
【梅津幸司さん】バイク業界に貢献したい。【ザ・クラフツマンシップ】
趣味性の高いバイクだからこそ、こだわり続けたい技術がある。オフロードバイクのジャンルにおいて、豊富な経験と高い技術、プライドとスピリッツを持つ職人を訪ねるコーナー。第52回はウェビック取締役を務める梅津氏をクローズアップ。ロードレース好きで山やオフロードに無縁だった男の変化、そしてイベントに賭ける想いなどを伺った
ウェビック取締役 梅津幸司
ウェビック(株式会社リバークレイン)取締役。信濃代表とは、代表が起業する前にサーキットで出会いバイク仲間であったという、ウェビック創業時メンバー。野球少年の子供の面倒を見ながらも、自身はオフロードにハマり、昨年は日高2デイズを含むJEC全戦に参戦した
PHOTO&TEXT/D.Miyazaki 宮崎大吾
何よりバイクが好き。社員も仕事とバイクを楽しんでもらいたい
元々はロードバイクが好きで、走る場所といえばサーキットだった。旅行するなら山ではなく、絶対に海。そんな人間がオフロードバイクの魅力にハマったきっかけとは。Webike取締役の梅津幸司氏はこう話す。
「そもそもこの会社にはロード、オフロードに関わらず、オートバイ好きが多いんですよ。ただロードレースはツナギを購入したりサーキットライセンスを取得する必要があってハードルは高いです。それでもそれが好きな社員はレースに参戦していますね。オフロードはなんと言っても気軽に走れるのが魅力だと思います。

レンタル装備は社内にありますし、年に3回くらいオフロード運動会も開催しているんです。社員が実際にバイクで走って楽しむことで『タイヤは何がいいのか』『チューブかムースか?』など色々なシチュエーションに応じて考えるようになりますし、他のライダーが何を使っているのか、レース時期に向けてどの商品の在庫を増やすべきか、など結果として仕事に繋がっている面はあります。
ただそれ以前に、バイクと仕事を楽しんでもらうというのが主な考え方ですね。実際、20~30代の若い社員が中心にイベントをやっていますし、キャンオフとか走行会などに関しては僕らより若い社員の方がたくさん走っていますよ。会社ではルールを設けてエントリー費の補助もやっていますし、社内の整備場の設備を使えて愛車も保管や整備をできる環境にしています。しっかり仕事をして誰が見ても公平な条件のもとで、個人のバイクライフも楽しめる職場ですね。」
オフロードをやって初めて山の魅力がわかった
ウェビックといえば近年は鈴鹿8時間耐久ロードレースやJECなどのスポンサード活動を行っていることでも知られている。これらのイベントに携わる原動力を尋ねてみた。
「すべて人との縁ですよね。バイク業界で生きているので業界に貢献したいというのがありますし、僕も代表(信濃)もレース好きなのでレースイベントに貢献したかったところ、たまたまEWC(FIM世界耐久ロードレース選手権)を主催している人物と縁がありサポートすることになりました。JECも現在主催している釘村忠さんとは、彼がMVアグスタジャパンで働かれている頃からの仲で縁があったといえますね。」
梅津氏がオフロードにハマる数年以前から、ウェビック社員のオフロードレース熱は高く、多くの社員が8時間パワーエンデューロなどに楽しく参戦している姿はよく知られていた。
「私がオフロードが好きになったきっかけは、コロナの頃に長男がバイクに乗りたいということで、当時ハスクバーナディーラーだったアルタイヤモーターの大崎さんの店に行ったことですね。大崎さんとは、私が高校生の頃からの仲ですが、『お前も乗れよ』ということで買ったのがハスクバーナでした。モタードをやっていた時もハスクバーナが好きでした。ロードレースでは自分よりも上手くない人にオフロードでは負けたりして、自分の不甲斐なさに腹が立って(笑)。これは真面目にやらないといけないと思って、トランポを購入。怪我したりしながら今に至ります。
元々山は好きではなく、どこかへ遊びに行くなら海だったんですが、オフロードバイクに乗り始めてから長野のコースに行くようになり、初めて山の良さがわかりました(笑)。景色も空気もいいし、移住したい人が多いのもよくわかりました。」
人との縁でスタートした『オフロード祭り』
2022年から始まったウェビックと本誌のコラボイベント「オフロード祭り」も、ある意味、人と人の縁がきっかけとなったものだった。
「そもそも宮崎さん(本誌)とレース遠征時、長野の旅館で飲みながら『やろう』と言ったのがきっかけですよね。実はウェビックの走行会的な催しは筑波でのロードイベント1回しかなかったのですが、入社以前はよくサーキット走行会を主催して楽しかった記憶があります。オフロードでも初心者向けに場を提供して人を増やしたかったところですが、イベントのことは全く分からなかったので、宮崎さんからお話をいただいて、『ダートスポーツさんとやれるなら願ったり叶ったりだな』と思いました。これもタイミングですね。
このイベント、昨年は台風で中止となりましたが、初心者の方や乗り始めたばかりの人、仲間がいない方などが参加しやすいイベントにしたいです。大町はハードエンデューロの聖地ですから、初心者が一人で走りに来ようとは思わないところですよね。でもこのイベントならばプロライダーと一緒に走れたり、スクールやコースアテンドも用意されているので、参加しやすいと思います。」
今年は9月6日(土)、長野県大町チャレンジフィールドで開催するので、ぜひ参加してほしい。
