
川井麻央、涙の優勝とレディース戦線の激闘|2025 JMX D.I.D モトクロス選手権 第4戦 中国大会
東福寺監督の訃報を乗り越えた川井麻央が中国大会で優勝。箕浦、大久保との激戦も見逃せないレディース戦
■ DIRTSPORTS 2025年9月号
PHOTO&TEXT/D.Miyazaki 宮崎大吾
天空の恩師へ捧げた勝利
本大会1週間前の6月8日にT.E.SPORT東福寺保雄監督が逝去。その悲しみを胸にチームのライダー達は中国大会を走った。川井麻央(T.E.SPORT)もその一人で、「決勝で優勝し、東福寺さんのジャージを着る」と胸に誓いながらの参戦となった。
川井といえば、初めてバイクに触れた4歳の頃から東福寺氏の元で育ってきたライダー。その辛さは想像に難くないが、スタートグリッドに並び、決勝を力づよく走る姿は、ライバルの箕浦未夢(TEAM ITOMO)に「川井選手が東福寺さんのウエアを着ていて…(実際はレース後に着用)」と思わず言葉にさせてしまうほどのものだったのかもしれない。
一方、今季何度も川井の前を走っては抜かれてしまい2位になっている箕浦。「今度こそ勝つ!」という強い意志はスタートから現れており、その「いつか」がどこでやってくるのか、注目したいところだ。
3位には今季急上昇中の大久保梨子(KTM TOKAI RACING with ゆめチャンネル&331)が入った。注目ライダーの多い今季レディースが見逃せない。



「今回こそ1位をとりたかったです。優勝して良いシーズンオフを迎えたかった…」と、川井の勝利を讃えながらも悔しさを募らせた箕浦。インターバル後のリベンジに注目したい
今季大注目の大久保梨子選手!

「モトクロスは5歳から始めました。ジュニアまでは地方戦で戦って、高校1年からは125ccに乗り始めたんですが、2年前のここ広島で85ccで前転したんです。乗り換えが上手くいきませんでした。転倒も増えたので、途中から85ccメインに切り替えてから全日本レディースを意識するようになりました。
昨年はスポットで出て楽しさを覚えて、今年からフル参戦です。モトクロスはジャンプは怖いけど、恐怖心を乗り越えた時の楽しさ、できなかったことができるようになることが嬉しいです。125ccなら飛べて当たり前のところが、85ccだと全部が合致してコントロールしないと飛べないんです。今まで人と争うことも好きじゃなかったんですけど、最近は人と走るのが楽しいと思えるようになってきました。
前回のオフロードヴィレッジ(2位初表彰台)は正直自分の実力で上がれたわけじゃなかったですけど、表彰台に立てたことは嬉しかったです。今回は雨ですけど、楽しくバトルできたらと思います(大久保梨子)」
本戦は川井、箕浦に続く3位獲得で、2戦連続の表彰台を獲得した大久保、次戦も注目したい。

矢木杏奈、10歳の全日本デビュー!

全日本IA1チャンピオン山本鯨氏が指導する矢木杏奈(Team Yamamoto)が全日本デビュー。イタリアトレーニングなど貴重な体験を積んでいるので今後が楽しみ。山本氏はレースの苦しさをもよく知るベテランだけに、色々な面で心強いはずだ