
全日本最高峰フル参戦 電動トライアルバイク【YAMAHA TY-E】
FIMトライアル世界選手権Trial Eクラス(電動クラス)での黒山健一選手の優勝を筆頭に、2023年からはMFJのレギュレーション変更に合わせ、全日本トライル最高峰、IAスーパークラスへ黒山健一選手が進化を遂げたTY-E2.1を駆り、デビューイヤーながら2位2回、3位1回とは望外の結果だったとは黒山選手。2024年にはTY-E2.2に進化をし、ヤマハTYS250Fiエンジン車からの乗り換えの野崎史高選手、前年ランキング2位の氏川政哉を迎えた3台体制となった。氏川選手がTY-Eで2勝を果たし、黒山選手ランキング2位、氏川選手ランキング3位となり、3年目の2025年。TY-Eはギア付きの3.0となり、IAS年間チャンピオンという、まだ手にしていない総合優勝の布石は揃った!
PHOTO/A.Kusudo 楠堂亜希、DIRTSPORTS TEXT/H.Kishizawa 岸澤秀夫
EVが最も活かされるトライアル
全日本トライアル最高峰IAスーパークラス(以下IAS)にフル参戦して3年目を迎えるヤマハの電動トライアルマシン「TY-E」。
2025年はヤマハファクトリーレーシングチームより、エースで昨年ランキング2位(IASでの電動トライアル最高ランキング)の黒山健一選手、IASでTY-Eによる初優勝(全2勝)を果たしたランキング3位の氏川政哉選手が、新型のTY-E3.0を駆り、3年目の電動トライアルプロジェクトに挑む。
ライバルはエンジン車ワークスマシンRTL
黒山健一選手「去年はまだまだ、ホンダのワークスマシンRTLに劣るところが多かったです。」
そんなTY-Eをより勝てるマシンに仕立て上げるために、シーズン中やレース中であっても新しいチャレンジを試みることもある。それが裏目に出ることもあるが、トライアンドエラーがTY-Eとライダーの糧となっている。
一方、氏川選手は昨年までワークスマシンのRTLに乗っていたが、乗り換えによる違いはどうだったのだろうか。
氏川政哉選手「全く違うバイクなので作り上げるのが大変でした。初勝利を挙げた茂木では100%の仕様ではありませんでした。100%の力を発揮できたのは後半戦でした。(3人のTY-Eライダーの中で)一番初めに勝てたことで、自分のセッティングは間違っていなかったと確信でき、それが成績に繋がりました。茂木と北海道は同じ仕様です。」

氏川政哉_2024年ランキング3位
エンジンマシンの最高峰、ワークスマシンRTLから電動マシンへ乗り換え、その相性は、2勝をあげた成績を見れば言わずもがな、だ。今年はファクトリー、マシンも黒山選手と同じ3.3
黒山選手「昨年の後半はTY-E2.2が仕上がってきて、テストではなく競技のための乗り込みに徹することができました。TY-E3.0はさらにグレードアップしました。勝つための開発をしている、勝たなければいけないという心地よい状態にあります。十分勝てる体制、仕様です。」

黒山健一_2024年ランキング2位
全日本トライアルでは歴代2位の年間チャンピオン記録をもつ。世界選手権の電動クラスでTY-Eでの優勝を果たす。3年目の今年は同車での初優勝、そして総合チャンピオンに挑む
氏川選手「ライバルを意識しますが、あまり頭に入れず、自分の走りをすれば成績に繋がります。」
いよいよ開幕、TY-E、3年目の真価を発揮する時がやってきたのだ!
熟成のTY-E2.2は野崎史高が駆る
YZ250F系の後方排気ガソリンエンジンをトライアル用に大幅にモディファイしたTYS250Fiを駆った2023年以前も、EVトライアルTY-Eのテストを重ねてきた野崎史高選手。
2025年は昨年、氏川選手が2勝を挙げ、野崎選手も2位、3位と表彰台に導いたTY-E2.2の熟成バージョンで出場する。外観からはアクセルスロットルがトライアル専用のものに交換されていることも見て取れ、戦闘力はTY-E3.3と変わらないことを2025年全日本トライアル開幕戦で証明した。

野崎史高_2024年ランキング8位
24年は2位、3位と2回の登壇を果たすも膝の怪我で離脱。歴代のTY-Eの開発に深く関わっており、今年は熟成の域に達したTY-E2.2でシリーズを闘う



電動トライアルバイクTY-E 2.2、野崎史高選手が「ジャパン・マウンテンバイク・カップ2025」の先導車を務めた。マラソンの白バイ先導と同様の役目で、電動=EVであることでMTBライダーへの排気ガスなどでの負担をなくしている。またこの選手権ではガレ場などを通過するのでトライアルバイク、野崎選手のテクニックを必要とした