
[転んだらどう対処する?]フロントフォークの軽い歪みは簡単なコツと工具で修正できる
転倒後、フロントフォークに曲がりが見当たらないのにハンドリングがおかしい──そんな経験はありませんか?実はそれ、「曲がり」ではなく「歪み」が原因かもしれません。構造を理解すれば、症状の見極めと対処が見えてきます
簡単に歪むFフォークは修正するのも意外に簡単
フロントフォークはしっかり動き、ダストシールからのオイル漏れもなし。もちろん、あらゆる角度から目を凝らしても、インナーチューブの曲がりを確認できない。なのに、転倒直後からハンドリングがおかしい。
そんな時は、フォークの「曲がり」ではなく、「歪み」が原因の可能性が高い。こんな症状が出た場合、フロントフォークの1本1本は真っ直ぐだが、2本を見比べるとキレイに並行していなかったりする。また、走るとハンドルは真っすぐなのに進行方向が左右に曲がったりするケースもある。
一般的なテレスコピックタイプのフロントフォークは、トップブリッジ、アンダーブラケット、そしてホイールシャフトの3点で固定されている。ここに転倒による外的衝撃が加わった場合、瞬間的にフォークがよじれ、その状態のままで固定されて歪んでしまうのだ。
この歪みは、転倒時とは逆方向へ力をかけたり、クランプを緩めてフォークをフリーな状態にすることで解消できるのだ。
工具を使わずに修正

【1】ハンドルをこじる

車体前方から両ハンドルを握り、下半身でホールドしたら腰を使ってハンドルを左方向にこじる
【2】ホイールを挟み込む

両ヒザを内側へ絞り込む感覚を持ちながら左右の足でフロントホイールをしっかり挟み込み、全体重を乗せてしっかり固定
ハンドルとタイヤを逆方向によじって矯正

写真では分かりづらいが、転倒の衝撃でフロントフォークが左方向に歪んでしまった実例。このまま走行すると直進中もハンドルが右方向に切れた状態となり、ライダーは強い違和感を覚えるはずだ
工具を使って修正
フォーククランプのボルトを緩め微妙な歪みを開放する

工具を使わない方法で歪みが解消しない場合は、クランプが大トルクで固定されている可能性が高い。そんなときはボルトを緩めよう
クランプを緩める基本はアンダーブラケット

フロントフォークを固定しているアンダーブラケットのボルトをすべて緩めてみよう。たいていの歪み(ねじれ)はこの作業により解消する確率が高い
トップブリッジ側は最後まで手を付けない

アンダーブラケットのボルトを緩めても直らなかったら、トップブリッジのボルトも緩める。フォークが飛び出さないように、必ず片側ずつ作業すること