
A.S.H.エンジンオイルの実走テストに参加してみた
A.S.H.エンジンオイル開発の「フィーリングリポート」に参加。酷暑の市街地走行で、他社製品と比べ吹け上がりやトルクの向上を実感しました。特に、油温上昇時のシフトフィーリングの違いは歴然。地道なテストが高性能を支えます
A.S.H.開発テスト「フィーリングリポート」の独自性
今回、A.S.H.のエンジンオイルの開発で行われている、テストのひとつに参加することができた。「フィーリングリポート」と呼ばれる、実際の使用条件を想定しての実走テストだ。エンジンオイル開発時のテストと聞くと、どんな内容を想像するだろうか?検査機器を使用した化学の実験めいたものだろうか?はたまたレーシングライダーによる限界領域のインプレッションか?
もちろん、そうしたテストも重要だ。だが、それはある意味で特殊条件。一般ライダーが日常的に走る場合とは、使用環境がかけ離れている部分がある。
このフィーリングリポートは、最も多くのユーザーである平均的なスキルを持つライダーが、一般的な使用条件で走った場合、エンジンオイルがどのように機能するかを確認するためのものだ。そのためメインテスターは、ジェイシーディプロダクツのスタッフである岸野鉄平さんが務めている。エンジンオイルの専門家ではあるが、プロフェッショナルライダーではなく、ごく一般レベルのライダーだ。
その鉄平さんが、A.S.H.製のエンジンオイルはもちろん、時には他社製品も使用して、フィーリングを緻密に記録。そのデータは膨大な量に達している。テストコースは、意外なことに市街地。しかも、一般車の流れに乗った法定走行。サーキットで限界走行を行いでもしなければ、エンジンオイルの性能の違いなど感じ取れないのでは?との疑問を抱いたが、その考えは見当違いもはなはだしいものだった。
今回のテストでは、まず他社製品のエンジンオイルで走行。テスト日が8月半ば、かつ場所は酷暑で有名な京都府内ということで、乗り手としては辛いことこの上ない状況だった。テストした他社製品のエンジンオイルは新品であったため、これといって異常を感じることもなく、当然トラブルも発生しなかった。
だが、A.S.H.のエンジンオイルに交換して再度走行すると、確かな違いを感じたのだ。
まず、全ての回転域で吹け上がりが向上、中回転域ではトルクアップも感じられた。何より明確な違いがあったのは、シフトフィーリングだ。シフトペダルを操作する時の抵抗が明らかに小さく、ギアが入り切った時のショックが小さい。比べると他社製品には硬質な金属感のあるショックがあった。
特筆すべきは、油温が上昇した時のシフトフィーリングの違いだ。他社製品は油温が90℃を超えたあたりから、露骨にシフト操作が固くなった。A.S.H.も同条件では若干フィーリングが悪化するのだが、その度合いははるかに小さい。
実は、速度が上がらずエンジンの冷却が難しく、ゴー&ストップが続く市街地走行は、エンジンオイルの使用条件としては、かなり厳しいものであるという。あえて、そうした厳しい条件を選び、そこで得られたデータを商品開発にフィードバックする。A.S.H.エンジンオイルの高性能は、地道なテストを繰り返す愚直な開発姿勢が支えているのかもしれない。

エンジンオイルの交換は、フィーリングリポートのメインテストライダーである岸野鉄平さん自身が行っている。条件を揃え、膨大なテストを繰り返してきたことで、エンジンオイルに関するセンサーは敏感、かつ評価も的確だ

ジェイシーディプロダクツではさまざまな排気量、エンジン形式のバイクをテスト車両として所有。その全てに油温計と油圧計が装着され走行中にモニタリング、データのロギングも行い開発に活用している

テストでは、A.S.H. MOTO-SPEC FSと他社製品の比較インプレッションを行った。実際のテストで走行しているルートを使用し、2種類のオイルで走り方を変えないように留意しつつ、フィーリングの違いを探った

