【METZELER〈メッツラー〉】サーキットも公道も走れるスポーツタイヤセレクション

必ずしも超ハイグリップである必要はないが、信頼できる性能のタイヤなら裏切られる可能性は減る。自走組が使える〝ライパ推奨タイヤ〞を紹介しよう!

PHOTO/METZLER TEXT/D.SUZUKI、T.TAMIYA
問/ピレリジャパン https://www.metzeler.com/ja-jp/home

METZELER メッツラーとは?

ドイツで創業し、’79年以降は二輪用タイヤに特化。’86年にピレリ傘下となり、現在は開発拠点を共有する。タイヤの円周方向に対して0度に巻かれるゼロディグリースチールベルトが代表的技術。

これはピレリにも使われるが、タイヤのキャラクターは両ブランドで差別化されている。

メッツラーは公道レースを実験室と位置づけ、’23年にマン島TTと5年間のスポンサー契約を締結。多様な環境変化に対応できる強さも磨く。

【ROADTECH 02】攻め込んだ先に感じる粘りのある見事なコシ

ロードテック02のコンセプトは「2タイヤin1」というもの。高いツーリング性能とスポーツ性能を両立する難題に取り組んでいるという。昨年参加した国際発表会は生憎の雨模様で、ドライ路面で評価することができなかった。しかし今回、ついにロードテック02のスポーツ性能を日本のサーキットで試す機会を得たのである。

「コシがあるな」というのが、このタイヤのファーストインプレッションである。ウエット路面でもそれは感じたのだが、ドライ路面ではその印象が倍増。硬さとは異なる剛性感が備わっているうえで、良好な乗り心地も備えているのだ。弾力感がありつつも、そこに力を加えていっても腰砕けになる兆候はない。じつに絶妙な讃岐うどんのごときコシである。この一見相反するフィーリング特性を得ることに情熱が注がれたのは間違いない。数値だけでは計れない、人間だけが持つ五感を刺激する絶妙さが備わっているのである。

【ROADTECH 02】柔らかさの中にある確かな剛性感が幅広い領域で安心をもたらしてくれる
【ROADTECH 02】柔らかさの中にある確かな剛性感が幅広い領域で安心をもたらしてくれる

そしてここから先の領域が、このタイヤのアナザーサイド。コーナーを攻め立てた際のしっかり感は、「2タイヤin1」の本領発揮といったところだ。説明によると、トレッドに刻まれたグルーブはウエット性能やウォームアップ性能に大きく寄与しているのだが、大きな荷重がかかるとそのグルーブが閉じるという。つまりスリックタイヤのようになることで接地面積を増やし、剛性も高めるとのこと。

とは言え、走行中はグルーブが動いているような不安定さなど感じさせることはなく、ニュートラルにバンクしていく。スポーツタイヤらしい手応えとグリップ感があり、しっかり感の中に程よいクッション性も伴っているという点が、このタイヤの評価をより高めている。

正直に言えば、これ以上何を求めるものがあるだろうか。もちろんさらなるハイパワーモデルで、極限までリーンアングルを深めて走行していけば、もっとグリップが欲しくなる場面もあるかもしれない。しかしそんな状況も試してみたいと思わせるほど、高い安心感に包まれている。

リアはデュアルコンパウンドを採用。高いグリップ性能に加え、ウォームアップも早いので、サーキット走行会などでも心強い

さらにこのタイヤ、性能が素晴らしいだけでなくエコでもある。バイオベースおよびリサイクル素材が43%以上含まれているのだ。我々ライダーもどこかで考えなければならないSDGsなバイクの世界。もちろん性能にクエスチョンマークが付くようでは意味がないが、そこにも死角はない。

本当に悪いところが見当たらないロードテック02。もっとグルーブが少ない方がクールだと思うライダーもいるかもしれないが、あえて難点を探してもその程度。自走でライディングパーティに参加するライダーに、忖度なしでオススメできるこのタイヤだ。

走り方に合わせて溝の形状を適応させるアダプティブトレッドデザインを採用。荷重をかければ接地面を拡大し、高いグリップを発揮する。
走り方に合わせて溝の形状を適応させるアダプティブトレッドデザインを採用。荷重をかければ接地面を拡大し、高いグリップを発揮する。
FRONTREAR
120/70ZR17150/70R17
120/70ZR19160/60ZR17
110/80R19170/60ZR17
180/55ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
ロードテック01SEと比較してハンドリング面の大幅な向上が図られている。また100%シリカベースのコンパウンドを備え、低温やウエットでの性能も維持。ツーリングからサーキット走行まで、幅広いシーンに適応する。
ロードテック01SEと比較してハンドリング面の大幅な向上が図られている。また100%シリカベースのコンパウンドを備え、低温やウエットでの性能も維持。ツーリングからサーキット走行まで、幅広いシーンに適応する

【RACETEC RR(K3)】激しく路面状況が変わる公道レースで開発された

公道レースに実戦投入しながら開発。さまざまな路面状況に対応できるレース用タイヤという位置づけだが、ハードコンパウンドに相当するK3には、サーキット走行会や公道に適したチューニングが施されている。ソフトのK1とミディアムのK2はサーキット向けなので、ライパ自走参加組はK3がオススメだ。

RACETEC RR(K3)
FRONTREAR
120/70ZR17160/60ZR17
180/55ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
200/55ZR17

【SPORTEC M9 RR】スリック風のエッジ部で深いバンクでのグリップを高める

前後ともにフルシリカコンパウンドで、卓越したウォームアップ性とウェットグリップを達成。センターコンパウンドが両サイド内側につながるキャップ&ベース構造が、さらに温まりを早める。前後輪デュアルコンパウンド設計により優れたライフとスポーツ性を両立した、全天候型スーパースポーツタイヤだ。

SPORTEC M9 RR
FRONTREAR
110/70R17140/70R17
110/70ZR17150/60R17
120/70ZR17150/60ZR17
120/70R19160/60ZR17
120/70ZR19170/60ZR17
180/55ZR17
180/60ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
200/ZR17

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