日本代表が9年ぶりの決勝進出【2025 Monster Energy FIM Motocross of Naitions】

下田丈・大倉由揮・中島漱也の3名が挑んだ2025モトクロス・オブ・ネイションズ。2016年以来となる決勝進出を果たした激闘の舞台を振り返る

PHOTO&TEXT/Y.Izawa 伊澤侑花

10月3〜5日、モトクロスの国別対抗戦「Monster Energy FIM Motocross of Nations(モトクロス・オブ・ネイションズ)」がアメリカ・インディアナ州のアイアンマン・レースウェイで開催された。今年は全37か国が出場し、日本は代表ライダーとしてMX OPENクラスに下田丈、MXGPクラスに大倉由揮、MX2クラスに中島漱也を選出。予選通過の可能性が最も高い布陣を敷いた。

2000年・2003年に過去最高6位を獲得し、2016年以来決勝進出を果たしていない日本代表は、まず予選通過ラインとなる19位以内を目標にレースへ挑んだ。

予選1組目のMXGPクラスでは、大倉が序盤で15番手に立ち、前のライダーを猛追。勢いある走りを見せたが、終盤に10mほど身体が飛ばされる大きな転倒を喫する。それでもすぐにマシンにまたがり走行を再開し、大きく順位を落とすことなく19位でフィニッシュした。

続くMX2クラスでは中島が好スタートを決めて12番手を走行。12〜15番手が接戦となる中、最後まで粘りの走りを見せ14位でチェッカーを受けた。予選最終組のMX OPENクラスでは、下田がスタート後4番手から追い上げる展開。450ccマシンでの初レースながら、上位ライダーにも引けを取らないスピードで2位まで順位を上げてゴール。結果、日本は合計16ポイントで総合10位となり、見事9年ぶりの決勝進出を果たした。

決勝レースは2クラス混走で、30分+2周のレースが全3回行われた。レース1は大倉と中島が出走。中島は中央寄り、大倉はややアウト側のスターティンググリッドを選択し、ともに好スタートを切る。大倉は12番手付近、中島も19番手あたりにつけたが、序盤にそれぞれ転倒。復帰に時間を要し順位を落とすも、懸命な追い上げで大倉31位、中島36位でゴールした。

続くレース2は中島と下田が出走。450ccマシンで臨む初の決勝レースとなった下田は、ホールショット目前の好スタートを決めるが、1コーナーでミスにより後退。5番手からの追い上げとなったが、持ち前のスピードを発揮し2周目には4番手に浮上。その後ライバルの転倒もあり、2位でフィニッシュを果たした。一方中島はスタートで25番手につけるも、思うようにペースを上げられず31位でチェッカーを受けた。

日本からも多くの観客が来場。各所でファンが持つ日本の国旗が掲げられ、代表チームの背中を押した

レース3では大倉と下田が出走。下田はレース2でのミスを修正した完璧なスタートでホールショットを奪取。序盤はトップを快走したが、体力の限界が近づき6位でゴール。一方、大倉はスタート直後のクラッシュに巻き込まれ、追い上げるも前との差を詰められず29位でレースを終えた。

転倒や疲労に苦戦しながらも3名が全力を尽くし、日本代表は合計99ポイントで総合11位を獲得。各ライダーのレベル向上が示された。さらなる高みを目指す日本代表の今後に注目したい。

下田丈:予選2位/決勝総合2位

「450ccに乗って練習する時間が全然取れない中レースを迎えました。決勝が450ccに乗り始めて5日目くらいで、450ccのための身体づくりもできていないので、マシンに対して体重は軽いし、エネルギーがなかったです。体力含め全部分かっていたことなので、スタートに集中して序盤の2・3周でスパートをかけて前に出て、そこからは本当に体力勝負でしたね。自分にとっても450ccに乗ることは挑戦で、クラス内でどの位置につけるのかもわからない状態でしたが、自分のスピードが意外と通用すると知ることができました。チームとしても目標をクリアできて、決勝11位という結果を残せてよかったです」

⼤倉由揮:予選19位/決勝総合16位

「出場3回目にして決勝に進めたことは嬉しいです。ただ、自分が予選で転倒しなければもっと余裕を持って通過できたと思ってしまいます。決勝も転倒さえなければ……と悔しいです。ハイスピードなコースで、スタートも良い感じに決まって、序盤は特に周りのスピードに引っ張られてオーバースピードになりました。ただそれでもついていきたいという気持ちが強かったですし、1・2年目を振り返ると、その時よりも上位のライダーと競うことができていて、自分の成長を実感しました。今回の経験を経て自分はまだまだ伸びると感じていますし、これからも代表として選ばれるよう結果を残し続けていきたいです」

中島漱也:予選14位/決勝総合17位

「10位で予選を通過し、決勝11位で終えることができた日本の結果は、チームにとってよかったと思います。体力的には問題なかったですが、予選日の時点で腰や背中に筋肉痛を感じて、決勝の朝の公式練習を走った後もそれはさらに増していました。筋力的な疲労がすごくて、今までで一番きつかったです。自分の走りを振り返ると良いとは言えないですね。予選をしに来ているわけではないので、決勝で結果を残すことができなかったのが悔しいです。思ったようにいかなかった、という気持ちですが、いつもの自分の走りができたとしても簡単に上位に入れるとも思わないので、現実を突きつけられた感じです」

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