
新春ツーリング成功ガイド
バイクの“走り初め”は、ツーリングを愛するライダーたちの重要イベント。これを無事に終えるだけで、なんだかとても“いい年”になる気がするものなのだ。ただし1月上旬というのは寒くて混みやすいので、事前の準備と計画がけっこう大事。というわけで、まずは新春ツーリングの日程、装備、目的地を考えてみよう!
家族行事優先ならプチツーもあり!
新春に限らず、ウインターツーリングでまず考えるべきは、着用するウエア&ギアの防寒性。これが低いと、新春ツーリングは苦行になりかねない。本当は、現代の高性能な冬用アイテムを導入するのがオススメだが、「冬はほとんど乗らないし……」なんて人は、手持ちのウエアを組み合わせて、なるべく運動性を妨げず防寒性を最大にできる方法を考えたい。
ルートは、冬期閉鎖でなくても高所は避けておくほうが無難。大半の地点が標高1000m以下の伊豆や箱根でも、山間の峠道が部分的に路面凍結することは多々ある。日中でも、とくに北側斜面や日陰になっている場所は、とにかく慎重に走りたい。
このあたりことは各項でもう少し詳しく解説するが、そもそもの懸案事項として、「正月は家族で毎年決まった行事があるから、さすがにツーリングは……」なんて考えるライダーも多いだろう。
そんな人にオススメしたいのが、愛車での近距離散策だ。正月の市街地は、多くの店舗が休業している間ならかなり空いていて、いつもと違う雰囲気。ごく近場ならそれほど防寒対策しなくてもなんとかなるし、ピリッと冷えた空気をちょっと浴びるだけでも、走り初め気分は十分に味わえる。
はっきり言って、新春はツーリングに適した時期ではないが、だからこそ、ここで走っておくことで本格的なシーズンへの想いが募る。準備と計画を万全に、最高の幕開けを楽しもう!
【新春対策1】年末年始は最大9連休。日帰りは元日か1/4が狙い目!?

2025から2026年にかけての年末年始は、12/27(土)~1/4(日)まで9連休という人も多いだろう。11月下旬にNEXCO中日本が発表した渋滞予測によると、下りの渋滞がピークとなるのは1/2で、次が1/3(と12/30)。上りの大渋滞は、1/2と1/3に発生すると予想されている。つまり1/2~1/3は上下線ともに絶望的だ。そこで正月休みの間に初走りするなら、1/1か1/4を狙いたい。ただし1/4は、下りは大丈夫でも上りで多少の混雑はあるだろう。ちなみに、家族が許してくれるとか、朝からのお屠蘇をガマンするとか、休業している店舗や施設が非常に多いなどの条件をクリアできるなら、元日は意外とオススメ。例年、観光地エリアの道路でも混雑は少なめ。
【新春対策2】正月よりも選択肢が増加!泊まりは3連休か1月中旬以降へ

最大9連休となる年末年始休みのうち、新年を迎えてからは4日間しかなく、1/2 ~ 1/3は渋滞必至。こうなると、泊まりで走り初めをするのはためらわれる。そこでオススメしたいのが、1/10(土)~ 1/12(祝)の3連休でのツーリング。12月上旬現在、ホテル予約サイトで検索してみると、正月休みと比べて3連休のほうが空室は圧倒的に多い。1泊なら、1/11 ~ 1/12だとさらに選択肢は増える。ちなみに、より空室が多いのは、さらに1週遅らせた1/17(土)~ 1/18(日)。初走り感は薄れるが、のんびりできそうなのは魅力!
【新春対策3】首都圏周辺でも油断は禁物。シーサイドで凍結リスク低減!

一般的に、標高が100m高くなると気温は0.65℃下がるとされる。これは、標高が上がると気圧が低下して空気が膨張しやすくなり、その膨張時に熱エネルギーが消費されるため。自然現象なので必ず数式どおりになるわけではないが、例えば標高1000mの峠道は、標高0mの海岸と比べて約6.5℃も気温が低いことになり、つまり夜間に道路が凍結しやすい。だから冬ツーリングでは、標高が低めなシーサイドルートを基本とするのがオススメ。内陸部に住むライダーは、高速道路も活用しつつ安全に海沿いへ抜けるルートを考えたい。
【新春対策4】朝は遅めに、夕方は早めに。冬は距離を欲張らない!

当然だが、冬は日が短い。東京の場合、元日の日の出は6時51分で日の入りが16時38分。太陽が出ている時間は、夏至と比べて4時間48分も短いのだ。さらに冬場の日中気温は、立ち上がりが鈍く落ち込みは早い。まず太陽光で地表が温められてから、地表周辺の空気が温められるのが、気温上昇のメカニズム。冬は可照時間が短いから、気温が上がりづらいのだ。加えて、晴天が多く湿度が低い太平洋側では、放射冷却により地熱がどんどん宇宙へ逃げる。だから早朝は冷え込むし、日が沈めば途端に寒くなる。そこで冬ツーリングでは、日帰りなら近場をメインとするか、高速道路を多用して距離を稼ぎつつ、比較的気温が高い10 ~ 16時に走行する計画にしたい。
【新春対策5】「とにかく着込む」は時代遅れ。防寒対策はレイヤリングで!

現代の防寒対策は、ウエアをベース/ミドル/アウターのレイヤー(=層)として考えて、各レイヤーに明確な役割分担をさせるのが主流だ。アウターレイヤーは、保温力はミドルで得るという考えに基づき、防風性や防水透湿性を最重視。ミドルレイヤーは、体温で温められたデッドエアを多く確保するのが役割となり、ダウンかハイテク中綿を用いるのが主流だ。ベースレイヤーは、高機能アンダー着用が効果的。肌とインナーの間は湿度が90%前後もあり、保温と同時に吸汗速乾性や透湿性も求められる。ちなみに、下半身の防寒も基本はレイヤリング。例えばインナー+ジーンズ+オーバーパンツで3層となるが、冬用のライディングパンツには、単体でミドルとアウターを兼ねた2層の製品もある。
【新春対策6】保温ではなく発熱の時代に。電熱アイテムも積極活用!

効果的な防寒グッズとして、年々注目度が高まっているのが電熱ウエア。電気で駆動する熱線やパネルが内蔵されたウエアやグローブのことで、グローブは単体着用する構造が一般的だが、ウエアはミドルレイヤーとして着用する製品が多い。電源供給は車載バッテリーかモバイルバッテリーの2択で、前者はバッテリー切れの心配は少ないが、後者は導入が簡単で降車時にも恩恵を得られる。ちなみに、以前からあるグリップヒーターも依然として人気は高い。指先や手のひらを直接温めることで、寒さによる痺れやかじかみは軽減されるぞ。

