知らなかった熱中症の怖さ|編集部ヤマキの実体験

「少しぐらい大丈夫」が危険信号。元郵便局員ライダーが体験した熱中症の恐怖と、夏ツーリングで欠かせない先手の暑さ対策とは

「予兆を感じてから」じゃ、もう遅い

今でこそバイク雑誌の編集をしている僕だが、前職は郵便局員だった。夏の炎天下、カブに乗ってひたすら配達。とにかく時間に追われる仕事で、日陰に入って水をひと口飲んだら、すぐ再出発──そんな働き方が当たり前だった。

その日も、気温はゆうに35℃を超えていたが、昼食もそこそこに3時間以上、配達を続けていた。途中で少しめまいがしたり、視界の端が暗くなったりしたものの、「まあ大丈夫」と思い込み、そのまま業務を続行。なんとか帰局はできたものの、その日の夜から体温は38℃を超え、翌朝には37℃まで下がったので「これなら大丈夫か」と出勤。しかし夜にはまた38℃に逆戻り……という生活を、2週間近く繰り返した。

明らかな熱中症だったと思う。ただ、当時はまだ“なんとなく夏バテが長引いてる”くらいにしか考えていなかった。けれど、回復したあとで気づいた。明らかに、暑さに弱くなっている。以前ならなんともなかった気温でも、ふとした瞬間に具合が悪くなる。頭がボーッとして、汗でびっしょり。あれ以来、夏の直射日光が本気で怖くなった。

転職してからは配達業務はなくなったが、夏のツーリングロケやプライベートでのライドでは、あの経験が常に頭にある。ちょっとでも「今日は暑そうだな」と思ったら、装備は惜しまないし、水分・塩分は意識的に取り、時間に余裕のあるスケジュールを組むよう努めている。なにより、「アレ?」と違和感を覚える前に休憩を取るようにしている。

これは趣味、仕事に関係なく、すべてのライダーに言えることだと思う。こまめな休憩、水分・塩分補給、無理のないスケジューリング──どれも単純なことだが、夏のツーリングでは命を守るために必要不可欠だ。

この原稿を読んでくれている皆さんの中にも、「ちょっとくらい大丈夫」と思って走っている方がいるかもしれない。でも、体調が悪くなってからでは本当に遅い。ツーリングは楽しい。でも楽しいからこそ、ムリをしてしまいやすい。その先に、僕が経験したような後遺症が待っている可能性もあるのだ。

だからこそ、夏のツーリングは「予兆が出る前」に手を打つことが大切。暑さ対策も、時間の組み立ても、すべて“先手”が鍵になる。

熱中症のサイン

・ めまい、立ちくらみ
・ 顔の火照り
・ 手足のしびれ、筋肉のけいれん
・ 倦怠感、頭痛、吐き気
・ 汗のかき方がおかしい
・ 体温が高くなる

現在やっている対策(ツーリング時)

・ こまめな休憩、水分塩分補給
・ 早朝に出る
・ メッシュ+冷感インナー+日焼け止め

ツーリング中、計画段階、アイテム準備……それぞれの場面でキホンの熱中症対策を満遍なくやっている。ベテランにとっては当たり前過ぎることかもしれないが、一度熱中症になった経験があるからこそ当たり前のことを当たり前にやることの大切さを痛感したので、ぜひ皆さんも参考にしてほしい

ヤマキのイチオシ夏対策アイテム

氷瀑フーデットシャツ(YKI-109)
価格 :7920円
カラー:ブラック、ブルー
サイズ:S、M、L、XL、2XL

裏地に施された特殊冷感加工が生地自体の温度を下げ、走行風との相乗効果も得られる冷感インナー。背中の裾はライディング時のずり上がりを防ぐドロップテール形状。袖には親指を通す穴が開いており、クールインナーキャップの役割も兼ねているのがオススメポイント

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