小原堅斗&鈴木優那 スーパーモトイタリア選手権に挑む!

国内最高峰の全日本スーパーモト選手権で活躍する日本人ライダーが、本場イタリアの選手権に初挑戦を果たした。異国からやってきた二人は温かく受け入れられ、実力を発揮。そこで見たもの、感じたものとは?

PHOTO/@anghelopulophoto、T.Osaki 大崎徹
まとめ/D.Miyazaki 宮﨑大吾

小原堅斗:手応えを得られ、今後の課題も明確になりました

「SM1Fastクラス6台中、レース1では3位、レース2では4位となり、総合4位という結果でした。2日間と少ないトライで厳しい展開となり表彰台に上がることができず悔しい思いもありましたが、改善すべき課題を見つけることができました。海外挑戦によって、今まで気づけなかった点に気づけたことは大きな収穫だと感じています。

サーキットの路面は荒れていましたがグリップ力が高く、コース幅も広い印象でした。特にダートセクションでは、アスファルトジャンプ後に2レーンに分かれる区間など、日本にはないセクションが多く、攻略するのがとても難しかったです。海外ではグリップが低いと聞いていましたが、実際には非常に高く、攻めやすく自分の走りを発揮しやすかったです。ただし、日本よりもレース時間が約5分長いため、タイヤマネジメントの重要性を改めて実感しました。日本より5分長い20分+2周というフォーマットは非常に長く感じました。さらにサスペンションを硬めにセッティングしたことで、荒れたダートセクションでのマシンコントロールは難しく、持久力強化の必要性を強く感じました。

準備していただいたマシンは、普段の自分のマシンとは全く別物で、非常に硬いセッティングでした。しかし、前に進む力が強く切り返しも早いため、とても乗りやすいことに驚きました。今回の経験を今後のマシン作りに活かしていきたいと考えています。

チームBRTはとても協力的で温かく迎えてくださり、異国でのレースでも安心して挑むことができました。特に前日の練習では、コースの状況や走り方、ルールの説明などを一生懸命伝えてくださり、会話が難しい中でもサポートしていただいたことがとても嬉しかったです。

海外でも自分の走りが通用するという手応えを得られた一方で、課題も明確になり、今後のトレーニングの方向性が見えてきました。大きな成長につながる経験になったと感じています。今後は体力強化や持久力トレーニングに重点的に取り組みたいと考えています。また、レース展開の組み立てを日本のレースで積極的に試していきたいです。

今回の経験を活かし、今後も海外レースに参戦するチャンスがあれば挑戦したいと考えています。世界で通用するライダーを目指し、いつでも挑戦できるよう準備を続けていきます。今回の挑戦を通じて多くのライダーに覚えていただけたので、次は成長した姿を見せ、表彰台に立てるよう努力していきます!」

鈴木優那:セッティングやパドックの作り方など今後活かしたいことがたくさんあります!

「自分の参戦したSM-LADYは3台という少ないエントリー数でしたが、4クラスほど混走だったこともあり、かなりレベルの高いレースになりました。特に若手ライダーが速く、ついていくことすらできませんでした。結果はクラス1位/2位で総合2位ということで転倒があり、少し悔しさはありますが、こんなにも今の自分では敵わないライダーがたくさんいるということにワクワクしました。両ヒートともスターティングデバイスがかけられず、スタートで出遅れたのは今回一番の心残りです。

サーキットは日本のコースとは異なりストレートが長くハイスピードコースでした。路面は荒く、1回の転倒で装備が大ダメージでした。タイヤの食いつきは良く、ダートが入ったことでスリッピーになることもなく、かなりバイクを倒し込んでも大丈夫なほどグリップが良かったです。路面が砂ではなくアスファルトの2連やテーブルトップがあり、しっかりしたバンクもあったためテクニックが必要なコースで、レベルの高さを強く感じました。

ダート部分の路面はブラックマークがつく手前まで固めてあり、モトクロスをやっている感覚で走れました。日本と大きく違いを感じたのはギャップのでき方で、スーパーモト用のセッティングでは振られるほど大きく、さらにできる位置が全日本の時より奥にあったためモトクロスっぽさを感じたのかもしれません。ターマックのグリップの良さは、初めてのコースでも転倒の恐怖を感じず攻めることができました。しかし普段スリッピーな路面での練習が多いため、コーナー旋回はいつもと少し違う感覚でした。ダートのグリップの良さは良い方向に働き、コーナーでもアクセルを開けたまま旋回できて、ジャンプも躊躇せず飛べました。

レースフォーマットは12分+2周で、日本のレースよりかなり長い時間でした。体感では全日本選手権の倍近く長く感じました。ハイスピードで、かつテクニカルなダートセクションもあったため、体力的にかなりきつかったです。

マシンは普段使用しているものより前後サスペンションが硬く、動きを抑えるようなセッティングでした。普段のマシンは父任せなので詳しい違いは分かりませんが、現地のマシンはいろいろなカスタムパーツが装着されていて、普段の自分のマシンとは全く別物でした。

チームBRTはとても優しい方たちで、言葉が通じない中でも身振り手振りや簡単な単語でコミュニケーションをとってくださり、走行後もライン取りや良くないところを細かく教えていただいて本当に助かりました。レース後も一つ一つリアクションしてくれて、とても明るく楽しいチームでした。

海外レースのレベルの高さを強く実感するとともに、スーパーモトの盛り上がりの違いも感じました。1チームずつのパドックの大きさや観客数は日本の倍以上に感じました。今の全日本ではほとんど見られなくなりましたが、レース前夜やレース後にチームごとにパーティーをしていて、自分たちも呼ばれたり、小原選手について行っていろんなチームのパーティーに参加させていただきました。

前日と決勝当日の2日間のみの走行でしたが、ビビらず現地ライダーを追うことができ、得意なダートセクションを褒めていただけたことで大きな自信になりました。

今後はマシンセッティングや走り、ライン取りなど活かせる点を積極的に吸収しつつ、パドックのつくり方などスーパーモトを盛り上げるうえで参考になる部分も多くあると感じました。もしまた海外レース参戦の機会があれば、ぜひ挑戦したいです。今回は言語の違いがあってもコミュニケーションは取れることを実感しましたが、もっとしっかり会話したいので、最低限の英語を身につけてから参戦したいと思います。」

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