
公道でこそ真価を発揮する|真冬の八幡平で試す「ミシュラン POWER 6」
雨、低温、長距離で実力を発揮。公道100%対応のPOWER 6。その“頼れる走り”を検証する
photo:淵本智信 TEXT:中島智春
【TEST RIDE REPORT】Power 6


ヤマハXSR900GPに装着して岩手県八幡平のワインディングロードでテスト
フロント:120/70ZR17 (58W) 4550g リア:180/55ZR17 (73W) 5670g

冬季閉鎖直前の八幡平は紅葉の盛りで美しい絵画の中を走るようだ。しかし気温は5度前後とさすがに晩秋の岩手県の山頂は寒い。



公道スポーツの新境地へ──
ミシュランのスポーツタイヤ「POWERシリーズ」の中でも、公道走行にフォーカスした“ツーリング志向”の最新モデルがPOWER 6だ。ツーリングタイヤとして定評のあるROAD 6が存在感を放つ一方で、スポーツ派ライダーにとっては、やはりハイグリップなスポーツタイヤを履きたいという欲求がある。とりわけフルカウルのスポーツモデルなら、それはなおさら強い。とはいえ、サーキットイメージの強い「POWERシリーズ」は、本当に公道で満足できるタイヤなのか?その答えを探すべく、気温5℃を下回る冷え込んだ岩手県のワインディングへと走り出した。
スポーツタイヤなのでツーリングタイヤよりもトレッドのブロックが大きく、べたっとした安定感を感じる。走り始めてすぐのタイヤが温まっていない状態でも、フロントが切れ込むような不安定さはみじんもない。もちろん身体とバイクのウォーミングアップは必要だが、タイヤに神経を使うことはない。この「気にならない」という感覚はタイヤがしっかり機能しているからだろう。直進時の安定感とは裏腹に、レーンチェンジでも俊敏な動きを見せるパワー6。カーブへのアプローチでも明確な向き変えを瞬時にこなす。とはいえ、足元をすくわれるような感覚はなく、俊敏なのに常にグリップを冠じゃているのである。コーナリングを楽しむ正確ながら、バンク中に急に現れた路面の裂けめのような溝を斜めに乗り越えたときは、一瞬身構えたものの、何事もなかったように通り過ぎた。低速で慣性力がさほどかかっていなくても、タイヤの高い衝撃吸収性が感じられた。ウエット路面にも遭遇したがブレーキングも含めて、神経質にならずに走り続けられた。帰路の高速道路でも直進時の安定感はそのままなのに、時速100㎞でもスッとバイクが動く。繰り返しになるが、俊敏なハンドリングと抜群の安定感は素晴らしく、スポーツ派のツーリングライダーにはこの上ないタイヤであろう。若かりし頃、TZRやFZRでレースやツーリングをハイグリップタイヤで楽しんでたベテランライダーはもちろん、スポーツタイヤは」自分には関係ないと思っているライダーにも履いてもらいたい。自分のバイクのスポーツ性を見直し、大きな操る楽しさを感じることだろう。

