【試乗インプレ】Royal Enfield「クラシック650」ついに日本上陸!伝統と進化の融合

モーターサイクルショーでの初披露以来。多くのライダーが待ち望んでいた「クラシック650」がいよいよ日本でデリバリーを開始した。Royal EnfieldのDNAを受け継ぐ“本流クラシック”はクロームやピンストライプといった職人技に支えられたディテールをまとい648㏄ツインが生み出す鼓動感を備える。編集部は特別試乗会に参加し、その走りを確かめた。ゆったりとした時間を楽しむ一台の魅力を、ここにお届けする

■ BikeJIN vol.273 2025年11月号
写真/川井晴稀 文/盛岳郎
問:ロイヤルエンフィールドジャパン

満を持して待望のクラシカルが登場

先のモーターサイクルショーでの発表から、多くのライダーが待ち望んでいたRoyal Enfieldの「クラシック650」が、ついに日本でデリバリーを開始した。スーパーメテオやショットガンといった派生モデルを先行させながらも、最後に投入されたのは、やはりブランドのDNAを色濃く受け継ぐ本流モデルである。この登場には「満を持して」という言葉がふさわしい。

試乗会に参加してまず感じたのは、低速域での心地よい鼓動感だ。648㏄並列2気筒は緩やかに伸びていき、日本の交通社会に必要な領域に焦点が合っている印象を受けた。20〜60㎞/hという日常域にこそ、このバイクの真骨頂がある。シートはフラットで体重が均等にかかり、長時間でも疲れにくい設計。ライディングポジションも自然で、ややワイドなハンドルと低めの位置がクラシカルな雰囲気を強調している。

一方で、高速域に入ると性格が変わる。4000回転付近から振動が強まり、高速巡行には不向きに思える。だがその振動は「焦らず、ゆっくり行こう」とバイク自身が語りかけてくるようで、このルックスと合わせて考えると「急がずにクラシックを楽しもうか」という気分になる。速さではなく、穏やかにバイクと時間を共有するための相棒だと感じた。

ディテールも抜かりない。タンクのピンストライプは熟練職人による手描きで、代々受け継がれる技術を誇る。スイッチボックスにはニッケルクロームメッキが施され、SHOWA製サスペンションは日本で設計、インドで組み上げられる。メーターはアナログを中心に、ナビゲーションの指示だけを簡潔に示す「トリッパー」を標準装備。クラシカルな雰囲気を壊さずに現代的な利便性を加えている。灯火類はすべてLEDで、伝統と安全性を両立させた。

総じて「クラシック650」は、Royal Enfieldが培ってきた伝統を現代に翻訳した一台だ。速さやスペックの優劣を語るバイクではない。クロームの輝きやピンストライプの味わいを眺め、20〜60㎞/hで流れる風景を楽しむ。そうした時間こそ、このモデルが提供する本質的な価値だろう。待望のクラシックがついに登場し、Royal Enfieldは再びその存在感を日本市場に刻み込もうとしている。

都内某日、ロイヤルエンフィールドによる試乗会が行われた。待望の650と、中型で乗れるCLASSIC350が我々を出迎えてくれた

Royal EnfieldCLASS IC 650

エンジン形式:空冷4st.並列2 気筒 648 ㏄
最高出力:47ps/7250rpm
最大トルク:5.3㎏ -m/5650rpm
車両重量:242㎏
シート高:800 ㎜
燃料タンク容量:14.8L
タイヤサイズ:F=100/90-19、R=140/70-18
価格:94万9300円~

メーターとアプリ
アナログ式タコメーターを中心に、簡易ナビゲーションシステム「トリッパー」を標準装備。必要最低限の情報を視認性良く表示し、雰囲気を損なわず現代的な利便性を加えている
シート
出荷時はデュアルシート仕様だが、ボルトオンで簡単にシングルへ換装可能。フラットで均等に圧がかかり長時間でも疲れにくい設計で、クラシカルな佇まいと実用性を兼ね備える
ピンストライプ
タンクには職人による手描きのピンストライプが施される。代々受け継がれた技術によるラインは一点物の味わいを持ち、クラシック650の伝統性と高級感を際立たせている
エンジン〜マフラー
648㏄空冷並列2気筒は低中速域で扱いやすく、日本の交通環境に適合。鼓動感とともにスムーズに回り、マフラーからは落ち着いた低音が響き、クラシックらしい存在感を演出
ライト(灯火類)
クラシカルなデザインを保ちながら、灯火類はすべてフルLED化。ヘッドライトは高い照射性能を確保し、ウインカーやテールも含めて視認性を向上。伝統と現代的安全性を両立
ハンドル周り
ややワイドで低めに構えたハンドルは自然なライディングポジションを実現。スイッチボックスはニッケルクローム仕上げで質感が高く、金属的な操作感がクラシックらしい手応え

中免で乗れる、自由のクラシックGOAN CLASSIC 350も近日登場!

GOAN CLASSIC 350(ゴアン・クラシック350)は、Royal Enfield の人気モデル「クラシック350」をベースに、ボバースタイルを取り入れた派生モデル。1960年代、ヒッピー文化の象徴となったインド・ゴアの自由な空気を纏い、短めのフェンダーやスラッシュカットサイレンサーで個性を演出する。シート高は扱いやすい760㎜、中型免許で乗れる排気量と相まって、気軽にクラシックの世界観を楽しめる1台だ。

エンジン形式:空冷4st. 単気筒 349 ㏄
最高出力:20.2ps/6100rpm
最大トルク:2.8㎏ -m/4000rpm 
車両重量:197㎏
シート高:760 ㎜ 
燃料タンク容量:13L
タイヤサイズ:F=100/90-19、R=130/90-16
価格:74 万9100円~

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