
【SUZUKI DR-Z4S】往年の名車DR-Z400SMをフラッシュバック!
EICMAで発表されたスズキのニューモデル「DR-Z4S」「DR-Z4SM」が話題だが、先代のDR-Z400SMも名車として知られていたモデルだった。このマシンでスーパーモトを戦った経験を持つ小栗伸幸氏に、当時の話を伺った。
モトクロスを引退後、国際A級ライダーの小栗伸幸(当時オグショー代表)は、海外ラリーなどと共に、国内ではスーパーモタード(スーパーモト)での参戦活動を行っていた。
元々はKTMのSMRなどモタード専用のレーサーで参戦していた小栗氏が、DR-Z400SMでの参戦を行ったのは2006年のことだった。
「当時所属していたアブソリュートレーシングのチームで、全員でDR-Z400SMを使って参戦しようという話になり、僕はMOTO2クラスに参戦しました。小野寺剛選手やトミー(富田真司)選手は活躍したのですが、僕は正直、長年レーサーベース車両で走ってきたので、このバイクの特性をうまく利用して走らせるのが難しかったですね。サッカーで言えばスパイクシューズしか履いたことがない人間が、スニーカーをうまく履きこなせなかったという感じです。
バイク自体は全体的にまとまっていて、そつなくセクションをこなせるし、ライディング自体は全く違和感がなかったけど、重量があり、全てがまったりとした感触で、タイムを削れませんでした。『ああ、僕は偏ったライダーだったんだな』と痛感しましたね。
ワイドオープンにしても強力なブレーキングで誤魔化せていたレーサーに対して、重量のあるバイクは手前からスムーズに走らせなくてはならなかったし、そこをやりきれないままシーズンが終わりました。スムーズな加減速やパーシャルでのコントロールが必要でしたね。チーム内ではエースライダー的な位置付けでしたが、ストリート上がりのライダーの方がDR-Zに対して対応できていたので、僕が一番成績が悪かったんです」。
長年競技の世界に生きてきたライダーにとってのDR-Z400SMは、世間一般的には優秀なスーパーモトマシンベース車だったが、レーサー目線で見れば違う側面もあったと言えるだろう。新型DR-Z4SMの登場で、モタード人気再燃となるか注目したい。
エンジン、フレームブラッシュアップでDR-Zが帰ってきた!
スズキは2024年EICMAで「DR-Z4S」「DR-Z4SM」を発表した。ユーロ5+に対応した新型エンジンには、新設計のカムシャフトプロファイルやピストン、42mmの電子制御スロットルボディ、そしてデュアルイリジウムスパークプラグが採用されている。サブチャンバーと思われる新型エキゾーストパイプやサイレンサーにも注目が集まる。
車体では、FI化によって燃料タンク下に燃料ポンプを収めるため、ダブルクレードルのフレーム形状が新設計された。サスペンションは、従来Sモデルが採用していたSHOWA製正立フォークに代わり、S/SMともにKYB製の倒立式サスペンションが採用されている。




注目すべきは、スズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S.)と呼ばれる各種ライディングモードだ。出力特性は3モード、トラクションコントロールは2モード+Gモード+OFFを選択可能。ABSは、Sではフロント・リアともに解除可能なモードを、SMではリアのみ解除できるモードを搭載している。
また、クラッチレバーを引かずにワンプッシュで始動できる「スズキイージースタートシステム」も装備されており、国内での正式発表が待ち望まれる注目の1台となっている。

