
【SENA×WAVE実走検証】距離無制限インターコムは公道で使えるか?市街地・高速での通話レビュ
スマホアプリひとつで仲間と“声でつながる”WAVEインターコム。これまで仕組みと使い方を紹介してきたが、では実際に走りながら使うとどうなのか?SENAインカムと組み合わせ、市街地・高速・郊外を走りながら徹底テストしてみた。通話の安定性、音質、WAVE⇔MESHの切替、そして気になった課題まで──。机上では見えない“リアルな使用感”を、編集部の体験とともにお届けする
■ BIkeJIN vol.275 2026年1月号
文/編集部
問:セナブルートゥースジャパン https://senabluetooth.jp
“つながる旅”の実力WAVE×SENAを走行検証
スマホアプリひとつで仲間と距離を気にせず通話できるWAVEインターコムの仕組みや操作性を紹介してきたが、では実際に走りながら使うとどうなのか。SENAインカムと組み合わせ、市街地から高速、郊外までを走りながら検証してみた。
まず市街地では、音質自体はクリアで問題なく、信号待ちや流れの中でもスムーズに会話ができた。一方で通信環境が不安定な場所では数秒のラグが生まれ、会話のテンポがわずかに乱れる場面もあったが、つながりさえすれば音声は安定しており、声が途切れるようなストレスは少なかった。
高速道路でもその音声のクオリティは変わらず、思った以上に自然な通話が可能だった。ただし、風切り音やマイク位置によって聞こえ方が変わる瞬間はあったものの、これはインカム側の調整やスピーカーやマイクそのものの性能のよるもので、電波以外の環境によるWAVEの性能は常に安定していた。問題が起きた際もその場で十分対応できる範囲で、長時間走行でも会話が途切れずに続く安心感が大きかった。また、SENAインカム同士なら走行中でもボタンひとつでWAVEとMESHを切り替えられ、圏外に入った際には自動でMESH通信に移行するため、こちらの意識とは関係なく通話が途切れにくい点が非常に便利だった。なお今回、他メーカー含む機種の異なる3パターンで通話を試してみたが、音声の快適性はインカム⇔スピーカー&マイクの相性や性能にとくに依存しているように感じた。
今回の実走で感じた課題としては、アプリが英語表記のままであること、ネット環境など様々な要因によって急に聞こえにくくなるシーンがあったことなどが挙げられるが、いずれも根本的な欠点ではなく、今後のアップデートで改善される可能性の高い部分だと感じた。それ以上に、走ってみて強く実感したのは〝つながる安心感〞そのものだった。
街でも山でも、仲間とリアルタイムに声と位置情報でつながっているというだけで、ツーリング仲間との楽しみの時間は確実に増える。WAVEはまだ進化の途中にある技術だが、SENAとの組み合わせによってその価値がさらに大きく広がる。ツーリングの新しい形が、ここからさらにアップデートされていくーーそんな未来への期待を抱かせてくれる体験だった。
What is WAVE?
ライダー専用、しゃべれる地図アプリ
WAVEは、スマホひとつで“声”と“位置”を共有できる、ライダー専用の通話アプリ。仲間が今どこにいるかを地図で確認しながら、会話ができる。グーグルマップで位置共有しながら、LINE通話をするようなモノ。もうペアリングも設定も不要。集合・通話・合流が、ぜんぶアプリで完結する新時代のライダーインフラ

SENAと組み合わせる理由は?
WAVEはどんなインカムでも使えるが、SENA製品なら「操作性」「安定性」「切替機能」が段違い。アプリを開かなくても、インカム本体のボタン操作だけでWave /Mesh をスムーズに切替可能。さらに、通信環境に応じて自動で最適な接続方式へシームレスに移行。WAVEを“走りながら使いこなす”なら、SENA製品がベストパートナーだ
・SENAならインカム本体ボタンでWAVE⇔MESHの切替が可能
・圏外は自動でMESH通信へ
・アプリ操作も直感的で、起動~通話開始が速い
・「走りながら使える」設計が大きな強み
※WAVE起動中はBluetooth通話は不可

通話方法は2種類。Wave Zone(半径約1.6㎞)に入るだけで会話が始まる「Geo WAVE」、あらかじめ登録した仲間だけで距離無制限でグループ通話ができる「Friends WAVE」。
WAVE×SENAを実際に使って走ってみた
SCENE 1 市街地 基本的に問題なく通話!
仲間との接続もカンタン!
市街地での通話は基本的にクリアで問題なし。ただし通信状況が不安定な場所では、数秒の“遅れ”が発生する場面があった。会話のテンポがわずかに崩れるが、つながりさえすれば音質は安定している。トンネルや高架下など、電波が弱い区間で影響が出やすい印象だ。
・ 会話はクリアで問題なし
・ ただし環境によって数秒の時差があり、会話テンポが乱れる
SCENE 2 高速走行 風の中でも意外と聞こえる!
音質は良好、風切り音が鍵
高速走行中でも通話は安定しており、遅延もほぼ感じない。風切り音やマイク位置の影響で聞き取りにくい瞬間はあるが、これはインカム側の調整で十分対応可能。ただし、風切り音が大きくなる100㎞/h巡行あたりからは会話が聞き取りにくかった(他機種との通話)
・ 通信の安定性は高く、長時間走行でも切れない
・ 風切り音やマイク位置で聞き取りづらい場面はある
SCENE 3 切替性能 SENA同士ならつながりが強固!
手動/自動どちらも優秀
SENAインカムならボタンひとつでWAVE⇔MESHの切り替えができ、走行中でも直感的に使えるのが魅力。さらに圏外では自動的にMESH通信に移行し、会話が途切れにくい。実走環境ではこの“自動切替”の安心感が大きく、ネット環境への依存を絶妙にカバーしてくれる
・ ボタンひとつでWAVE⇔MESH切り替え
・ ネット環境依存の弱点を、MESHが上手く補っている
まとめ/気になった点
WAVEはまだ英語表示のみで、日本語対応が待たれる。また通信状況によっては声が聞こえにくくなったり、数秒のラグが発生する場面もあった。とはいえ、どれもアップデートで改善可能な領域。現時点でも十分実用的で、今後さらに磨かれていく“進化途中のツール”という印象だ。ただし、つなげやすさや位置が共有できるというギミックは唯一無二の体験だ。
・ アプリが英語表示のみ
・ ネット環境に影響され、急に声が聞こえにくい瞬間がある
・ 数秒の音声ラグは会話テンポに影響
いずれも「アップデートで改善可能な領域」現段階では補助ツールと割り切って使うと快適

