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【第9回 】アウトドアMONOローグ「ロープ」

BikeJIN2023年2月号(Vol.240)掲載

ふだんの生活ではほとんど使わないが
アウトドア生活ではなくてはならないもの
ロープもそのひとつである。ロープワークは奥が深くて
覚えると、なかなかハマる世界なのだ

今やロープは都会生活ではほとんど使わない道具のひとつになってしまった。使うとすれば新聞や段ボール箱をまとめる時にビニールヒモを使うくらい。覚えている結びも「固結び」か「蝶々結び」程度だろう。

それがアウトドアで遊ぶとなれば、ロープを使うシーンはたくさんある。キャンプでも「テントやタープに張り綱を結びつけて地面に固定する」「木にロープを縛り付ける」「タープの下に吊り下げ用のロープを張る」は最低限レベルで、「ロープをピンと張る」ための結びや「自在金具」などのロープに付随する道具の使い方も覚えなくてはいけない。釣りやカヌー、岩登り、沢遊びをしたいなら、さらに多くの専門的な結びを覚える必要がある。

 アウトドア用のロープは登山用のザイル(クライミングロープ)と汎用のロープで規格が完全に分かれていて、ザイルは強度試験が行なわれた上での製品保証がなされている。汎用ロープのように「切って使う」ことはされない。使わない時でも、ロープに傷がついていないかどうか、ヨレを取っておくなど、こまめなチェックやメンテナンスが重要なポイントになる。クライミングの世界はロープの結び方や扱いを誤ると生死に関わる事態になるからだ。

汎用ロープはおおよそナイロン製で1〜10㎜程度までさまざまな太さがあり、用途に合わせて使いこなす。カヌー、カヤック、沢登りなどの救助用ロープでは「フローティングロープ」と呼ばれる水に浮くポリエチレンやポリプロピレン製のロープもある。テントの張り綱には太さ1.5〜2㎜、力のかかるタープの張り綱には太さ3〜4㎜程度のロープが使われることが多い。購入時に付属してくるロープのほかに1.5〜2㎜の太さで長さ2m程度のものを2〜3本、3〜4㎜の太さで長さ3〜4mのものを3〜4本用意しておくとタープの使い方に幅が出てきたり、テントの内側に小物をぶら下げるための張り綱をつけたりと、さまざまな用途に使うことができる。

 耐候性や繰り返しの使用に対する強度の点ではナイロンロープに敵わないかもしれないが、自然素材のロープもバカにできない。麻ヒモは灯明の芯にしたり、ほぐして着火材にすることができる。ナイロンロープにはこのようなことはできない。自然素材には自然の素材の良さがあるということだ。

 ロープワークの1分野に「飾り結び」というのがある。昔の船乗りは使い古しの麻ロープを使って玄関マットやバスマットを作ったりしていたらしいし、日本でも薬ビンを包む際に超複雑な飾り結びを施して開けたら元に戻せなくして鍵替わりにしていたようだ。お守りや願掛けの意味を持ち、足首に巻くミサンガなども飾り結びのひとつだし、革ヒモを使えばキーホルダーなどのアクセサリーを作ることもできる。

 ロープワークは興味を持って覚え始めると、ハマる世界なのである。教本を見ながらキャンプの余暇を過ごすのにもピッタリだ。

さまざまな太さと色のナイロンロープ。
白黒写真では分からないかもしれないが、ナイロンロープには迷彩カラー(下)もある。キャンプなどで使うならばカラフルな色のもの(上)がオススメだ。タープの張り綱などに迷彩カラーのロープを使うと背景に溶け込んで見えなくなり、足や身体を引っ掛けたりして危険極まりない。
輪を作る結び方で最もポピュラーな「もやい結び」。まずはここから覚えていくといいだろう。
ロープワークの本はいろいろあるが写真よりもイラストの方が分かりやすい。オススメの本2冊。「ロープワークの基本(善養寺ススム著/エイ出版社)」「アウトドア・ロープワーク(羽根田治著/山と渓谷社)」 *現在、どちらも絶版
麻ヒモは油を染み込ませれば灯明の芯になるし、ほぐして丸めると非常に優秀な着火材になる。チューブのジェル状着火剤を「カッコ良くない」と思っている僕は、この麻ヒモ着火材を愛用している

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