【KTM 250XC-W】扱いやすい戦闘力を両立したシングルトレイルマイスター

MY2026でKTMは2ストモデルをXC-Wへ刷新し、競技専用として再構築。軽量化と装備簡素化で手の届きやすさを実現しつつ、PDSと新型WPサスにより高い走破性を獲得。扱いやすさと戦闘力を兼ね備えた新基軸の2ストシリーズだ!

PHOTO/H.Inoue 井上 演、DIRTSPORTS
TEXT/H.Kishizawa 岸澤秀夫

ライダーに寄り添ったエンジンとサスペンション

MY2026のKTMエンデューロラインナップにおける最大のトピックは、2ストロークモデルの体系が大きく見直された点だ。従来の「EXC」から新たに「XC-W」へと刷新され、日本導入モデルの中心を担う構成となった。

XC-WはEXCをベースにしながら、ヘッドライトやテールランプを備えつつも公道用ホモロゲーションを取得しない〝競技専用モデル〟として再定義された存在だ。装備をシンプルにすることで価格を抑えつつ、EXC同様にエンデューロで最も重視される機能性はしっかり継承されているのが大きな特徴である。

KTM 250XC-W

その象徴ともいえるのが、KTM伝統の「PDS(プログレッシブ・ダンピング・システム)リアショック」の継続採用だ。ロックセクションのような縦方向の衝撃が多い場面で信頼性が高く、メンテナンス性にも優れるこのシステムは、長年KTMのエンデューロモデルの核とされてきたテクノロジー。リンクレス構造による軽快さと、リアホイールの追従性の良さは、その大きな魅力だ。

MY2026ではサスペンションも大幅にアップグレードされた。新型WP XACTクローズドカートリッジフォークには軽量・短スプリング、新設計のプレッシャーリザーバー、そしてワンピースハイドロストップを採用。これによりダンピング特性とハンドリングの安定性が向上し、フォーク単体で約200gの軽量化すら実現している。リアのWP XPLOR PDSショックもセッティングが見直され、コーナーリングからウッズ、ハイスピードまで幅広く対応できる完成度となった。

低回転からグッと前に出る力

そして実際にそのXC-Wを走らせた熱田孝高選手は、まずエンジン特性の〝ツキの良さ〟に驚かされたという。開け始めから瞬時に反応しながらも、忙しくなくコントロール性が高い。「低回転からグイッと出る力があり、急に回転が跳ね上がらない。だから使えるレンジが広く、結果として速く走れる」と語るように、フィーリングは非常に扱いやすく、YZ250Xなどの2ストとは性格が異なる。粘りと伸びが両立した、現代のEFI 2ストらしい仕上がりと言える。

車体については「とにかく軽い」の一言に尽きる。特にフロントの入りが際立っており、バンクに当てた際の〝スッと入っていく〟感覚は特筆ものだ。シート周辺のスリム化やシュラウド形状の最適化も相まって、倒し込みが非常に自然でタイトなウッズでも向きが変えやすい。「85kgの自分でもストロークをしっかり使えて、柔らかいけど底づき感がない理想的な〝スポンジー感〟があった」と語るように、新型XACTフォークの恩恵は大きい。

KTM 250XC-W

一方、ストレートのハイスピード区間ではリアがギャップでやや弾かれる場面もあり、体格に合わせて微調整を行いたいポイントだという。とはいえ前後バランスは良く、スタック感やリアの過度な高さを感じるような不安定さはなかった。

総じて熱田選手は「ノーマルの状態で、自分が煮詰めているYZ250Xの完成形に迫ってくるような仕上がり」と高評価。エンジン特性、サスペンション、車体の軽快さが高い次元でまとまっており、リアサスの微調整を行えば「そのままレースに出られるレベル」という。

XC-W化による構成見直し、WPサスペンションの刷新、PDSの継続採用といった技術的進化に、実戦派ライダーが実感した走りのポテンシャル。MY2026のKTM 250 XC-Wは、まさに〝エンデューロレーサーの現在地〟を示す完成度を備えた一台と言えるだろう。

KTM 250XC-W

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