【大神智樹】完走に必要なものは三つだと思います【世界一過酷なレースに挑んだ日本人】

大神智樹
トライアルIB取得後、学生時代はサッカーに集中していたが、その後エンデューロに開花。3度のエンデューロGP参戦経験やトライアルGPアシスタント(マインダー)などの経験も持つ。

「まず予選に関しては昨年よりは順位が上がりましたが、やりきれていない感はありました。(負傷明けだった)JEC第2戦チーズナッツパークも腕上がりが酷かったんです。今回のエルズベルグも前半は良い感じに走れていたんですが、後半はやはり腕上がりしていました。元々どうしても目に頼って走ってしまう傾向があって、見えていない箇所に対して力が入りやすいです。ラリー的な走りも身につけないといけないと感じています。決勝は昨年と同じカールズダイナー・ライトまで行ったところで終わりました。やはり予選では決勝3列目に行かないと渋滞にハマり足止めをくらいますね。

今年は『譲らないこと』を意識して臨みました。頭を突っ込んでいきました。エルズベルグのコースはカールズダイナーを見て、実際に走った感じではさほど辛さはなくて、思っていたよりも走れると思っています。今回は2度目の挑戦でしたが、あと3回は連続でチャレンジしたいと考えています。

昨年からトレーニングの内容を変えてミスがだいぶ減りました。必要なのは『スピード』『フィジカル』、そして『イマジネーション』だと思っています。このイマジネーションというのはトライアル的なセクションの捉え方にも共通していて、見えないラインを創造して、それを実現するテクニックとメンタリティが必要です。スピードも課題として強化しないといけません。アベレージを上げて80、90、100km/hという速度の中でコントロールができるようにならないといけないですね。

タイヤに関しては今年はiRC GX20 GEKKOTAを履きました。走りやすくグリップが高く、急に裏切られるようなこともありませんが、ブロックが柔らかすぎる面もあるので、正直なところで言えばGX20ソフトとGEKKOTAの中間が欲しいですね。

エルズベルグの挑戦に関してはマイナスなことを言う方もいますし、『日本でできることをやるべき』という声もあります。でも実際に現場で見て、走ることは、日本で1年以上かけて練習するよりも得られるものが大きいと思います。たった1週間でも得るものが大きいんです。大会前にレン君と海外のトレーニングに参加しましたが、全体のレベルは高く、必死にくらいついていく感じでした。『本当にこのままで良いのか?』という焦燥感にも似た感情が生まれますし、たとえ成績を得られなくても海外で揉まれていること自体が大事だと思います。

日本ではどうしても得られない体験、厳しい環境ですが、競技性を高めたいならば絶対に行くべきです。人からなんと言われようと、挑戦をやめたらそこで終わり、ですからね。自己保身をするよりも、泣きを見るべきなんだと思っています。プロセスを考えて、どこを目指すのか。それは自分はもちろん、チームの若手ライダーにも計画を立てさせて、言っていることなんです」。

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