内側のヒザを高くする! 足はブラブラしてもOK?【馬場亮太のエンデューロチャンピオンライテク】

海外のトップライダーが見せるライディングフォームは、一体何のためだろうか? 凄く速いのはわかるけど、何がすごいのか。現代の最新ライテク理論を教わり、研究、実践を続ける全日本エンデューロ3年連続チャンピオン、馬場亮太が初心者にもわかりやすい言葉で解説してくれた!

解説:馬場 亮太

画像の説明

レジェンドライダー、故馬場善人氏を父に、JNCC2年連続チャンピオンの大貴を兄に持ち、かつて下田丈選手などトップライダーを手掛けてきたヤニングコーチに師事したこともある馬場兄弟の弟、通称「RB」。モトクロス引退後エンデューロに転向し、2022年から2024年まで3年連続全日本エンデューロIAタイトルを獲得。世界基準の最新ライテクを言葉にして解説、実践できる唯一無二のライダー。兄の大貴と共にBABANASHOXに従事しながら、全日本モトクロスレースチームで後身の育成にも務める

PHOTO/T.Hasegawa 長谷川徹 TEXT/D.Miyazaki 宮崎大吾

モトクロス、エンデューロのジャンルを超えた世界基準ライテク

モトクロスやエンデューロ、クロスカントリーの海外トップライダーが来日し、日本人ライダーとの圧倒的な差を見せつけるシーンは多くあります。現役若手世代の走りには共通する要素が多く、動画などでもその様子を目にする機会は少なくないはずです。では、彼らのライディングの基盤はどこにあるのでしょうか。

それをモトクロス現役時代から現在に至るまで研究し、自身のエンデューロレースへと反映し、さらに後進のモトクロスライダー育成にも力を注いでいるのが、RBこと馬場亮太選手です。海外の最新ライディング理論を、わかりやすい言葉で解説してくれるRBスクールは、多くのライダーから高い評価を得ています。

ただしRBは、「ここで解説している『膝を高く上げる』といった動作を、完全な初心者の方に教えてしまうと、かえって身体が硬くなってしまうこともあるので注意が必要です。また、旧型YZはシュラウドが横に大きく張り出しているため、この上に膝を載せること自体が難しい場合もあります。バイクによって向き不向きがあり、ある程度身体の使い方を理解し、バイクに慣れている人が実践すると効果的だと思います」と語ります。

また、ここで解説するフォームの多くは「リーンウィズ」または「リーンイン(腰だけ内側に落とす)」ですが、状況に応じて「リーンアウト」を使う場面もあります。実際、そのフォームで速く走るライダーも存在するため、「正解は一つではない」とも言います。

最新ライテクのトレンドに触れたい方、脱ビギナーを目指している読者の方は、ぜひご一読ください。

内側の膝を高くする! 足はブラブラしてもOK!?

グリップの良い路面だけでなく、固土のスリッピーな路面でシートの外側に座るような場面でも内側の膝は高く上げることを意識しているというRB。膝を高く上げておくことでそこを起点にできるので、深い轍の際に一瞬足を前に伸ばす動作を簡単に行えるのだ。さらに、コーナー脱出で足を自然に下ろせばロスなくステップ加重に移行可能。いずれにしてもシートの後ろに座ってしまうと膝を高く上げる動作が難しくなるので、練習ではしっかり前に座るのが大前提だ
グリップの良い路面だけでなく、固土のスリッピーな路面でシートの外側に座るような場面でも内側の膝は高く上げることを意識しているというRB。膝を高く上げておくことでそこを起点にできるので、深い轍の際に一瞬足を前に伸ばす動作を簡単に行えるのだ。さらに、コーナー脱出で足を自然に下ろせばロスなくステップ加重に移行可能。いずれにしてもシートの後ろに座ってしまうと膝を高く上げる動作が難しくなるので、練習ではしっかり前に座るのが大前提だ
膝を下げてしまうと上半身の動きが固まり、足も地面につきがち。そうなるとステップ加重によるトラクションも得られず、ハンドルにしがみつくことになる
膝を下げてしまうと上半身の動きが固まり、足も地面につきがち。そうなるとステップ加重によるトラクションも得られず、ハンドルにしがみつくことになる
膝を高く上げる。では膝から下の足はどうすればいいのか。「スーパークロスでもよく見られる、直線から座ったままでの強いブレーキングでもトップライダーは内側の足を出したままですが、膝が高い位置に保たれています。さらに膝から下を外に広げることで膝がマシンをグッとグリップするのが分かるはずです。
膝を高く上げる。では膝から下の足はどうすればいいのか。「スーパークロスでもよく見られる、直線から座ったままでの強いブレーキングでもトップライダーは内側の足を出したままですが、膝が高い位置に保たれています。さらに膝から下を外に広げることで膝がマシンをグッとグリップするのが分かるはずです。
膝を高く上げることでマシンを正しくホールドすることが可能になり、後ろから押されても(減速G)フォームをキープできるが、足が下に下がっていると全く耐えられなくなり、容易く前につんのめってしまう。シッティングでの強いブレーキングの際は、内側の膝を高くしてマシンをホールドして、後ろからのGに耐えよう
膝を高く上げることでマシンを正しくホールドすることが可能になり、後ろから押されても(減速G)フォームをキープできるが、足が下に下がっていると全く耐えられなくなり、容易く前につんのめってしまう。シッティングでの強いブレーキングの際は、内側の膝を高くしてマシンをホールドして、後ろからのGに耐えよう
内側の膝を高くすることで、結果として外足のステップ加重もしやすくなる。ステップを斜め後ろに踏み込むのだ

椅子に座ってイメトレ!

RBが現在スクールでも教えているのが「内側の足(膝)をシュラウドに乗せるくらいに高く上げること」。太ももの裏に腕が入り、足がブラブラするくらいの脱力でOKだ。

高く上げることで体の自由度が増し、さまざまな動きに対応できるようになる。反対に足が下に下がっていると太ももの重さでしんどくなり、体も固まりがちで、上半身の動きの幅が極端に狭くなってしまう。

内側の足を前に高く出すフォームも間違ってはおらず路面の土質によって使い分ける必要があるが、まずは膝だけ上げることだけを意識して練習しよう。

RBは「たとえばリアブレーキを全く使わないための練習をする際にも、極端にやらないとレース本番でいつもの癖が出てしまいます。

それと同じで、内側の膝を少し上げたくらいでは、レースでは下がってしまいますから、特にビギナーの方は極端に上げないといけません。シートから膝が一直線に、シュラウドのロゴが完全に隠れるような足の出し方をして反復練習しましょう」と話す。

椅子に座っても体感しやすい膝の位置。内側の膝を高く上げることで、体は外側にも内側にも動かしやすい。その逆に足が下がっていると動きづらいことが体感できるはずだ
椅子に座っても体感しやすい膝の位置。内側の膝を高く上げることで、体は外側にも内側にも動かしやすい。その逆に足が下がっていると動きづらいことが体感できるはずだ

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