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【ツーリングガイド】天草で脈々と受け継がれる信仰

人々に寄りそう教会の今に感動

南島原市で天草四郎やキリシタンの歴史に触れて、俄然興味が湧いてきた。とくに原城跡の惨劇は今更ながら心が痛む。今日はキリシタン弾圧の歴史を学びながら南島原市の原城跡と同じく、世界文化遺産に登録されている「天草の﨑津集落」を目指す。

まず向かったのは天草キリシタン館。8時30分から見学ができるのでありがたい。ここでは島原・天草一揆を中心とした展示があり、天草四郎を総大将として幕府軍と戦った一揆軍に思いをめぐらせた。一揆の際、天草四郎が軍旗として使用したと言われ、国指定重要文化財となっている。「綸子地著色聖体秘蹟図指物(通称:天草四郎陣中旗)」の精巧なしプリカが常時展示されているが、年4回のみ実物が展示されるので、これに合わせて訪れるのもよい。

キリシタン館の見学を終え、国道266号で山間に入っていく。亀川ダムあたりから道がくねくねし始め、フラットツインの鼓動を楽しみながらバイクを傾ける。途中、道の駅宮地岳かかしの里でトイレ休憩。ユニークな表情をした人型のかかしがあちらこちらに立っていて見慣れぬ光景が印象的だ。

次に天草コレジヨ館へ行き、キリスト教と共に天草で華開いた南蛮文化にまつわる展示を見学後、天草ロザリオ館まで行ってから﨑津集落を訪れた。天草市内からロザリオ館までは40㎞程度、1時間ほどで走れてしまう距離。思いのほか早く到着できたので、ゆっくりと﨑津集落の中を歩いて回ることができた。

キリシタン弾圧の歴史はあるが、現代のカトリック教会、お寺、神社は互いにリスペクトしている。そしてキリスト教が伝わった時から変わらずお寺も神社も教会を支援してくれたから、今があると神父も感謝を述べている。宗教は信じる神が異なるといがみ合うという考えは改めなくてはいけない。

﨑津集落のシンボルでもある﨑津教会は見学可能だが、結婚式などの教会行事は拝観不可。しかし厳かな気持ちで共に祈りたいのであれば、洗礼を受けていなくてもミサに迎えてくれる可能性はある。

日曜日の朝7時には教会の鐘が鳴り響く。﨑津教会を日曜日の朝の予定に組み込むのも素敵なことだ。念を押すがあくまでも祈りの場であることは忘れないでほしい。

﨑津集落を後にしてバイクを走らせ、国道389号を北上すると高台に白亜の大江教会が見える。

天草は企業や学生の陸上チームが合宿を張る土地。道がきれいで交通量が多くないので人もバイクも走りやすい。

﨑津教会

ゴシック様式の教会

民家が立ち並ぶ﨑津集落の細い路地裏にある教会。長崎の建築家・鉄川与助によって設計され、内部は畳敷きになっている。現在の教会は、1934年(昭和9年)、フランス人宣教師ハルブ神父の時代に建てられたもの。

DATA

熊本県天草市河浦町﨑津539
TEL0969-78-6000(﨑津集落ガイダンスセンター)
開館時間:9:00 ~ 17:00
休館日:なし(臨時休館あり)
※冠婚葬祭などの教会行事が行われているときは拝観不可

大江教会

ロマネスク様式の教会

キリスト教解禁後、天草で最も早く建てられた教会で、現在の建物は1933年(昭和8年)天草への伝道に生涯を捧げたフランス人宣教師ガルニエ神父が地元信者と協力して建立した。丘の上に建つ白亜の教会として名高い。

DATA

熊本県天草市天草町大江1782
開館時間:9:00 ~ 17:00
休館日:なし(臨時休館あり)
※冠婚葬祭などの教会行事が行われているときは拝観不可

天草ロザリオ館

隠れキリシタンの貴重な遺物

天草キリシタンの生活や文化を知る貴重な遺物を展示している。1587年に始まった豊臣秀吉のキリスト教の弾圧から、1614年のキリスト教禁教令発布、1873年に禁教令が解かれるまで、厳しい弾圧に耐え忍び、信者たちが信仰を守り続けた証がある。

DATA

熊本県天草市天草町大江1749
TEL0969-42-5259
開館時間:8:30 ~ 17:00(最終入館16:30)
定休日:水曜(祝日の場合は翌平日)
料金:300 円
http://hp.amakusa-web.jp/a0784/

天草キリシタン館

国指定重要文化財等を多数所蔵

島原・天草一揆を中心としたキリシタンの歴史をつづる資料館。踏絵やマリア観音など、約150点の資料を展示。天草四郎率いる一揆軍が使用した陣中旗は心が揺さぶられる。年4回だけ当時の現物が展示されるので事前にチェックしたい。

DATA

熊本県天草市船之尾町19-52
TEL0969-22-3845
開館時間:8:30 ~ 17:00(最終入館16:30)
定休日:火曜(祝日の場合は翌平日)
料金:300円
https://hp.amakusa-web.jp/a0905/

天草コレジヨ館

16世紀の南蛮文化を伝える

1591 ~ 1597年の7年間、天草の地に開校されていた宣教師を養成する神学校「天草コレジヨ」に関する歴史や、キリスト教とともに伝来した西洋文化を紹介する。天正遣欧少年使節が持ち帰ったグーテンベルク印刷機や西洋古楽器の複製などを展示。

DATA

熊本県天草市河浦町白木河内175-13 
TEL0969-76-0388
開館時間:8:30 ~ 17:00(最終入館16:30)
定休日:木曜(祝日の場合は翌平日)
料金:200 円 
http://hp.amakusa-web.jp/a1050/

郷土文化伝承 南風屋

杉ようかん 200円
﨑津南蛮柿(いちじく)ジャム 650円
いちじく揚げパン 250円

素朴な郷土菓子

﨑津集落の教会近くにある小さな店。いちじく農家直営で自家製のジャムやいちじくとシナモンがふんわりと香る揚げパンが人気だ。天草は日本で初めてポルトガルからいちじくが伝わった地と言われている。モチモチした手作りの杉ようかんも、素朴な味で初めてなのに懐かしさを感じた。

DATA

熊本県天草市河浦町﨑津454
TEL0969-79-0858
営業時間:8:30〜15:00

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