
[エンジンがかからない!]いまどきのバイクは“押しがけ”が通用しない!?
「エンジンがかからない!」そんな緊急時に頼りになる“押しがけ”は、実はキャブ車限定の技だった!現代のインジェクション車では通用しない理由と、知っておくべき対処法を詳しく解説します
押しがけはキャブ車専用のワザ

昔のレース映像(90年代前半くらい)を見ていると、バイクを押して数歩走って飛び乗ってエンジンをかけている。コレが「押しがけ」。
実は市販車でも、バッテリーが上がってセルが回らないときは、かつてのキャブレター仕様のバイクなら、「押しがけ」は有効だった。キャブ車は構造がシンプルなので、ライダーがバイクを押して「セルモーターの代わり」をすれば良かったからだ。
いまどきのインジェクション車だと、まず始動できない
ところが、いまどきのインジェクション車は、バッテリーが完全に上がってしまうと、押しがけではエンジンをかけられない。インジェクション車はガソリンを電磁ポンプでインジェクターに圧送するため、バッテリーが上がると、電磁ポンプが稼働しなくなる。
また、電磁ポンプが動くくらいバッテリーが残っている場合でも、規定電圧以下になるとECU(コンピュータ)への電源供給をカットしたり、エンジンのクランクが既定回転数以上にならないと、燃料噴射や点火を行わない機構が組み込まれる車両が多い。いずれも誤動作やECUを保護するのが目的だ。
ガソリンが送られなかったり、ECUが作動しないのでは、どんなに頑張っても押しがけは不可能。なので、インジェクション車のバッテリーが上がってしまったら、素直にバッテリーを充電するほかないのだ。
キャブ車なら試す価値あり!
押しがけは1人でもできるが(押して走って飛び乗る。昔のレースのスタート方法)、慣れないと立ちゴケ等の危険もあるので、誰かに押してもらい、ライダーは跨った状態で試そう。コツは十分に速度が上がってから、スパッとクラッチをつなぐこと。周囲の安全に注意してトライしよう。



スリッパー装備車も無理!

過剰なエンブレをキャンセルするスリッパークラッチ。スーパースポーツに標準装備されたり、カスタムパーツとしても販売されるが、この機構がついているとタイヤでエンジンを回すことができないので、押しがけでエンジンを始動できない。