エンジンが軽く回るモトクロッサー|TRIUMPH・TF250-X/TF450RC

国内クロスカントリー、エンデューロライダーから熱い視線を受ける。トライアンフエンデューロモデル。奇を衒わない実直な開発コンセプトを全面に出したニューモデル、その実力を釘村忠がインプレッション!

■ DIRTSPORTS 2025年9月号
PHOTO/A.Kusudo 楠堂亜希 TEXT/D.Miyazaki 宮﨑大吾 
試乗コース/栃木県オフロードピット那須
問:トライアンフモーターサイクルジャパン 
https://www.triumphmotorcycles.jp/

コーナリングも轍も楽に進入できる車体設計

7月15日に世界同時発表されたばかりのモトクロッサーTF250‐Xですが、エンデューロシリーズよりもエンジン全域で力強いフィーリングを得ることができました。スタート時、またアクセル全開にしながら負荷がかかったシチュエーションでは、クイックシフターが効果的です。シフトアップ時にクラッチレバーを握る操作が不要で、ギヤチェンジもしやすく、ロスなく加速ができました。また他のメーカーのマシンに比べるとトルクの太さは感じられず、エンジンが軽く回る傾向にも感じられました。

TF250-X

車体に関しては、今回の試乗コースにはあまりギャップがありませんでしたが、縦方向のギャップやフープスでの走破性は高いです。コーナリングでの倒し込みもしやすく曲がりやすい。ヒラヒラとした軽快感があります。サスペンションは私にとっても馴染みの深いKYBで、前後ともにストロークの動きが分かりやすく、乗り心地は良好と思います。

一方の450ですが、こちらは力強さはありますが、エンジンが軽く回ってくれてフィーリングも軽快です。今やどのメーカーのモトクロッサー、エンデュランサーも同様ですが、トラクションコントロールの制御が自然で、違和感なく走行をアシストしてくれますね。トルク自体はエンデューロマシンの450の方がありましたが、こちらは高回転まで伸びてくれた印象です。

TF450RC

車体は250同様コーナーで倒し込みやすく、轍の進入も楽にできました。まだ慣らしの済んでいない完全な新車だったこともあり、サスペンション初期は少し硬さを感じましたが、機会があれば乗り込んだマシンをまた試乗してみたいですね。

TEST RIDER
釘村 忠

全日本モトクロスワークスライダーとして活躍後、JEC全日本エンデューロIAライダーとして幾度のタイトルを獲得。ISDEでは日本人として初めてのゴールドメダリストとして君臨した。現在はJECプロモーション代表として活躍中

【本誌岸澤 インプレッション】オーソドックスな信頼のメカニズムアグレッシブなパワー特性

TF250-Xですが、AMAや世界各国のモトクロスシーンで活躍しているのが良くわかるパワーで、個人的には現行モデルのYZ250Fに近いモトクロッサー故のアグレッシブさを感じさせます。TF450RCも450という排気量ながら250並にピックアップが良く、雨の中の試乗なので、すぐにトラコンに頼りました。一度トラコンを入れて仕舞えば適度に路面を捉えてくれる感があります。サンドのストレートでもアクセルを開けていけます。TF250-X/E、TF450RC/Eは兎にも角にも既存のモトクロッサー/エンデューロのオーソドックスな良さを伸ばし、変わったことをしないことで信頼性とパワーを両立している様に思えます。車両本体価格も国産モデルとの差異も大きく無いのでサンデーライダーは勿論、選手権参戦ライダーも選んで良いと思います。

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