
DUCATI・ムルティストラーダV4Sを駆ってニッポンの魅力を探す旅

写真/宮田幸司 文/矢巻広介 取材協力/ドゥカティジャパン
浜松~横浜間、ムルティストラーダでニッポンの魅力を再発見!
今回の旅のテーマはズバリ「ニッポンの魅力を探すこと」。出発地はドゥカティ浜松。ゴールは横浜にあるドゥカティ東名横浜なのだが、そこに至るまでのルートは一任されている。ニッポンの魅力を探しながら横浜までゆっくり旅をしようではないか。
出発前にドゥカティ浜松の鈴木さんから耳寄りな情報を教えていただいた。それはDucati Connectの地図機能。こちらはあらかじめSygicというアプリと地図をインストールしておくだけで、なんとオフラインでもナビが使うことができる。電波が届きにくい山奥なんかで効力を発揮してくれる優れモノだ。山間部を抜けていく今回の旅で大いに役立つに違いない。

ドゥカティ浜松
静岡県浜松市南区安松町21-6中央モータース商会
TEL053-411-8880
営業時間:平日10:00~19:00、土曜・日曜9:00~18:00
定休日:火曜、水曜
暖かな春の陽気に包まれ出発
ドゥカティ浜松の方々に別れを告げて、まず目指したのは昼神温泉。ココは春にかけて“花桃”が咲き誇る名所でもある。四季の移ろいは日本の魅力の最たるものと言っていいだろう。目論見通り、山を抜ける道中では前述のマップ機能が存分に僕を助けてくれる。
昼神温泉郷の花桃は散り始めていたものの、わずかに春の終わりと初夏の訪れを僕に教えてくれた。


木曽路の宿場町、妻籠宿へ

昼神温泉郷を抜け、向かったのは長野県・妻籠宿。中山道沿いにある古の宿場町で、いまも人々が暮らしている。ここに住まう方々が、建物や文化を大切に守り、現代まで受け継いてきたことがうかがえる街並みだった。16時からは車両の通行止めが解除されているのでバイクで走ってみるのもいいだろう。

続いて目指したのは阿寺渓谷。エメラルドグリーンに光る渓流と両岸に自生する木々は四季折々の風景を見せてくれる。を横目に山道をひた走る。対向車もほとんどなく、聞こえるのはムルティストラーダのL型4気筒のパワフルな音のみ。大自然に包まれながら愛車との時間に存分に浸ることができるだろう。



阿寺渓谷で本日の温泉宿がある諏訪に向かう。すっかり日が暮れてしまったがここであることに気がつく。「アレ? なんかコーナーの先が明るい気がする」。
というのもコーナリング時に進行方向のイン側に向かって照らしてくれる機能、「DCL(ドゥカティ・コーナリング・ライト)」を搭載しているムルティストラーダ。日暮れ後の走行でも真っ暗闇を照らしてくれるので安心感が段違いだった。また、高速道路やワインディングを織り交ぜつつ走った本日の行程、レーダーを使ったACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)がとてつもなく重宝した。これはただ前を行く車両に追従するだけでなく、前走車の速度に合わせこちらの速度も加減速してくれるというもの。ウワサには聞いていたが体験するのは初めてだった。言うまでもなく便利すぎる機能。その利便性はウトウトしないように気を付けなければならないほどだった。
本日の宿は下諏訪温泉
本日の宿、「しもすわ温泉 銀月」に到着しほっと一息。屋根付きの駐車場が完備されているのもライダーにとっては嬉しいポイント。露天風呂はほかの宿泊客もおらず独り占め状態だった。1日の疲れをゆっくり洗い流した後、床に就いた。



内湯と露天風呂を備えるぎん月、宿周辺には飲食店もあるので散策も楽しめる温泉地だ

信州しもすわ温泉 ぎん月
長野県諏訪郡下諏訪町3306
TEL0266-27-5011
諏訪を出発し富士五湖へ

2日目は長野県の諏訪からスタート。旅館の女将さんに地元の情報を教えていただいた。聞けば取材日の週末に御柱祭が開催されるという。宿の近くに安置されているというので見に行ってみた。8本の柱が安置され荘厳な雰囲気が漂う。柱に跨ったまま氏子さんたちが下るという急坂、「木落し坂」も近くにあったのでついでに観光。ここを人間が下ると思うと思わず身震いしてしまうほどの傾斜であった。とても1日で回れるボリュームではなかったので、再訪を誓う。

さて、本日は富士五湖方面に向かうわけだが、天気にも恵まれ絶景の富士が見られるのではないかと期待が膨らむ。富士五湖は山中湖、河口湖、本栖湖、精進湖、西湖から成り、湖畔を走る際、それぞれ違った景色を楽しむことができる。なかでも僕のお気に入りは本栖湖。閑静な湖畔をキャンパーやサップを楽しんでいる人々を横目に見つつ走れるからだ。


霊峰富士。間近で見るとその雄大さに驚かされる。加えて雪の帽子をかぶった富士はまさに「THEニッポン」といった佇まい。それぞれの湖から異なった姿の富士を存分に堪能できた。途中、小道に逸れてちょっとしたダートを楽しんだのだが、オフロード歴がほとんどない僕でも安心して走ることができた。ライダーをアシストしてくれる電子制御満載のムルティストラーダだからこそ為せる業だろう。
好天にも感謝しつつ、その日は河口湖畔に宿を取ったのであった。

Multistrada V4S
価格:293万円
エンジン:水冷4st. V型4気筒 1158cc
最高出力:170ps/10500rpm
最大トルク:12.7kgm/8750rpm
重量(乾燥):218kg
シート高:820mm
燃料タンク容量:22L
タイヤサイズ:F=120/70ZR19 R=170/60ZR17
いざ横浜へ……! 向かう前にちょっと寄り道
最終日はいざ横浜へ。関東圏在住のライダーである自分からすると、やはりバイク×ニッポンといったら箱根は外せないだろう。


というわけでやってきた箱根。全国有数のワインディングが点在しているわけだが、旧東海道の道端に石畳のさらに古い道があることをご存じだろうか? さすがにバイクで入ることはできないが、昔日の風情をその目で見ることができるので、ぜひ立ち寄ってみてほしい。馬ですら越えられなかった箱根の峠が今ではバイクであっという間と考えると、当時の人々の苦労が偲ばれるとともに、文明の発展に感謝せずにはいられない。

いよいよ旅もフィナーレ
いよいよ横浜に向かって走り出すわけだが、気になっていたイタリアンがあったので立ち寄ってみる。葉山にあるTRATTORIA PIZZERIA 207さんだ。まるでシチリアを想起させるような純白な建物が海沿いに建っておりロケーションも抜群。マルゲリータと地元のシラスを使った「しらす0kmペペロンチーノ」を頂いたがどちらも絶品。風変わりな名前だと思い、シェフの兼森さんに尋ねてみると、イタリアで修業していた際に、その土地の漁港で揚がった海鮮を使ったメニューには“0km”と表示することを知ったそう。それをお店でも採用しているとのことだ。



Trattoria Pizzeria 207
(トラットリアピッツェリア207)
神奈川県三浦郡葉山町一色2389-6
TEL046-815-1811
営業時間:月曜・火曜・木曜・金曜 12:00~15:00 、17:30~21:00
土曜・日曜・祝日 12:00~21:00
定休日:水曜(不定期で木曜)
葉山でお腹を満たし今回の旅もついにフィナーレ。2泊3日の行程で、グルメ・温泉・文化など、思う存分ニッポンの魅力に触れることができた。安全で快適な旅をサポートしてくれたムルティストラーダにも感謝したい。


ドゥカティ東名横浜
神奈川県横浜市緑区長津田町5799
TEL045-924-4401
営業時間:10:00~18:30
定休日:月曜