国の故事にちなんで「どんな環境にも耐え、立派に成長するように」との願いを込めて飾るようになったものだそうです。風が吹いた時に、五月晴れの青空の下で泳ぐようになびく鯉のぼりはなんとも美しいものですね。

さてそんな鯉のぼりによく似たものが高速道路などの上では年中設置されています。「吹き流し」という緑色の布の筒です。これも子供の立身出世を願ったもの……ではもちろんありません。風の強さを視覚的に分かるようにするためのもので、トンネルの出入り口や橋の上など横風が発生しやすい場所に設置されている他、工事現場などにも設置されています。

鯉のぼりは風が強ければ強いほど元気よく真横に泳ぎます。それと同じくこの吹き流しも風が強ければ強いほど真横になびき、角度が45度で風速3〜5メートル、真横になびいていると風速10メートル以上の強風が吹いていることを表します。パッと見ただけで、今どれくらいの強さの風が吹いているのかが分かる優れものなのです。……とは言え、今度は風速を数字で言われてもピンとこないかもしれません。

風速3メートルくらいならしょっちゅう吹いている穏やかな風ですので運転に問題はありませんが、風速10メートル以上となると要注意です。これは、車重が1トンあって4つのタイヤで地面に接している自動車であっても横風に流される感覚が出始めるくらいの強風です。自動車より車重の軽いバイクではより横風の影響を強く受けます。

吹き流しの角度と風速の目安。真横になびいていたら要注意!(提供:NEXCO東日本)

つい先月、私自身も風速10メートル前後の強風の中をバイクで走る機会があったのですが、信号停止中であっても両足でしっかり踏ん張らないと車体がぐらつきますし、高速道路走行中では風に向かって多少傾けないと真っすぐ走りづらいくらいの横風でした。

またバイクのタイプによってもこの感覚は異なってくるかと思います。重心が低く車重も重いアメリカンは風に対して比較的強いですが、反対に車高が高く車重も軽いオフロード車ではこれよりさらに横風の影響を受けるかもしれません。

ツーリング中に、真横になびいている鯉のぼりや吹き流しを目にしたら、ニーグリップをしっかりとするなどして横風に煽られないようお気を付けください。

気象予報士 小杉浩史
ウェザーマップ所属の気象予報士。現在、ミヤギテレビの情報番組・報道番組に出演中。休日はDUCATIのSuper Sports で、東北の雄大な自然の中でのツーリングを楽しんでいます

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