山梨・北杜市をめぐるカブ旅|アニメ”スーパーカブ”の聖地巡礼①

『スーパーカブ』の舞台・北杜市をカブで巡る聖地巡礼旅。アニメの名シーンとリアルな風景がリンクする感動体験!

■ カブonly 19
写真:徳永茂 文:栗栖国安

アニメ舞台の聖地巡礼は定番のツーリングスタイル

映画やTVドラマのロケ地めぐりは、昔から旅のひとつのスタイルとしてあった。そしていまは、アニメの舞台となった場所をめぐる聖地巡礼もすっかりおなじみの旅となっている。

2021年4月から7月にかけて『スーパーカブ』というタイトルのアニメが放映された。もちろんホンダが協力している。スーパーカブユーザーのひとりとして作品を視聴したのだが、簡単にいうと、女子高校生の小熊がスーパーカブを手に入れいろいろな体験をしていくという内容。舞台は山梨県北杜市。というわけで、スーパーカブ110に乗って聖地巡礼ツーリングをしてみることにした。ひたすら国道20号線を走ることおよそ4時間、到着したのは中央本線の日野春駅。作品ではこの駅前のシーンもあるのだが、主人公の小熊が駅近くの日野春団地に住んでいるという設定だ。

日野春駅

小熊が住んでいる団地の最寄り駅が中央本線の日野春駅。各駅停車しか止まらない無人駅だ。かつては蒸気機関車の給水駅として重要だった駅で、現在も給水塔が残っているので鉄オタにも人気になっている
作中に登場した橋のひとつ。国道20号線の大武川橋は牧原交差点のすぐ西側にあるトラス橋
県道612号の釜無川橋。橋の北側にポケットパークがある。釜無川は南アルプスが源流の一級河川だ

駅前から県道612号線を少し下ったところに団地はある。実在の団地なので敷地内に入らず道から眺めた。この県道も作品に何度か登場するので、走っているだけで没入感が得られる。ワインディング状の道を下りきった橋の手前に釜無川橋ポケットパークがある。東屋で小熊やハンターカブに乗る礼子たちと談笑するシーンが描かれている。

主人公の女子高生である小熊は、なぜかひとり暮らしをしている。その小熊が住んでいるのが日野春駅近くにある県営日野春団地

釜無川橋を渡り国道20号線と交差する牧原交差点を過ぎてしばらく行くと、スーパーおのがある。作品でたびたび登場する実在のスーパーで、店内にはパネルやポスター、そしてグッズなどが所狭しと陳列されていて、アニメオタクいや、スーパーカブファンのパラダイスといった場所だ。店の人に話を聞くと、聖地巡礼で来るライダーが絶えないという。

スーパーおの

作中で頻繁に登場する武川地区にあるスーパーおの。実在するスーパーで、店内にはスーパーカブや模型、アニメのポスター、パネルなどが飾られた特設コーナーもある、まさに聖地。巡礼で訪れるライダーに人気だ

県道をさらに進んでいったところには、小熊たちが通う高校のモデルとなった武川中学校や、小熊がスーパーカブを購入したバイクショップとされる建物がある。

小熊たち3人が通う高校のモデルになった武川中学校。南アルプスの麓、自然豊かな環境に囲まれた学校は、のびのびと勉強できるかも?

ほかにも作中で登場した店や場所などが界隈には多くあるのだが、走りながらではあるけれど、可能なかぎり見て回った。北杜市内で舞台になったところは狭い範囲に固まってあるので、巡礼しやすい。

ざっと見て回ったところでちょっと観光もしてみることにした。向かった先は旧甲州街道台ヶ原宿。江戸時代に宿場町としてにぎわったところで、いまも古い民家や蔵などが残っていて、江戸情緒あふれる雰囲気を味わうことができる。日本の道百選にもなっている旧街道沿いには、酒蔵や老舗和菓子店などがあり、観光客に人気だ。

北杜市の観光名所 甲州街道台ヶ原宿

江戸時代に甲州街道の宿場町として栄えた台ヶ原宿は、日本の道百選にもなっている旧道には現在も江戸情緒あふれる町並みが残り、七賢でおなじみの酒蔵『山梨銘醸』や和菓子の『金精軒』も台ヶ原宿に店を構えている

小熊たちを慕う椎の実家という設定のカフェ「BEURRE」は、長坂にある「バックハウスインノ八ヶ岳店」という実在のパン屋
小熊が中古のスーパーカブを買ったバイクショップShino’ sのモデルとなった建物は、芸術家である篠原勝之氏の工房

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