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【JSB1000通算100勝へのカウントダウン|中須賀克行】通算優勝回数を伸ばすことはできなかったが13回目のチャンピオンを手繰り寄せる【百”勝”錬磨】

暑い鈴鹿8耐を戦い終え、次に待っていたのは、さらに過酷な暑さのもてぎで行われたスプリントレースだった。今振り返ると、集中力を維持することが難しい環境の中でも中須賀が100%の力を出し切れたのは、鈴鹿8耐でパートナーを組んだミラーやロカテッリから受けた刺激が、大きく影響していたのかもしれない。

Katsuyuki Nakasuga
1981年生まれ、福岡県出身。2005年から全日本ロードレースの最高峰JSB1000クラスに参戦を開始し、2023年までの19年間で12回のチャンピオンを獲得。特に2021~2022年は2年連続で全勝した。鈴鹿8耐も2015~2018年に4連覇している
PHOTO/YAMAHA TEXT/M.SAKUMA
取材協力/ヤマハ発動機 
☎0120-090-819 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

2レース制の両レースで2位得るものもあった

6年ぶりにヤマハのファクトリーライダーとして鈴鹿8耐に出場した中須賀克行は、レースをこう振り返る。

「優勝できなかったのは本当に悔しいけれど、MotoGPのジャック・ミラー、スーパーバイク世界選手権のアンドレア・ロカテッリとチームを組んで、一緒にレースを戦えたことはとてもいい刺激になりました。2人ともライダーとしてはもちろん、一個人としても素晴らしく、お互いをリスペクトすることもできた。スタッフも含めて、本当にいいチームでした」

2位となった鈴鹿8耐では、世界を戦うMotoGPのミラー、SBKのロカテッリから刺激を受けたと語る

鈴鹿8耐から1カ月も経たない8月23日、24日。舞台は全日本ロードレース選手権第4戦もてぎへと移る。灼熱化した日本の夏は衰えることなくライダーたちを襲い、パドックでは「鈴鹿8耐よりも暑い」という言葉が飛び交うほどだった。

予選では、中須賀が着実にタイムを縮めていったものの、BMWの浦本修充が逆転でトップタイムをマーク。中須賀はセカンドベストタイムが最速となり、結果としてレース1は浦本が、レース2では中須賀がポールポジションにマシンを並べることになった。

予選と同日に行われたレース1では、浦本に6秒582の先行を許し2位。翌24日のレース2でも、その差は6秒534と、ほぼ同じタイム差だった。それでも中須賀は、レース2の内容を前向きに捉えている。

「レース2はスタートからゴールまで、コンスタントに1分49秒台のラップタイムを刻むことができました。2位争いの集団を抜け出した時点で、トップの浦本選手との差はあり、逆転は難しい状況でしたが、最後まで集中力を途切らすことなく全力を出し切れました。とても暑い環境下で、しっかり走って得られた今回のレースデータは、間違いなく今後のレースに生かされます」

勝ち方も重要しかし、負け方も重要

以前、中須賀は、このようなことを語っていた。

「レースで勝った時のデータはもちろん貴重だけれど、勝てなかった時のデータも重要です。勝てないと判断してレースを途中で諦めてしまうと、勝てなかったというリザルトしか残らない。でも、最後まで全力で走り切れば、なぜ勝てなかったのかというデータが残って、次のレースに向けて対策を講じることができますから」

このもてぎ大会では、2位キープの走りに徹することもできたはずだが、そうした発想自体、中須賀には微塵もなかった。

さて、優勝回数を伸ばすことはできなかったが、中須賀はシリーズポイントを110とし、ランキングトップにつける。ランキング2位は浦本の86。だが春先のチーム体制発表会で、浦本とチームはEWC世界耐久選手権最終戦ボルドール24時間参戦のため、オートポリスと岡山国際の2大会を欠場することがアナウンスされている。

ランキング3位の水野涼は54ポイントと大きく引き離されており、中須賀の13回目のチャンピオン獲得の可能性が高まってきた。

そしてこのもてぎ大会で、MFJは2026年の暫定レーススケジュールを発表。それによると来季は今季同様、8月29日・30日のもてぎ大会を含め、JSB1000は全6大会10レースでチャンピオンが争われることになる。

Race1 Weather :Fine/Track :Dry

PosRiderTeamMachineTypeLapTotal TimeBestNote
1浦本 修充AutoRace Ube Racing TeamBMW M1000RRBMW1527’24.8871’48.693Fastest
2中須賀 克行YAMAHA FACTORY RACING TEAMYAMAHA YZF-R1YAMAHA1527’31.4691’49.268
3津田 拓也Team SUZUKI CN CHALLENGESUZUKI GSX-R1000RSUZUKI1527’37.9141’49.521

Race2 Weather :Fine/Track :Dry

PosRiderTeamMachineTypeLapTotal TimeBestNote
1浦本 修充AutoRace Ube Racing TeamBMW M1000RRBMW2036’35.8301’49.072Fastest
2中須賀 克行YAMAHA FACTORY RACING TEAMYAMAHA YZF-R1YAMAHA2036’42.3641’49.532
3水野 涼DUCATI Team KAGAYAMADUCATI Panigale V4RDUCATI2036’50.4011’49.108

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