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【カタナ専門ショップ・ユニコーン⑥】カタナを護るためにしていること

専門的二輪車の世界には道を突き詰める楽しさあり!
スズキ・カタナシリーズのスペシャリストとして活動する横浜市のユニコーンジャパン
その代表を務める池田隆さんは極めて豊富な経験と知識を持つ世界最高峰の“刀職人”だ

(BikeJINvol.237 2022年9月号より抜粋)

スズキの名物エンジニアだった人物でGSX1100Sカタナの生みの親でもある横内悦夫さんや、カタナのデザイナーとして知られるハンス・ムートさんに「アナタはカタナの守護神」と言われ、「できる限りこれを守ってほしい」と横内さんには遺言として託された私ですが、初代カタナは誕生から40年以上が経つバイクですから、正直なところ守り続けることは簡単ではありません。

私自身、今年で61歳を迎えて、仕事ということでは“まとめ”の時期に入ってきました。ユニコーンジャパンは、神戸時代から数えて25年で40周年。そのときに私は65歳ですから、一般的な会社で考えたらちょうど定年を迎える時期と重なります。一方で初代カタナに関する仕事も、老舗の和菓子屋じゃあるまいし、この先さらに50年とか続くものでもないでしょう。大切にしてくださるお客様がいらっしゃっても、僕らでは製作できないパーツもあるわけで、商売として今後大きくなるということは考えづらいわけです。

ユニコーンでは、イナズマ1200をベースとしたGSX1200Sや、GSX1400を土台としたGSX1400Sというカタナの自社生産車を製作して、これまで累計約500台を販売してきましたが、これも最初の1台からは20年以上が経過しているわけで、1100カタナとほぼ同様です。ちなみに、弊社で製作した1200や1400のカタナが現在どれくらい残っているかは、我々にも分かりません。調べられる方がいらっしゃったら教えていただきたいくらいなのですが、ショップに来店いただけるオーナーさんは現在も絶え間ないですし、車検や整備で毎年何十台もの車両に触れているので、それなりの数が現存していると思います。事故で潰さない限り大事に乗られるオーナーさんが多いのではないでしょうか。まあ、中古車市場ではかなり価格が高騰していますが……。

ユニコーンジャパンが、これまでに製作したリプレイスパーツの一部。ジェネレーターカバーは、立ちゴケでも破損する可能性があるため必需品。金型を起こして製作している

それはともかく、人間が生まれてから成人して年老いて死ぬのと同じように初代1100カタナの時間ということを考えると、すでにその後半に入っています。であれば、自分が今できる仕事というのは、メーカーがすでに廃番してしまった部品をいかにして用意し、現在生き残っている初代カタナやユニコーンカタナをリカバリーするかにあると考えています。純正部品は、神戸から横浜に拠点を移したときから意識してコツコツ集めていたのですが、なるべくストックするよう努めてきました。ありがたいことに、GSX1100Sカタナに関する部品の廃番はこれまでとても少なかったのですが、ファイナルエディションが登場してから20年で20周年。このあたりから廃止される部品が加速度的に増え、我々も焦りました。現在、廃番部品は5~6割に上るイメージです。

「メンテナンスなどを依頼するカタナオーナーのため」に、ユニコーンジャパンでは純正部品もストック。ただし、廃番部品もかなり増えてきた

これはよく言うのですが、どんなにスゴ腕のメカニックでも、部品がなければ“ただの人”。だから、部品のストックはとても大事です。ユニコーンの歴史は37年もあるわけで、その間にウチが販売したカタナは相当な数。私にはお客様に対する責任がありますし、横内さんやムートさんから「頑張って!」と言われた以上、少なくともユニコーンに関わる皆さまが困らないよう部品を確保する使命があると思うんです。

そこで、部品のストックをする一方で、廃番になったパーツで重要性の高いものは、数年前から自分たちで製作しています。ジェネレーターカバーなどは金型から起こすので、金額的に大変なのですが、今後もパーツの種類を増やす予定でいます。

ユニコーンジャパンは、スズキと二輪・四輪・船外機に関する正規ライセンス契約を結んで、カタナに関する各種オリジナルグッズも製作している
ユニコーンジャパン代表:池田隆さん
専門的二輪車の世界には道を突き詰める楽しさあり!スズキ・カタナシリーズのスペシャリストとして活動する横浜市のユニコーンジャパンその代表を務める池田隆さんは極めて豊富な経験と知識を持つ世界最高峰の“刀職人”だ

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