
【ドゥカティ MULTISTRADA V2 S】サーキットでのファンライドも気負わず向き合える
ドゥカティから完全新作のV2エンジンがリリースされた。本誌ではすでにプロライダーによるインプレッションをお伝えしているが、今回はより読者の目線に近い、編集・藤田の試乗レポートをお届けする。
PHOTO/N.SHIBATA TEXT/Y.FUJITA
取材協力/ドゥカティジャパン
☎0120-030-292 https://www.ducati.com/jp/
ツーリングだけでなくサーキットでも楽しめる
ムルティストラーダV2Sに乗って、真っ先に感じたのはその「ちょうどよさ」だった。大柄なアドベンチャーモデルに対して抱きがちな不安、例えば引き起こしや取り回しなどがすべて、思ったより軽く感じたのだ。
25年型のムルティストラーダは、パニガーレV2と同じく新開発のV2エンジンを搭載。ただし最高出力は115.6psと、パワーは少し抑えられている。ミッションのギア比はツーリング向けに調整されており、1速はショート、6速はロングに設定。加えて専用フライホイールの搭載により、回転の慣性モーメントが20%向上しているので、発進はよりイージーになり、高速道路では回転を抑えつつ、快適に巡航できるというわけだ。
跨がってみると、こちらもやはりその軽さに驚いた。旧型から18kgもの軽量化を果たし、車体の引き起こしはかなりラクになった印象だ。
シート高は790mm(2段階の設定のうち低い方)で、アドベンチャーとしてはやや低い数値。これに加えて新設計のスリムなサブフレームにより、足着き性や乗車時の足元のポジション自由度はかなり高い。さらにこのSバージョンは電子制御サスペンションを採用しており、ハンドルに備えられたボタンを押すだけでシート高を8mm下げることも可能になっている。
今回試乗した袖ケ浦フォレスト・レースウェイは、路面に大きなギャップのある箇所が点在している。しかし、ドゥカティ・スカイフック・サスペンションは、こうした路面の凹凸を見事に吸収してくれた。ライダーの姿勢変化が少なく、車体の上下動もいたって穏やか。加えてブレーキングでのノーズダイブや加速時のスクワットを抑える機能もあり、加減速での安定感が非常に高いのだ。

サーキットでの試乗だったため、ムルティストラーダV2Sのスポーツ性の高さも体験することができた。フロント19インチとは思えないほどコンパクトに旋回でき、ラインも素直に決まる。重量を増したフライホイールのおかげでパニガーレよりもスロットルレスポンスが穏やかなので、気持ちよく全開にできた。僕みたいなレベルのライダーなら、むしろこれくらいの気楽さがあった方が、サーキット走行を楽しめると感じたほどだ。
コンパクトで軽量、身構えることなく跨がれる気軽さは、V2Sよりも約30kgも重くて車体も大柄なムルティストラーダV4に対して大きなアドバンテージと言える。「ちょっとそこまで出かけよう」と思わせる、心地よいバランス感こそがこのバイクの魅力だ。
新型ムルティストラーダV2Sは、クロスオーバーモデルに求められる「万能さ」を高次元で実現している。今、世界的に注目されるミドルクラスアドベンチャーの中で、ひとつの完成形を見た気がする。
DUCATI MULTISTRADA V2 S








