【百勝練磨｜中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM】2025年シーズンは2位発進。新装着のウイングレットは手ごたえあり【中須賀克行 2025 JSB 振り返りコラム】

モビリティリゾートもてぎで開幕した2025年のMFJ全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000クラス。その第1戦でヤマハファクトリーレーシングチームの中須賀克行は、予選4番手を獲得し、決勝レースでは2位でフィニッシュした。優勝には届かなかったものの、新装備として投入されたウイングレットには確かな手応えを感じさせ、強豪が集うJSB1000クラスで今後の戦いに向けた収穫を得た一戦となった。

PHOTO/YAMAHA　TEXT/M.SAKUMA
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四輪レース併催の影響もあり通算90勝は次戦に持ち越しに

中須賀克行の2025年の戦いが始まった。

中須賀は開幕前の段階でJSB1000クラス通算89勝、12回のチャンピオンを獲得している。レース開催数の関係で今年は100勝まで届かないが、一つでも勝ち星を重ねることが、来季の偉業達成への期待感を高め、さらに13回目のチャンピオンを手繰り寄せることになる。

ところが開幕戦もてぎ大会の結果は、予選で総合4番手のセカンドロウ。レースでは、優勝した水野涼に6秒の大差をつけられての2位だった。

チャンピオンシップを争う上で2位は好結果だ。しかしメディアからは勝てなかった理由を執拗に問われ、まさに「負けたこと」がニュースになるという事実は、強い中須賀の証明と言える。

レースはライバルとの戦いであることは言うまでもない。だが一方で、自分自身との戦いでもある。昨日よりも今日、今日よりも明日、自身のラップタイムやアベレージタイムを上げていくという戦いがある。こうしたことから、チームがまず比較参考にするのが昨年のデータだ。

昨年の同時期に行われた大会では、中須賀は予選で1分46秒447のコースレコードを樹立してポールポジションを獲得。今大会と同じ20周のレース2では、レースタイム36分6秒434で優勝している。

これを今大会に照らし合わせると、予選は1分47秒559、レースタイムは36分20秒049と大きく遅れている。

これについて、チームの吉川和多留監督はこう語る。

「今回のもてぎ大会は四輪レースとの併催で、その影響からコースコンディションに違いがあり、昨年のデータと単純に比較はできません。まだデータ解析をしていないので理由はわかりませんが、事前テストの段階からタイムを出すには少し難しいコンディションだったようです」

ウイングレットに手応え負けられない次戦SUGO

もてぎで注目されたのは、今シーズンからマシンに装着されたウイングレットだ。同じく吉川監督に話を聞いた。

「走行データから、確実に効果があることは確認できています。ただ、全日本で勝つ、全日本のチャンピオンを獲る、という中須賀選手のハイレベルのスキルだと、ウイングレットに合わせてサスペンションをはじめとした細部の再セッティングが必要になります。そうすることによって、さらにウイングレットの効力を得ることができるわけです。

今大会はチーム内のちょっとした不手際で、中須賀選手を気持ち良くコースへ送り出すことができなかったということがありました。次のSUGOは、ウイングレットの効果がもてぎよりも期待できるコースなので、事前テストを含めて、改めてチーム一丸で、しっかりとマシンを作っていきます」

開幕戦を2位で終えた中須賀は、次のようにコメントする。

「2位という結果は悔しいけれど、今回は水野（涼）選手が持ちタイムで上回っていた。レース中、ずっと浦本（修充）選手のBMWサウンドが聞こえていたが、あの手この手を使って抑えることができた。

シーズンを考えれば、2位は悪くはない結果。次戦では修正すべき点はしっかり修正して、SUGOが得意な岡本（裕生）選手の昨年のデータを活かして戦いたい」

スポーツランドSUGOはヤマハのホームコースとして知られ、高低差が激しく、中でもホームストレート前の登り10%勾配が大きな特徴だ。そしてインフィールドとアウトフィールドの性格がガラリと異なることから、マシンのセットアップが難しいコースでもある。

昨年のSUGO大会では、レース1は中須賀が、レース2は岡本が優勝している。ヤマハと中須賀にとっては、マシンの進化とともに真のポテンシャルが試される一戦となる。