Honda CUV e:試乗レビュー|EVでも“バイクの楽しさ”は残るのか?

Hondaが放つ電動コミューター「CUV e:」はたしかに親しみやすいバイクの形をしている……。でもエンジンの鼓動もなければ、音も、匂いもない。これから僕らの乗り物はどうなっていくのか……?

■ BikeJIN vol.271 9月号
写真/川井晴稀 文/盛岳郎

CUV e:の試乗から見えてきた“Hondaの本音”と“バイクの未来”とは?

「EVは“楽しい”のか?」それがCUV e:に試乗する前に抱いていた率直な疑問だった。バイクとは、ただの移動手段ではなく、操作そのものが喜びにつながる乗り物だ。Hondaといえば、エンジンの鼓動やスロットルの反応、それらすべてに「走る楽しさ」の哲学を込めてきたメーカー。ではEVになっても“楽しさ”は残るのか?

それとも、HondaはEVに関してはインフラ側に軸足を移し、FUN層はEVの世界から置いてかれ“走り”は過去の遺産になっていくのか?

だが走り出してすぐ、その不安は霧散した。CUV e:は電動でありながら、自然なスロットルレスポンスとモードの切り替えによって、エンジン車に近い“遊び”の感覚がある。実際に開発者は「従来のバイクに近い出力特性のバランスを細かく調整した」と語っており、バイクらしい挙動を意図的に再現しているのが分かる。

さらに、開発陣が「FUN領域も視野に入れている」と明言してくれたのは心強い。まずは通勤や街乗りに適した“コミューター”用途からスタートするが、それはEVに慣れてもらうための段階でしかない。将来的にはツーリングや趣味領域への展開も期待できそうだ。

加えて注目なのが「Honda RoadSync Duo」。バッテリー残量や交換ステーションの検索、ナビゲーションなどを直感的に操作できる専用アプリで、ハンドル左のボタンから操作可能。Apple CarPlay的なインターフェースで、EV特有の不安をしっかりカバーしてくれる。

CUV e:は、単なる環境対応車ではない。「EVであっても、バイクらしさを大事にする」というHondaの根源的な思想が感じられる1台だ。

Specifications CUV e:

最高出力:8.2ps/3500rpm
最大トルク:2.2㎏ f・m/2300rpm
重量:120㎏
シート高:766 ㎜
一充電走行距離: 57㎞(60㎞/h定地走行テスト値、1名乗車時)
バッテリー:リチウムイオン電池(Honda Mobile Power Pack e:)×2 個
タイヤサイズ:
F=100/90-12 59J
R=110/90-12 64J
価格:52万8,000円(バッテリー2 個+専用充電器2個を含む)
※写真は海外仕様車です

驚いたのは「バイクのあの挙動」だったこと

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走りの楽しさを残すべくそのような出力特製にしたとのこと。さらにEVらしく、モード切替によって加速のメリハリや走行フィールを自在に変化させられる点も魅力。操作系やUI/UXも直感的で、未来の移動体験が自然に手の内に入ってくる感覚

初搭載のコネクテッドサービス「Honda RoadSync Duo」

CUV e:には、Honda独自のサービスである「Honda RoadSync Duo」を初めて搭載。Apple CarPlayのような直感的なUIで、EVならではのバッテリー情報やルート案内を提供。操作はハンドル左のボタンでスムーズに行える

ユーザーはバッテリーの買い切りかリースを選択可能

CUV e:では、バッテリーを「買い切り」か「リース」から選択可能。気軽に新技術を試したいならリース、通勤など日常使用なら買い切りが適している。リースは月額基本料に加え、バッテリー使用量に応じた従量課金制となる

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