ツーリング前に要チェック!市街地での事故リスクについて考える

ツーリング時に避けては通れない“市街地”。データを見ると、多くの事故が発生していることが分かる。日常的に街中を走るときはもちろん、遠方へと向かう際も自宅周辺での運転には十分に気をつけたい

■ BikeJIN vol.271 2025年9月号
文/編集部

出発時も帰宅時も市街地は油断できない道

ツーリングに出かける際、ほとんどのライダーは都市の中心部や住宅密集地といった市街地を通らずに目的地に辿り着くことは難しいはずだ。よっぽどの郊外のエリアに住んでいて、自宅付近からすぐに高速道路にアクセス可能。そのまま目的地まで直行できるというような住環境でない限り、出発時、もしくはツーリング中のどこかでは市街地を走行する。もちろん帰宅時も同様で、事故に遭うことなく帰ってくるために、市街地を安全に走る術を知っておくことはとても重要と言える。

統計データを見てみると、警察庁が発表している2024年に全国で発生した交通事故は、実にその8割以上が市街地で発生している。我々ライダーは事故に遭わないために、道路上の様々な情報を感じとって次に起こりうる状況を予測して運転/走行することが身についているが、交通量が多い市街地はその起こりうる状況の予測が難しい。車両以外にも自転車や歩行者(それも大人、子供、高齢者、ペット連れなど様々)の動きにも常に気を払わなければならない(さらにその動きを予想することも必要)という状況が続く。ワインディングや高速道路に比べて、道路上の情報量が多いのが市街地での走行なのだ。

さらに、二輪車の交通事故発生場所で最も多い場所は、〝交差点とその付近〞。警視庁発表の2024年に起きた二輪車の交通事故の発生状況データによると、半数以上が交差点で起きている。重大な事故につながるケースが多い右直事故が起きるのも交差点。たとえ青信号でも、「自分が優先」と過信せず、視線を左右に向け、すぐブレーキ操作できるように構えておくように心がけたい。ドライバーから見ると、バイクはどうしても見落としやすい。見落とされているかもしれないという前提で運転し、たとえ相手が悪くても、避けられるなら避ける方が安全だということを肝に銘じておきたい。

待ちに待ったツーリング当日の朝。自宅を出発するタイミングは、交通量が多くなる時間帯と重なっている。自然と高揚する気持ちを抑えることは難しいが、バイクを走らせる前に一度心を落ち着けてほしい。出発早々に事故……などという事態にならないために、まずは深呼吸して、乗りはじめから慎重な走行を心がけよう。

Q.交通事故が発生する場所はどこが多い?

A.歩行者もクルマも多い市街地で事故多発!
全国の交通事故のうち、8割以上が市街地で発生。車両や歩行者、自転車などの往来が多く、交差点や信号、駐停車車両といった複雑な交通環境が集中していることが理由として考えられる。ライダーにとって、様々な危険が潜んでいるのが市街地であることを理解しておこう

Q.二輪車の事故が多い場所は?

A.複雑な状況となる交差点が高リスク
二輪車事故の半分以上は、交差点とその周辺で起きているのが現状。左右の確認不足や右折車との接触、など原因は多岐にわたる。見通しの悪い交差点や混雑している時も要注意だ。交差点侵入時は早めの減速・ウインカーでの合図を心がけて、周囲の状況を把握して事故に遭うリスクを軽減しよう

Q.二輪車との事故が多いのは?

A.他車に譲る気持ちが大事!
最も多いのがクルマ等との接触などによる車両相互の交通事故。交差点や右左折時の見落とし、すり抜け中の接触などが原因になりやすい。その次に多いのがカーブや急ブレーキでの転倒、スリップなどによるバイク単独での事故。操作判断ミスや路面状況の見誤りも発生する要因だ

Q.バイクの事故が多い時間帯は?

A.交通量が増加する出発/帰宅時間に要警戒!
バイク事故が多いのは、朝8〜10時と夕方16〜20時。通勤・通学や帰宅時間と重なり、交通量が増加する時間帯であるほか、急ぎや焦りによる無理な運転が目立つことも。特に交差点や渋滞中のすり抜けが事故につながるケースも。出発時と帰宅間際はとくに注意を払いたい

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