
DCTは楽チンなだけではありません。誰もがエキスパートライダー並みのシフトチェンジを行えるのです!<DCTについて:後編>
前回の記事では、ホンダのDCTがライダーにとってとても楽チンな技術であることを中心に書きました。しかし、それだけではDCTの本質、本来の狙いをお伝えしたことにはなりません。
というのも、DCTが目指していることはもっともっと奥深いからなのです。
奥深いなんて、ちょっと大層な表現になってしまいましたが、DCTの本質はライダーをシフト操作という煩雑な操作から開放し、よりピュアにライディングを楽しめるようにすることだとボクは思っています。
バイクに乗り慣れたライダーなら、クラッチレバーとシフトペダルの両方を操作して、シフトダウンとアップを行うことは当り前で、苦ではないと多くの人が思っていると思います。
かくいうボクも、実はそうでした。
バイクは右手・左手、そして右足・左足を駆使して操るからこそ楽しい乗り物。ずっとそう思っていました。クルマはずーっと前からATでしたが、バイクはやはりミッションがないとね、そう思っていたのです。
ところが、3年前に乗り始めたMVアグスタのツーリズモ・ベローチェはオートシフターを採用していて、シフトアップもダウンもクラッチを握る必要がなく、シフトペダルの操作だけで変速が可能でした。ただクラッチを握らなくていいだけなんですが、これがどれほど楽だったか。そう、クラッチを握るのは発進するときだけ。あとは、シフトダウンだって回転を合わせて、なんて作業はまったく不要で、ただシフトペダルを踏みこむだけ。
このバイクに慣れちゃったボクは、たまに違うバイクに乗ったとき、クラッチを握らずにシフトアップ・ダウンを行ってしまって、予期せぬバイクの挙動に慌てることもあったほどです。